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斉藤澄子

突然隕石が落ちてきて、世界が終わっちゃえばいいのに。


なんて思いながら、斉藤澄子はベランダの手すりにぐったり体を預けていた。


太陽の位置はまだ高くなく、街は行き交う人々や車がようやく見え始めた所だった。


雲ひとつない青空と対照的に、周囲を包む空気は肌にまとわりつくように重く、気持ちが悪かった。


「あー、朝ごはん食べなきゃ」


時刻は午前7時、今日は先生に呼ばれているので早めに家を出たい。もうそろそろ準備をしなくては。


あくびを一つ。ベランダで日光を浴びて眠気を覚ますという計画は失敗に終わった。


朝食を作ろうとキッチンに入った澄子を待ち受けていたのはまさしく惨状だった。


「事件でも起きたっけ?……」


澄子は肩を落として、ジトりとその現場を眺める


三角コーナーはその内容物で山盛りで、今にも溢れそうだった。


フライパン、茶碗、小皿。種々折々、多種多様な食器が狭い流しに押し込められている


インスタント食品のごみは調理場のみならず、床にも山積みにされていた


「ま、まぁ、仕事で疲れてるし、し、仕方ないね……」


誰に言ったわけでもない言葉が思わず口から溢れた。


「……帰ってきたら片付けよ。朝ご飯はもういいや、面倒臭い」


悲惨な現場から目を逸らして、さっさと着替えを始める。


澄子の仕事着は、ぱっと見女性のスーツのそれだった。黒いパンツに、白いシャツ。


ただひとつ、ジャケットだけが通常のものと大きく違っていた。


袖口は大きく広がっていて、手をすっぽり隠すことができる。


裾はくるぶしのあたりまで伸びており、ジャケットというよりかは、ローブという言葉が似合っていた。


玄関の鏡に映る自分と目が合った。生活リズムが不安定なのでニキビがいくつできていた。寝不足なのか、表情は悪い。睨んでいるような顔つきだった。


しかし、表情よりも目を引くのはその姿だった。


装飾を施された袖、全身を覆う黒いローブを羽織った澄子はまるで中世の世界から飛び出してきた魔女のようだった。


「……行ってきまーす」 


ぼそっと呟いたはずの言葉は、やけに大きく部屋を反響した

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