恭子と玲子 vol.002 「ほら、ほら。あそこ、あそこ。」
「ほら…、私の…これ…エクレア…あげる。」
玲子。
「えっ…、だって…それ…玲子の大好きなエクレア…。」
恭子。
「ん~、私は好きなの…後のタイプだから…、残して置いたんだけど…。しゃあないじゃん。」
「い…い…の…???」
「気が変んない内に…、ほら。」
そう言って、ベンチに座り直した恭子の膝の上にポンと…。
「しゅみましぇん。いただきまちゅ。」
そう言って、自分の胸の前に両手を合わせて…、
「感謝、感謝。」
と、言いながら、玲子のエクレアを頬張る恭子。
「…ったく~~相変わらず…ドジだね~あんたは…。恭子~~、聞いてんの~~???」
エクレアを食べながら上機嫌の恭子。
口の中をモグモグさせて…、目をつむりながら…、
「うんうん、美味しい…、うん。うまい。うんうん。」
そう言いながら両脚を伸ばして左右に小刻みに揺らしながら…。
「玲子は…優しいね~~んまい、んまい。」
「…ったく~~この子は…。」
そう言って、変顔をしながらもにっこりと微笑み、
カフェオレのカップのストローを吸う玲子。
昼下がりのキャンパス近くのお洒落なカフェテラスの外のベンチ。
「さて…、そろそろ行こ。講義始まっちゃう。」
玲子。
「うん。だね。」
「さてと…。」
席に着いてバックの中から筆記用具をだす恭子。
その時、
「恭子、恭子。来てるよ。ほら、ほら、ほら。あそこ、あそこ!!」
頻りに恭子の右肩を揺らして小さく数メートル先を指差す玲子。
「…ん…???」
と、思い、玲子の指差した方向に顔を向けると…、
「あっ…、ばたやん。」
「…じゃなくって…、その隣り!!」
右手指を動かして、玲子。
「えっ…えっ…???どっちよ、どっち???」
「左、左。」
「左…左…。…って…。ばたやんの…左側の人…。あの…人。あの…人が…???」
「カッコいい~~~!!!」
「えっ…???」