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第3話 ツンツンしてるのに、放っておけない
数日後。
放課後。
相川悠太は、
無意識に駅前の自販機の前に立っていた。
(……来るわけねぇだろ)
そう思った直後。
「相川くん」
聞き覚えのある声。
千尋が、少し息を切らして立っていた。
(……なんで)
理由は、分からない。
ただ。
放っておく選択肢だけは、
最初からなかった。
⸻
並んで歩く。
彼女は、相変わらず距離が近い。
危なっかしくて、
目が離せない。
「走るな」
「遅刻しそうだったから」
「……連絡しろ」
言ってから、
自分で驚く。
(何言ってんだ)
彼女は少しだけ目を丸くして、
笑った。
その笑顔が、
胸の奥に残る。
⸻
別れ際。
千尋が手を振る。
それを見送りながら、
はっきり自覚した。
これはもう、
親切の範囲を越えている。
それでも。
この距離が、
いつまでも続くものじゃないことを。
なぜか、
その時から分かっていた。




