第6話「完成」
「新たな宇宙、構造の完成度、九十九パーセントを突破しました!」
ヴェルミナの声が、緊張と興奮の入り混じった響きを帯びる。
「レン、あと少しだ!」
ガイウスの声援を背に、レンは、これまでの人生の全てを、最後の一滴まで注ぎ込んでいった。
(皆と出会えたこと、皆と一緒に歩んできたこと――その全てが、俺の理解であり、俺の強化の原点だった)
脳裏に浮かぶのは、これまで出会った、全ての顔だった。
最初にハズレスキル判定を受けた日、優しく声をかけてくれたレティシア。落ちこぼれ同士だと笑ってくれたガイウス。理論に惚れ込んでくれたヴェルミナ。惜しみなく知識を授けてくれたドルシス。剣士としての誇りを教えてくれたグレン。そして――最後まで、道具としての誇りを持って、命を賭してくれたゼロ号。
「ゼロ号……お前が教えてくれたこと、忘れない」
レンの光が、これまでにない、深い輝きを放った。
「新たな宇宙、完成しました……!」
ヴェルミナの声が、静かな、しかし確かな喜びに満ちていた。
視界の先に広がっていたのは、これまで見たどの宇宙とも異なる、無数の星々が、優しく、そして力強く輝く、新たな宇宙の姿だった。
「やった……」
レンは、深い達成感と共に、静かにその光景を見つめた。
『見事だ、レン』
宇宙管理AIの声が、静かに、しかし深い感慨を込めて響いた。
『貴殿が創り上げたこの宇宙は、力による支配でも、画一的な効率化でもない、多様性と理解を尊重する、新たな在り方を体現している』
「ありがとうございます。……皆のおかげです」
レンは、静かに振り返り、共に旅を続けてきた仲間たちを見渡した。
「レン、やり遂げたな」
ガイウスが、目に涙を浮かべながら、力強く肩を叩いてくる。
「あんた、本当にすごいわ」
レティシアも、涙を堪えながら、静かに微笑んだ。
「わしの故郷が果たせなかったこと――お前が、成し遂げてくれた」
ドルシスも、深い感慨を込めて、静かに頷いた。
「はっ、道具だけで宇宙を創っちまうとは、大したもんだぜ」
グレンも、不敵な、しかし温かい笑みを浮かべた。
こうして、レンは、これまでの旅路の全てを結実させ、新たな宇宙を創造するという、シリーズ最大の偉業を、成し遂げることとなった。
だが、この壮大な物語には、まだ、最後の一場面が残されていた。
(第7話へ続く)




