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ハリホと魔法少女  作者: AO
第一章 私が魔法少女になるまで
5/8

5 魔法少女はアルバイト

 靴は捨てることに決めたので、容赦なく変態を踏みつける。この行為自体に喜んでそうだが放っておく方が有害な気がする。足の下でぴくぴく震えてるのはめちゃくちゃ気持ち悪いが我慢しよう。


「ハリホのことは、もういいわ。それでハリホが見えることと魔法少女とかいうふざけたものに何の関係があるの」

「よくぞ聞いてくれたよ彩たん! 暴走したハリホを元に戻すこと、これが魔法少女の役割なのだよ!」


 するりとぬけ出した変態は鼻血を流しながら手を握ってこようとしたので漂ってた割と大きめのハリホを顔に投げつけた。まったく、いちいち話の腰を折らないでほしい。こんな変態にかまけている時間はないのだ。


「ふ、隙がないね。それもいぃって、ごめんごめんちゃんと話すよ! ごほん。えっと、暴走したハリホはその溜め込んだ感情を発散させる、もしくは解消してあげることによって止めることができる。まあ、ようは」


 変態は立ち上がると、どこからか取り出した魔法少女らしき少女のフィギュアを目の前に突きつけてきた。なんか決めポーズみたいなのも決めている。うざ。


「魔法少女がハリホのお悩みを解決してあげればいいんだよ!!」

「魔法少女である必要性がわかりません」


 ドヤ顔がうざいのでそうそうにフィギュアを地面にたたきつけた。ち、壊れなかった。無駄に丈夫な。フィギュアを床にたたきつけられた変態は「我輩のりおんきゅんが!!」と叫びながら大事そうにフィギュアを拾い上げた。


「彩たん、りおんきゅんはレディーの先輩だよ! エースだよ! もっと優しく扱ってあげておくれ」

「え、これ既製品じゃないの? まさかあんたの手作りなんてことは」

「ふっふっふ、これはわが社が製造している一番人気の『魔法少女りおん』あの夏の日verなのだよ。見よ! この恥ずかしそうにうつむく目と夏用の短いスカートを押さえる手。これぞもぶご」

「ごたくはいいからこのへんてこの暴走を止めるのが何故魔法少女でなくてはならないのか説明しなさい」


 うっかり変態のものに興味を持ったせいで話がそれるところだった。私は早く話を聞いて帰りたいのだ。魔法少女のことを。


 変態の変態トークが在りすぎてきりがないのでまとめると、つまりはこういうことらしい。

 ハリホにたまった感情を発散させるには感情豊かな人間がその感情に共感しないといけない。それができるのはもちろんハリホが見える人間でなくてはならず、それは圧倒的に子供、特に小学生が多いらしい。何でも大人になると見えなくなる人が多くなるというのだ。そのため見える子供たちにハリホの暴走を止めさせるしかないという。

 しかし、そんな状況どう考えてもおかしいし子供たちもなかなか協力してくれない。そこで変態は魔法少女系アニメの撮影ということにすればよいと考えたそうだ。変態はこれでも玩具メーカーの社長らしく、それができるだけの力と財力があってしまったと。子供たちを魔法少女という仕事で雇うという体だ。この作戦はうまくいったらしく、ハリホの暴走を止めるのは撮影と言い張り、親にはアニメの被写体として協力費のようなものを出しているそうな。子供は親に秘密が出来てかつお金までもらえるということで喜んでもらえてるらしい。


(けど、魔法少女がアルバイトとは…世も末ね。夢も何もあったもんじゃないわ)


 魔法少女はときどき家にやってくる母さんの男たちが気まぐれに与えるグッズで見たことがある。私自身はまったく興味はなかったのだが何故かぺらぺらとしゃべりだすやつもいたのだ。たぶんオタクというやつだったんだろう。それで語られる魔法少女たちは夢や希望といったいかにも子供たちが好きそうなものだった、はず。けっしてお金とかそういうものではなかった。


「魔法少女あやたん・・・いける、いける! これであやたんも魔法少女になってもらえるのだよね?!」


 鼻息荒くつめ寄ってくる変態から距離をおいて私は冷徹に答えた。


「嫌」



魔法少女

アニメ「魔法少女シリーズ」に魔法少女として出演するアルバイト。実際には暴走しているハリホの感情を発散させるのがメイン。変態こと足長おじさんが社長を勤める「Magical Children」という玩具会社が斡旋している。

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