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廃寺での一夜 後編

作者: みぶ真也

カメラマンの八神さんと二人で心霊スポットと言われる廃寺に泊まり込み、夏の心霊番組のレポートをする仕事をしている時だった。

カメラをセットし本堂を不気味に演出していると、深夜にガタンと音を立てて戸が開き青白い顔の男が立っていた。

「なんだ、八神さん、いたんじゃないですか?」

青白い男はカメラマン助手の橋本くんだった。

「スタッフが足りないから手伝いに行けって、さっき連絡があって慌てて来たんですよ。

ぼく、こういうの苦手なんです」

それで橋本くんは青い顔をしてたのだ。

「せっかく来たんだから、手伝ってくれよ」

八神さんが笑いながら言う。

「はい、何をしましょう?」

「今夜はカメラを橋本くんに任せる」

「え?」

「やってみろ」

八神さんに言われて、橋本くんは震えながらうなづいた。

「じゃ、みぶさん、レポート始めてください」

八神さんのキューで撮影が始まる。

「ぼくは今、心霊スポットで有名な泰真寺に来ています。

時刻はちょうど深夜零時。

6月とは言え、さすがにこの時間はひんやりします。

さて、本当にここに幽霊が出るのでしょうか」

それからは八神さんの指示で撮影が続いた。

ゆらめくろうそくの灯に照らされる不気味な仏像…埃の積もった位牌…倒れた卒塔婆…そうした映像を効果的につないでムードを盛り上げて行く。

最初は怖がっていた橋本くんも、八神さんに指導されててきぱきと仕事をこなして行った。

気がつくと既に夜明け。

「結局、何も出なかったですね」

橋本くんがほっとしたように呟いた時、いつの間にか八神さんの姿が見当たらないことに気づく。電話が鳴った。プロデューサーからだ。

「実は八神さんが昨夜事故に遭って意識不明だったんだが、たった今持ち直したとこなんだ。急遽、そっちに橋本くんをやったんだが、撮影はどうだった?

何か出たかい?」


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