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ハリホと魔法少女  作者: AO
第一章 私が魔法少女になるまで
2/8

2 へんてこなやつ

 どっかの素人が考えたキャラクターみたいなへんてこなやつがさっきから私の邪魔をしてくる。うさぎっぽい耳に漫画のカエルみたいな目と丸っこい体で、大きさはハムスターからウサギくらいまで多種多様の、多分生き物。ええ、ええ、色とりどりのへんてこなやつがくるくる回りながらいたるところでふよふよしてるわ。ぶつかってくるわ。めちゃくちゃ邪魔。鳴けば可愛いから許されると思うなよ。何が「ヴィ」だ。このへんてこなやつが。お前らなんてへんてこで十分よ。


 どうやら他の人にはこのへんてこは見えないらしく、もちろん触れられもしない。私だって急に見えるようになるまでは存在自体知らなかった。それが何の因果か知らないがある日突然見えるようになり、私の生活の邪魔をしてくる。昼夜問わずいたるところでふわふわと漂ってるへんてこは、私が何をしてようとお構い無しに視界をふさぎぶつかってくる。授業中の今も教室中を漂っている。おかげで黒板の見にくいこと見にくいこと。まあ、もともと板書なんてしたことないけど。いつもどおり頬杖を着いて窓の外へと目を向ける。すがすがしい青空、と漂うへんてこ。


(ああ。いっそのこと幻覚ならなあ)


 毎日毎日自らの将来のために健気に頑張るがゆえに疲れてしまいこういう幻覚が見えるようになった、とか。そういうオチなら良いのに。ふよふよと私の目の前で落ちていくへんてこを見ながらそう願う。ぽすっと音を立てて机の上に衝突した。痛かったのかどうかは分からないが小さく鳴いてこっちを見てくる。


(これ、いつまで続くんだろ)


 思わずため息が出た。


×××


 へんてこを観察した結果、いくつかのことが分かった。


 まず、やはりへんてこは私以外には触れもしないし見えもしない。へんてこからはぶつかってるので触れるらしいが、気合を出せば通れるらしい。一回ぶつかった後、なんかこう、気合を入れてぶつかったらすーと通ってる。

 次に、へんてこは人が好きらしい。ぷかぷか漂ってるへんてこもいるが基本的には人の周りに集まってる。見えないのを良いことに頭や肩に好き勝手に乗り、特に好かれている人は猫がやるように頭をぐりぐりされてる。また、大人よりも子供の方が好きらしく大人にくっつくやつはなかなかいない。時々これでもかとくっつかれてる大人もいるが。

 また、へんてこはくるくると色を変える性質らしい。いまいちタイミングはよく分からないが時々ぼわあっと色が変わる。しかもそのたび少しずつ色が濃くなってる場合が多い。

 後、へんてこは特に何かを食べている様子はない。一度一匹捕まえて一週間ほど観察していたが特に何かを食べる様子はなかった。何故か真っ白になった。

 

 色々観察はしたが、何より一番の問題は私だけが見えている、という点だ。理由は分からないが、妙に私はへんてこに好かれている。構ってと言わんばかりによく私にぶつかってきては邪魔をしてくるのだ。他人はぶつかられてもへんてこの存在自体に気づいてないし、ぶつかられた感覚もないから全くといって良いほどへんてこは無害だ。しかし、私は違う。視界はちゃんとさえぎられてるしぶつかられた感触もある。また、何かあったらつい避けようとするのが人間と言うものだ。無意識でへんてこを避けようと何もない(ように見える)ところで変な動きをするため最近回りの目が若干うっとおしい。


 つまり、へんてこはやはり、私にとって邪魔な存在でしかないのだ。

へんてこ

主人公にのみ見えてる不思議な生き物。丸い胴体にウサギのっぽい耳、その付け根に楕円形の目がついている。おしりには犬っぽいしっぽが生えている。鳴き声は「ヴィ」。主人公いわく素人の考えたキャラクターっぽいやつ。

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