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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ガラケー

作者: 初心者

誤字あるかもです

3月の下旬。まだ少し肌寒い日の午後。 僕は図書館に自習をしに来ていた。図書館の窓からは川が見える。その手前の堤防には桜が沿って並んでいる。まだほとんど咲いていない。僕はその桜をぼーっと眺める。するとそのわずかに開花した花を嬉しそうに撮っている女性が目に入る。ウォーキングの途中であろうか。僕は彼女の を勝手に想像し始める。僕は人の を勝手に想像するのが好きだった。 

家に帰り着き、

春の散歩は終わりを告げる。少し長く歩きすぎたかもしれない。しかし春の訪れを感じながらの散歩は気持ち良いから仕方ない。彼女は玄関の扉を開ける。「おかえり。長かったな。」夫がリビングからTVに見入ったまま声をかける。Netflixであろうか。彼女は応える。「うん。春が心地よくて。そうそうみてみて。桜の花。全然満開じゃなかったけど少しだけ咲いてたの。」にこにこしながらガラケーを開いて写真を見せる。夫は映像を一時停止してだるそうに覗き込む。「お前なんでまだガラケーなんだよ。画質悪いよ。」彼女は応える。「良いでしょ別に。私は困ってないし。それに画質が悪くても桜は綺麗。」にこにこしながら彼女はつぶやく。「ふん。」夫は鼻であしらう。すでにTVの画面に食いつている。「さあ夕飯でも作りましょうか。あなた何が良い?」「なんでも良い。」夫が興味なさげに応える。「もういつもそれなんだから。」すると夫が「お前が作るのならなんでも良い。」低く小さい声でつぶやく。しかし彼女の耳には入らない。40年後。彼女は89歳で亡くなった。1ヶ月前に他界した夫の背中を追うように。彼女が微笑んでいる遺影の背景は画質がやけに良い満開の 桜の写真だった。        

そして僕はまた、人を1人想像で殺していた。僕は人の死に様を勝手に想像するのが好きだった。

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