vol.001 「へへ…、落っことしちゃった…。」
「あ~~気持ち良い~~ん~~。さて…、食~べよっと…。」
そう言いながらお気に入りのシュークリーム、袋を開けようと…、
その瞬間…。
「えっ…、なんで…開かない…かな…???」
まぁ…そういう時には、袋の端から指で捻れば袋が割けるようになっているのだが…。
それよりも袋の端から両側に引っ張って空けた方が…の意識が強く、
「ん…ん…。」
少々強めに袋を両側に引っ張った…、
その結果…。
「パリ…。」
「あ―――――っ。」
何の事はない。力が強過ぎて、とんでもないところから袋が破けたのである。
「うそ…、うそうそうそ―――――ッ!」
袋から飛び出したシュークリーム。
一度は膝に落ちて、そのまま地面へと…コロコロ…。
「うっそ~~っ!!!」
隣で同じシュークリームを既に食べて…、
「んふ…お~いしい…。…って、へっ…恭子…、な~にやってんのよ…あんた…???」
そんな玲子の声を聞きながら、
「へへ…、落っことしちゃった…。」
と、落ちたシュークリームを勿体ないと身体を起こして、
地面のシュークリームを取ろうとしたその瞬間…。
そのシュークリームを、「待ってました。」と、言わんばかりに、
ベンチの下からヒョイと姿を現し、ガブリと齧り、一目散に走る野良猫。
「えっ…。うっそ…。マジで―――――ッ!」
「あっちゃ~…。なんで…そうなるかな…。」
そんな恭子の姿を見ていて呆れ顔の玲子。
「あ~んもう…、この泥棒猫―――――っ!!!せっかくのシュークリーム~!ちょっ…。」
そう言いながら、その場を立ち上がろうと…。
「ま…さ…か…。もしかして…、追っ掛けようと…、してない…???」
と、言って、恭子のスカートを引っ張る玲子。
「だって…。」
「…って…、おい。」