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聖獣の庭、あるいは忘却曲線  作者: 蒼乃モネ
第二章 太陽都市、魔獣使いの饗宴
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第2話 散策

「なんて素敵なの!見たことのない、珍しいものがいっぱいあるわ!」

 ロゼは、目を輝かせ、およそ普段の冷めきった態度からは想像できない、高い声で感激していた。

 さすがは、太陽都市と評されるレオセルダの街である。

 豊かな実りと、降り注ぐ陽光が人々の気分を高揚させていた。

 逆に動揺して冷静なのは、いつも一番に騒ぎ立てるハークの方だ。

「お、おまえ。いつもの辛気臭い顔は、どこへいったんだよ…」

 半ば呆れつつも、ふらふらと歩きまわるロゼの後ろを危なっかしいとばかりに追いかける。

 昼とはいえカーニバル期間の真っ最中である。

 行きかう人々の流れを考えなしに動いては、すぐにはぐれてしまうだろう。

 アルフレッドはというと、ロゼの機嫌が直り、いくらか安堵していた。

 ここレオセルダまでの旅路は、決して思い通りに事が運ぶものではなかった。

 正直ロゼもアルフレッドも滅入っていたのだ。


 昨夜、一行はこの街に入った。

 半日ほど歩き詰めで、疲弊していたため、手近な宿を探し、倒れこむように休息をとった。

 そしてこの日は、朝からこの街の散策にあたっていたのだ。

 街を支配するお祭り騒ぎのなか、観光気分になるのも無理はない。

 ハークとフィルの参入が、ロゼに少なからず明るさを与えたのは、アルフレッドにもよくわかった。戦闘素人が増え、彼の気苦労が増えたのもまた事実だったが。

「やっぱり、女の子じゃな。嬢ちゃんにもあんな一面があると知ってほっとしたわい」

「なにを。僕の主人は、いつも『女の子』ですよ。少し皮肉屋の、ね」

 アルフレッドが、目を丸くするフィルにそう告げると、すかさず前を行くロゼが振り返った。

「聞こえてるわよ。皮肉屋なのはお互い様でしょうが」


 そのときだった。

 先頭を行くロゼとハークの前に、二つの黒い人影が割るように入ってきたのは―

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