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雲枕  作者: 葱と落花生
153/158

153 見境の無い道具達

 仕返しのように、こっちからも同じ事をしてやっていると、すっかり夜は更けてきた。

「こんな感じだったわよ」

 絵描の話が一通り終わった。

「そんなに凄かったのー、見ていたかったわ。何で教えてくれなかったの」

 今更ではあるが、一言抗議してやる。

「一緒に行きましょう」

 絵描がこう言って、そっと体を横にすると、上から覆いかぶさって何かを言おうとしていたこの〇をふさいだ。

 幻想的な時間を二人で過ごしているうちに、すっかり夜は明ける。

 そのまま、まどろみにひたっていると、いつの間にか寝入ってしまい、気づいた時にはしっかり陽が登り、実りを奪い合う雀達の囀りが忙しなく響き渡っている。

 家の中には自分以外誰もいない。

 これまでの事がまぼろしだったかと思える光景に、はたと思い立って雨水を溜めてある池へと小走りで向かう。

 誰が作ったのかは不明だが、この池からの水は小川を伝って島全体へと行き渡っている。

 飲料水に不自由はしていないが、畑や田に引く水は小島ゆえに不足気味だ。

 農業用水としてならば、十分にその特性を生かした水路の作りになっている。

 池の畔に立ち、水鏡となった静寂の水面に自分の姿を写し見る。

 やはり、着物姿の顔形は、赤腰巻の少女そのものになっている。

 慌てて着物を脱ぎ、全身をくまなく水面に写して確認する。

 願って彼女に乗り移った記憶もなければ、その痕跡は体のどこにも見当らない。

 今こうして立っている世界の異常とどういった因縁があるのか気付くまでに、時間はかからなかった。

「おーい、久蔵ー、何処かで監視してるんだろー。返事しろよ!」

 いつか女共に読んでやった本の内容を思い出し、あれが実録だと仮定すれば、この島で起きている異常事態は納得の行く所となってくる。

 ここはどうしても「よく気付いたなー」と、久蔵に登場してもらいたい場面だ。

 そうしてもらわなければならないのだ。

 せっかく健康な体を貰っても、精神がぶっ飛んでしまっていては、安心して物事を楽しめない。


 池から隣の地域へ、そして海岸へ出て、水月の家で朝飯を馳走になりながら、あれやこりやそれやのこんな考えを、二人に端折って話してみた。

 本来ならば、水月と今の俺の姿である少女は、何がなにしての乳クリ関係にある。

 そして、端折って話したせいか、何を勘違いしたのか、飯を食って終わったら、にやけ顔になってべったりねっとり寄り添って来る。

 この時、精神は俺であるのに、身体と感覚が少女で、ついうっかり水月の誘いに乗っかってしまった。

 〇〇に膨らんだ〇を見せられると、そっと掴んで上下に〇っている自分を、心の中でこれはいかん状況だと諭しても、勝手に体が動いて〇っていたのを〇に〇んで、〇を活発に〇〇せ始めた。

 〇く暑くなったのが〇内で強く脈打ち、水月の快感に酔った粘質の〇〇感が、手の動きに合わせ、絡めている〇〇から、この精神に異常な興奮と幸福感を伴って伝わってくる。

 俺はすぐ着物を開け、腰を浮かせて言う。

「早く、来て」この言葉を待ってましたとばかり、水月が体を突き抜けるような快楽を、熱い〇に突き〇〇ると、ゆっくりと〇って来る。

「〇ーっ!」


「良い眺めだろ。見るのと〇〇のを同時にってのはどんな感覚なんだ?」

「何だか、体も心も溶岩みたいに激しい〇〇の塊になって、溶けて流れて行くようだ……」

 水月と少女の姿になった自分の〇〇を、別の自分が同時に観察している。

 この横では、さっき呼び出した久蔵が、厭らしさ最上級で俺達の儀式を眺めている。

 しかし、今の俺は久蔵と何がしかの話しをする余裕がない。

 次第に〇みは激しさを増し、観察する自分のものまでもが痛い程に〇〇〇〇って来た。

 我慢できずに自分で強く〇〇てやろうと思うと、ベレー帽の絵描きが突如現れた。

 すぐさま俺のしてほしいと願っていた事を、その〇〇で器用にこなしてくれる。

 こっちが頂点に達するのと同時に、向こうの自分も水月の動きに合わせて行き果てて意識を薄くして行く。

「はっ、〇ー〇ー」

 少女が大きな〇〇〇をあげると、その高ぶりは絵描きの〇〇に発する時の〇〇と合わさって、これ以上に無い幸福が全身を包んだ。

「〇ー、〇ー」

 家の内と外にある二人の自分の意識が薄れゆく。

 やがて陶酔の体感だけを残し、世界が静寂に変わる。

 少女も絵描きも、水月も久蔵もいない。

 ただ、全身がとろけて、快楽の泉と融合した感覚だけが、蜜の甘さと柑橘の香を伴い、精神を蹂躙し続けている。

 幸福だ。

 何にも増して幸せでいる。

 ここから永久に抜け出せないのだろうか。

 それでも良いと思う自分が、早く元の世界に戻ろうとする自分より遙かに強い力で、この場に留まろうとしている。

 そして、この事が正当であると信じている自分がいる。

 俺は不思議に思った。

 何でここにいるのだろうか。

 もはや二つの身体が一つになって、話す必要もないから、少女も自分も無言のまま同じ体に過ごしている。

 昼を少し過ぎた冬の陽射しは暖かく、横になっている〇体一杯に降りかかってくる。

 この目に入る未熟な〇〇は、明るい光に照らされ輝いている。

 左の手に〇〇〇いるものは、起きたばかりですっかり〇〇反り返っていて熱い。

 右の指先は、しとった〇の入口で、ゆったり小さな〇〇に纏わり付いている。

 やがて、この口から、心の奥底に沸き上がった歓喜の声が溢れ出て来た。

「〇ーっ、〇ーっ、良いー。久蔵ー、こんなのダメだ! 元に戻してー」

 今、自分が何者なのかも分からなくなって、欲望の欲するままに己の〇〇を愛していると、感情を抑えきれなくなってくる。

 立てた指を、止めどなく〇〇の溢れ出る幸福の〇に泳がせ、〇〇た手が激しく〇〇し、破裂しそうな激幸の一瞬に備え少しずつ〇〇を蓄えて行く。

「〇ー、もうダメー。〇〇くーうー」

 〇〇しめられたその先から、凄まじい速度で〇〇〇〇が飛び出す。

 この〇〇を一方の手が素早く捕まえると、立てた指先ですっかり開放された〇〇へと運んで行く。

 殆どを空洞の奥に吸い込ませた指の動きが一際激しくなると、再びこの心身は幸福の頂点へと誘われて行く。

「〇〇っ、〇〇ーん。来てー、もっと〇までいらしてー」

 少しばかり残った〇〇〇〇を、もう一方の指先に絡ませ、そのまま小さな〇へと〇ぶ。

 指先が〇〇と一緒になって〇を〇らすと、今度は〇先が指と〇〇を欲して蠢く。

 そのまま〇〇〇へと導き、両の指が〇と〇〇〇でゆったり時に激しく無限に〇〇を作り続ける。

「先生、大丈夫かい」

 遠くの方からようやく久蔵の声が聞こえてくる。

 足音が寝室の向こうで止まって「開けますよ」カラリと音がして開けようとするから「待って」慌てて戸を押さえる。

「今行くから、外で待ってて」

 この姿になったからだろうか、出てくる言葉と声がすっかり女になっている。


  ――――――  ――――――  ――――――


 貯水池で久蔵と一緒になって小舟を浮かばせている。

 池の畔では相方と俺が〇〇してしまってからすっかりご無沙汰だった水月と、同じ境遇の絵描きがこっちの目線を気にせず、淫乱な〇〇合いに走っている。

 小さな池では真ん中まで船を運んでも、二人の声が聞こえてくる。

 歓喜に〇〇〇叫びにも似た声は、この世のものとは思えぬ勢いで島中に響き渡っているのだから、どこへ行っても同じだ。

 この声に刺激されて、こっちは両方の具合が好ましからぬ状態になっている。

 一方はじんわり〇〇てうるうるしてくるし、一方は〇〇過ぎてずんずんと痛い程になっている。

 こんな痛みは十代の頃にあっただけだったのが、機械の体からこの体になってからは、ちよっとした刺激でもこうなってくれる。

 見境の無い道具達だ。

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