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雲枕  作者: 葱と落花生
154/158

154 結婚・毛だらけ・猫・〇だらけ

 合体して初めて両性具有となった日、久蔵に今の状況を聞いたらば、転送されたのは無人島ではなく、実は石城の中だったとの事であった。

 何ら事情を知らない者が突然石城に入れられても、しばらくは城での生活があって、そこから徐々に周囲が変化していくのが通例で、じっくり変化していくうちに、その変化に気づかず、のめり込んで行くのが石城の世界なのだそうだ。

 ところが、俺の場合は事前に読んだ本によって、あらかた石城に関する知識を持っていたものだから、その時その場で抱いていた願望の世界に、石城の中を一瞬で変えてしまっていた。

 このからくりに気づいても知らされても、欲求の高ぶりが収まらなければ、この状況も体も元の正常な世界に変える事はできない。

 このままここで一生を終えてしまうのは、嬉しいようでありまた辛いようでもある。

 この無人島だか欲望島だか、そのものが石城と俺の願望によって創られた。

 エロだらけ世界から絵画列島に、そして千葉県型宇宙船へと、できれば自由にあっちこっち出入りしたいのだが……。

 そもそも、エロ狼が作り出した絵画列島の中に、これまた異次元を再現する石城のような建物を作ってしまって、なんら異変は起きないものなのだろうか。

 宇宙空間では、予見できない事が当たり前に起こっていると聞いた。

 そんな所に飛び出しているのに、緊張感は微塵もない連中ばかりが、ひがな一日絵画列島でバケーション塗れになっていた。

 それだけでも生産性の無い暮らしと思っていたのに、この欲望島にいたっては、かの列島が怠惰を数百倍上回っている。

 あの本に書かれていた牧保が、首をくくって自殺したという事態も納得のいくところだ。

 どうにかしてこの状態から抜け出し、石城でのちよっとだけ助兵衛な生活として、絵画列島の生活もエンジョイしたいものだ。

 さもなくば、牧保の二の舞が目に見えてくる。

 第一番の問題は、何故に俺を石城へ無理やり放り込んだのかだが、どうやら随分と前、病院に隔離保護された時に、絵画列島の刑務所へ送った、俺に対する刺客が脱走したとの報告があったかららしい。

 保護してくれるのは有難いが、もっと別の所へとの考えは浮かばなかったのか、他人に対する行動に思いやりが欠けている。

「なんで石城に放り込んで保護になるの?」

 かえって危ない地域に迷い込んでいる気がしてならない。

 ここははっきりさせておくべきだ。

「それね、ここはさ、先生の思い通りになる世界だから、刺客が入り込んでも退治できるんだよ。島に来てから、ちょっとして現れた海賊な、あれ、脱走した連中だから。追っ払えただろ」

 言われてみれば、納得せざるを得ない回答だ。

 そんなこんなは、俺が欲望に負けないしっかりした自立精神を確立すれば全て解決する事らしいが、それこそ、最も苦手としている分野だ。

 しばらくはどうする事も出来ないと悟った。

 までは良いとして、困った事に、この体になってからというもの思考が女寄りになってきている。

 ホルモンの関係だろうか、これまでたいして意識していなかった久蔵を、男として見るようになっている。

 おまけに外野は色気たっぷりの声をはり上げ、この体はその刺激で正直な反応をしている。

 加えて目の前では、隙だらけの男が両手にオールを持って、股間を大きく広げている。

 あー、欲しい。

 制御しなければ、いつになってもこのエロ天国から抜け出せないのは重々承知だが、あー、目の前には……欲しい。

「御願いして良いかしら」

 今の姿に似合った可愛い子ぶりっ子で、久蔵の〇〇を〇〇ながら聞いてみる。

 久蔵に見えているのは、もはや過去の俺ではなく、たぶん俺と石城が作り上げたであろう赤腰巻の少女だ。

「良いのか、やっちゃって」

 久蔵の目が細まると、ゆっくり漕いでいたオールを放し、自分でーーーーーーをスーと下ろして、まだ柔らかなのをさらけ出す。

 それをこの手に取って、やんわりーーーーーやる。

 すると、みるみるーーーーーなって、このーーーおさまりきれないほど大きく体積を変えた。

「んっ、んっ、うごっ」

 ーーでーーまわし頭をーーーしてやるが、大きくてなかなか上手くいかない。

 いったんーーー出すとーーー出せるだけ出し、ーーーーた先の感じる所を満遍無くーーーてやる。

「あー、良い気持ちだ。ーーーせてくれよ。このままじゃ治まらねえ」

 石城の中に入り込んだ久蔵もまた、欲望の虜になりつつあるのか、勢いよくこの体を船底に押し倒すと、着ていた着物を剥ぎ取り、獣の様にーーーーしゃぶりついてきた。

「ーーっ!」

 甘美な体感に思わず発してしまった声にそそられたか、今度はーーーーってしてーーーー分をーーーまわしてくる。

「ーーーっ、ーーーーー」

 こうなってしまっては、自分でもこの体をどうにもできなくなってしまう。

 欲されるまま、この体を開放する。

 そうしていると、今度は久蔵が自分のーーーーているものを、ーーーーねじ込んできた。

 それを受け入れてやると、こっちのものを久蔵が銜えて、ーーーーーをくすぐってくる。

 彼の指はーーーーーーー込み、ゆっくりと前後し、入っていない指はーーーーにあって、ーーークルリンとなでてくれる。

 この仕草に、頂点で何度も意識を薄らせていると、すっかりーーーーころに、久蔵の大きなのがーーーーで来た。

「うっ、ーーーー!」

「ーーか、少しだけ我慢しろ。すぐに良い気持ちになるから」

 こう言い、ゆっくりとーーーーしながら、彼のが少しずつーーーーる。

「うっ、ーーーー、んー、ーーー」

 船が小刻みに揺れる。

 私の声はどんどんと大きくなって、彼のが何度も何度も、何度もこの体にーーーー与えてくれた。

「久蔵は私の事好き?」

「ああ、いい具合だ」

 今は少女に見えるけど、この身の正体を知っているのに、こんなにも深く強く愛してくれるこの人を、本当に好きになってしまいそうだ。

「どんな事になっても、俺はお前と添い遂げる」久蔵が言ってくれた。

「私も、貴方に一生ついていく」

 私が強く抱き付くと、治まっていたのがまた勢いを戻してきた。

 互いのーーーーーーー、抱き合ったまま私達はーーーーー


 辺りが夕日で真っ赤に染まる頃、ーーーー治まりを見せてきた。

 船を岸につけ、これから始まる二人の生活にわくわくしている。

「どうだろう、御前を殺そうとしている奴らを、こっちから出向いて行って退治しちまうってのは、良い考えだと思うんだがな」

「貴方がそうしろと言うのなら、そうしますわ」

 私は彼の言う事なら、どんな理不尽でも従う。

 たとえ相手が強力な軍隊でも、ここは私が自由に支配できる世界、負ける筈がない。

「お前がその気になったら、さぞ強いだろう。絶対に勝てるから、何の心配もいらないぞ」

 私が言おうとしていた事を、彼が変わりに言ってくれた。

 この会話を、岸で待っていた二人も聞いていた。

「それならもっと兵隊を集めよう」

 この世界で、もっと兵隊を集めるという事がどんな事態を招くか、まんざら予想できない訳でもないが、枯れ木も山の賑わい、烏合の衆でもいないよりはいいだろうと思える。

 私の自信が、少し怖い。

 

 どうやって連絡したのか、家に帰ると既に宴の支度が整えられていた。

「さーあ、これから強化合宿よーん。先生も変身して新しく仲間になったから、その御祝いも兼ねちゃうわよん」

 過去において、この世のものと思えなかった剛の者が本日の司会らしく、宴の趣旨を語り終える前から既に酔っている風だ。

「ねーえー、先生ー、あれもこれもくっ付いていて、鬱陶しくないー、ぶらぶらしてて邪魔でしょう。切っちゃいなさいよ」

 別の一人が、悪酔いしてこの身にある大事なものを切り離すようにと説得してくる。

「いいの、このままで、全部ひっくるめて愛されてるんだから!」

 つい、言いたかった事を言ってしまった。

「あーらー、御馳走様ー!」

「思い切って結婚しちゃいなさいよ」

「そうだー、おいらも結婚して、すんげえ幸せだー」

 どいつもこいつも私が呼んだのではないけれど、特に来てほしくなかったデカ男まで宴会に参加している。

 流石に長かった結婚式の宴は終了したようだ。

 少しやつれて見えるのは気のせいか。

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