第九話
光が収まったら、そこは遺跡の中だった。
白い空間は消え去り、ミノ・コアもどこにも見当たらない。
「色斗!」
チタくんの声がして振り向くと、リトスアームの三人が立っている。何だか三人とも、いつにも増して存在感があった。まっすぐな芯を感じさせる佇まいは、彼らの強さを物語っている。
これって皆が、本来の力を取り戻したってことで合ってるよね。良かった。ありがとう、ミノ・コア。お礼言いそびれてごめんなさい。
「どこか不調はないか?」
「大丈夫だよ。ありがとう、チタくん」
「こちらこそありがとうございます、色斗様。ミノ・コアが僕たちを復元してくれたんですね」
「うん。違和感とかない? 大丈夫?」
「身体が軽くて、とても調子が良いです。でも私、少しだけ背が伸びたような…」
「あ、ホントだ。素敵だよ、ロサくん」
そんな風に会話をしながら、私たちは来た道を戻る。
祭壇の間に着くと、理の化身のモヤがまん丸になっていた。しかもキラキラと輝いている。
『礼を言おう、異界の者よ。これで我も安定しよう』
「いいえ、それなら良かったです」
世の中への影響的に最も危険な存在が安定してくれるのは、本当に有難いことだ。理の化身の雰囲気がさっきよりずっと明るくなった為、私はついでに聞いてみる。
「あの…、すみません。ミノ・コアが何処に行ったか知りませんか?」
『各地を見回ってくるそうだ』
働き者だな、ミノ・コア。前世は日本人なんじゃないか。
そうして理の化身も、遺跡の奥へと消えていった。
遺跡を出ると、いつかのように夕焼けで空がオレンジ色になっている。
「んん~……」
夕日を浴びながら思いきり伸びをし、私は日が落ちる前に出て来れて良かったと思った。
「終わったな、色斗」
「うん…、そうだね」
チタくんの美しい金髪が風に揺れる。琥珀色の瞳は虹色の輝きも見せていて、とても綺麗だ。そう、彼は眩いファイアを持つチタナイト。
「色斗様、僕は永遠に貴方のしもべだからね!」
「と、友達でもいいかな」
「有難き幸せ!!」
イオくんは相変わらずのテンションだが、整った顔立ちは健在である。紫がかった青色の瞳は、透き通るような純粋さだ。彼は多色性が魅力のアイオライト。
「ひとまずはゆっくり休みましょう、色斗さん」
「うん、ありがとう」
いつも穏やかなロサくんに、ふんわりしたピンク色の髪はとても似合っている。瞳の赤色は鮮烈ではなく、落ち着いた癒しの色だ。彼は可愛らしい薔薇のロードクロサイト。
私の大切な、リトスアームたち。
「帰ろっか」
私の役目は、多分これで終わった。
でも私はもう少し、この世界で彼らと過ごしたいと思っている。
未来は、自分で描いていくものなのだから。
―おわり―




