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雲枕  作者: 葱と落花生
132/158

132 御神輿わっしょい……でいいのか?

 こっちも同罪だから許してやるとするか。

「〇〇っ!」俺が発する声と同時に「〇〇っ! 〇〇! あっ!」彼女が〇〇に達し、体を大きくのけぞらせ、ビクンビクンと布団の上で弾ける。

「御嬢様がー、いらっしゃいますー!」

 もっと艶っぽい言葉が発せられるとの予想に反し、「〇〇ー!」と同じ発声法で、極めて事務的な伝達事項が耳奥に沁み入ってくる。

「美津子さんまで来るのか?」

「いいえー、今の御嬢様は先生の娘さんの事です。〇〇っ!。美津子様はー、奥様と御呼びしていますの。〇〇! 〇〇ー!」

 こう言い終わるなり、壁の向こうで木戸を開ける音がする。

 声をかけるでもなく、いきなりスタスタと廊下を歩いているかと思ったら、小さな扉を二三度、パタリパタンと開け閉めする。

 おそらく冷蔵庫の中を覗いていたのだろう、音のする所は台所に接している壁と思われる。

 美津子さんと俺の間に出来た子供とされている人物なら、歳はそれなりに行っているが、見かけはまだ子供と言ったチグハグな人間らしき生物だ。

 体形と同じで脳の発達や行動に精神年齢も、見た目どうりに子供なのだろう事が予想される。

 外で散々遊びまわり腹減らしで家に帰ってくれば、第一番の目的地は冷蔵庫に収まるエネルギー源に他ないのは、どんな子供も同じだ。

 冷蔵庫の無い家庭ではこの限りでないが、しかし、この島に来てから電線を一本も見かけていない。

 それより、電気がある事に驚ける。

 この音から数十秒は静かだった。

 突然、部屋の障子を開ける者がある。

 まさか何の断りもなく、部屋に小娘が乱入して来るとは思いもしていなかった。

 衣服は脱ぎっぱなしで布団は乱れたままの上に「御嬢様がいらっしゃいます」と言った張本人は、気持ち良さそうに夢の中。

 誰かと一緒に踊っているようで、焦った俺がどんなに揺すっても一向に起き出す気配がない。

 諦めて寝たままでもいいから、両手で持った御姉さんの顔を小娘の方へ向けて見る。

 開け放たれた障子の前には、ひいき目で見ても十か十一になったばかりにしか見えない少女が、緑色の晴着姿で立っている。

 綺麗に結い上げた髪に光るかんざしがキラキラして、手に持ったソフトクリームがとても美味そうだ。

 親父が足繁く通っていたぼったくりバーで俺が子供の頃、着せ替え人形をやらされていた時と同じ格好の子は、大きく見開いた右の瞳が青くて左は金色に光っているように感じ取れる。  

 誰がどう勘ぐっても美津子さんに似たのは確かな事実で、じっとこちらを見たまま、妙に艶めかしい雰囲気を漂わせている。

 ぼったくりバーでは、オーナーママの美津子さんと初めての経験をして入りびたりになった。

 店のお嬢さん達や目の前にいるお姉さんを相手に、大人の勉強と御奉仕の日々は、今思うに人世のピークだったのかもしれない。

 終いには美津子さんが俺の子を身籠ったと冗談吹いて、出産後はしっかり子守までやらされていた。

「御嬢様ですわ」

 まだ虚ろなお姉さんが、俺に小さな子を紹介する。

 こういった場面で、俺はこの娘に何と声をかければ良いのか、学校では教えてくれなかったし、同じ経験をした人物に出会った事もないので、参考になる知識が皆無だ。

 子供が見るには恐ろしく時期の早い、濡れ場に登場してしまった少女の精神的葛藤が気にかかる。

 この子供がどんな立場で、俺とはどう言った因果関係に有るのか気になる。

 この答らしきものが、お姉さんの口から俺の耳へと流れ込んで来る。

「美津子様と先生の御子様ですわ」

 ソフトクリームを落とさず、ちっちやな舌先でペロペロやり乍ら冷静な雰囲気を漲らせこちらを見据えている。

 舐めずにいきなりかぶりついて、歯形を残す勢いで食うようなものではない。

 しかし、ズズッとすすって飲む程、柔らかいものでもない。

 ソフトクリームは、娘が目前で繰り広げている食し方をもってするのが一般的である。

 ところが、子供じみた身成ではあるものの、お姉さんの言葉をそのまま信じるなら既に四十代の薹立ち娘は女親に似て、誰彼構わず魅了して止まないであろう妖艶なオーラを放っている。

 この娘と一緒に入り込んで来たのだろう、猿のカップルがいきなり〇〇パコ〇〇ている。

 そこで〇〇〇チョメするんじゃない!

 娘の冷静さを呆気に取られて見ていると、今まで隣でぐったりしていた彼女は、いつの間にか身成を整えていつもの面倒見の良い御姉さん姿になっていた。

「おかえりなさいませ、御嬢様」

 どこかで聞いた事のある台詞だ。


 無言のままの娘を御姉さんが奥の間に案内すると、戻ってくるなりそそくさ俺に着物を着せる。

「こちらです」

 なんとなく正月気分が盛り上がる格好に仕上げられ、案内された部屋の真ん中には囲炉裏があり、櫛に刺された鮎がじっくり焼かれている。

 先に部屋に入っていた娘は、だいぶ前からこの施設に居たらしく、のんべんだらりと晴着のまま横になり、鮎を摘みテレビを見ている。

 地下都市と似たり寄ったりの施設らしく、テレビに流れている映像音声は、おふざけの度合いが並みの地上波なら犯罪の域に達している。

 ふと見れば、囲炉裏の淵には徳利とぐい吞みがあり、これを娘がチビッとやってまた横になる。

 完全に今の生態は、休日の呑兵衛親父になっている。

 家の主人が座るべき位置に置かれた豪華な電動マッサージ機能付き座椅子が大げさだ。

 ここへ何の気なしに腰かけると、囲炉裏端には一合に足りないだろう徳利と、小鉢が五つばかり並べられている。

 あまりにも抵抗のない正月の風景に、徳利はあっても猪口がないので直接飲み込み、小鉢はあっても箸がないから指で掻き込みむしゃむしゃとやる。

 なかなか良い味をだしている。

 そこへ大皿に盛りつけられた刺身や、幾段もの重箱をせっせと御姉さんが運んでくる。

 手際の良さは驚愕の域に到達していると思う。

 巧みだ。

「これから大勢様が新年の挨拶にいらっしやいますので、御準備をしてくださいませ」

 これは俺に言ったのかそれとも娘に言ったのか、声を聴くなり横になっていたのが勢い良く起き上がると、こけしのように微笑んで俺の横に正座する。

 引かれていたレースのカーテンを開けると、新春の陽が一斉に部屋へ射し込んで来る。

「御客様ですわ」

 ここまで辺鄙な島に来る者は凄まじく暇な奴か、元々ここに屯っている者だろうとの思惑どうり、雪道に裸足の跡を残し、直ぐに熱帯側に引き返して喜ぶ半裸の一団がいる。


 その向こうからこちらに向かって来る中には、意識を取り戻してはいるが、神輿の上に立てた柱に縛り付けられ自由の利かないデカオが乗っている。

「元旦に結婚式なんて、御目出度い事が重なりましたね」

 お姉さんが語り掛けると、娘がうんうんと声を出さずに何度もうなずいている。

 頗る上機嫌のようだが、この状況を理解しているとは思えない。

 もし、あれを見て笑えるならば、見掛けが子供のけっこう行っちゃってる娘は、かなりの好きものと言う事になる。

 神輿に乗せられてからずっとオッ〇〇たままなのか、日時計の〇〇ようになっている〇〇、丸い〇〇部分の〇〇レがぷっくり赤く腫れあがっている。

 どうやったらあんなに巨大な〇〇頭を作れるんだ。

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