第0話 ある晴れた日に
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女の子が増えるのは11話からです。
さてはて、どうしてこうなったのか。
「ウソだろう、アリス!」
銀髪の少女が僕の腕にしがみついて来た。上目遣いに見詰めてくる。
「ダメですよ、イシュ。色仕掛けなら、膨らみがないと、ね?」
反対の腕に金髪の少女が絡みついてきた。
二人は非常によく似ている。
それもそのはず。彼女達は双子だ。
銀髪の少女は天真爛漫な可愛らしさがあり、金髪の少女は妖艶な美しさがある。
だが、妙な気持ちになろう筈が無い。
彼女達はまだ十一歳――地球で言えば小学校六年生だし。
「くふふふ、両手に花ですね、マスター!」
僕の眼前で妖精が踊る。
「今度は何言ったの、ユニ?」
「マスター検定です」
「……はあ。難易度の高い検定に聞こえるね。そうだったらどれだけいいか……」
「個人情報から黒歴史の厨二台詞まで。マスターの全てを網羅した検定です。問題作りに苦労しました。私の続柄をどうするべきか。気持ちは妻ですが……娘も捨てがたい」
「……ああそう」
空を仰ぐ。
ああ、異世界でも空の蒼さは変わらない。
「なあ。アリスが名前じゃないなんてウソだよな?」
「どうせユニが紛らわしい言い方したんだろうけどさ。答えはどっちでもいい。と、いうか。シンラ、分かってて乗っかってるでしょ」
「あら、何のことです、ご主人様?」
金髪の少女が一層身体を摺り寄せてくる。
当たってるんだけどな。当てているんだろうが。
「あ、アリスもやっぱり……有ったほうがいいのか?」
「君らの成長期はこれからだよ」
「私はもっとやわらかくなりますよ、ご・主・人・様っ」
「むむ、あたしだって育つんだからな!」
「マスターにはロリコン疑惑ありますからね。育たないほうがいいかも知れません」
「いけない人ですね、私達のご主人様は。でも、構いませんわ。私が正しい道に案内して差し上げます。幾らでも私を使って頂いて結構――」
「それよりアリスの名前はなんなんだ?」
「もう。遮らないでよ、イシュ」
「気にならないのか、シンラは」
「……なりますよ。気になるに決まってるでしょう。でも、もう少し楽しみたかったんです」
三人寄れば姦しいというが。
助けた事は後悔してないが……同行は断るべきだったかな。
無理か。
魅せられたのは僕の方なのだから。
「仕方がありませんね。同じハーレムのよしみです。教えて差し上げましょう。マスターの名前は――」