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9話

昼休憩を終えて職務に戻ります。


「あんな話身近にあるんですね………。」


「怖かったよぉ~。」


「それにしても何で隠す必要があったんでしょう?」


「あーもう!その話は無しよ!執務官長命令!」


「はぁーい。」


「あっ、じゃ話は変わるけどフェテシアさんって本当に法律とか全部覚えてるんですか?」


まあ、レルモンド王国処か他の大国の法律、あとは冒険者ギルド協会なんかのルールまで丸暗記してますが。


「まあ否定はしませんけど……。」


「じゃじゃあ経済とかも詳しいんですか!?」


「まあ、ぼちぼちですかね。」


「じゃあこれってどういう意味なんですか?教えて下さいよ。」


見せてきたのは両替商からの嘆願書ですね。

≪レルモンド王国による帝国貨の買い上げ依頼》ですか?

そう言えば先程保管庫に居たときにも両替商からの嘆願書がありましたね。


「内容はミルガ帝国貨の流入量が多く、資金の殆ど帝国貨になっており両替することができない……と。」


「何で国に買い上げしてもらわなければならないんですか?そもそも何で資産が帝国貨だと困るんですか?」


そうですね。

何処から説明すべきか………。


「まあ、まずレルモンド王国とミルガ帝国の関係性ですよね。戦時中では無いもののお互いが仮想敵国としてにらみ合っていますし、国境線にはお互い騎士団を配置している現状です。警備を強めるためにもお互い国境を越えるためには渡航税やその他許可証の発行などもしています。その為両替商とは言えど迂闊に帝国側にはいけません。」


「うーん。……なんとなく理解できた。」


「その状況で市場の帝国貨量が増えてきたわけです。この都市では帝国貨の使い道が無いわけですから両替商の持つ帝国貨を吐き出す先なんてものは精々ミルガ帝国へ行く商隊や冒険者達位のもの。ですが、ミルガ帝国に行くには、国に渡航税を払い、更に許可証を発行したりと時間も金もかかるので、両替商の持つ資産が全て帝国貨に替わって両替の事業が立ちいかない状況になってるわけです。もし利益が出る形で無理矢理ミルガ帝国貨を品や金に変えようと思えば、第三国を経由したりしなければならないので時間を喰ってしまうわけです。なので国家間で多少取引をしているであろう国に買い上げて欲しい・渡航税や渡航制限を下げて欲しいということなんでしょう。」


「…えぇ~と……凄い……分かりやすい」


「あんたは理解してないくせに適当に反応しない。……でもホントに分かりやすい説明だったよ。」


ですが説明しながら一つ気になることが出来ました。


「ですが気になるのは何故急に両替商の持つ帝国貨の割合が増えてきたのか………今までは釣り合いがとれまともに商売が出来ていた筈でしょうに…………、帝国から王国に来るにも渡航税や制限がある筈なのですが…………。」


ゴーンゴーンゴーン。


「あぁ、終業の鐘ね。」


「じゃ、お疲れ様でした。お先に!」


皆さんが我先にと帰っていきました。


「では、私も食糧品を買って帰りますか。」


朝食でアリア様が沢山の食材を使っていたので適当に買い込んでおきましょう。

政務館から少し歩き、取引市場に到着しました。


「おっ、フェテシア嬢ちゃん買い物か?こいつは買い時だぞ。」


「いやいや、そいつのとこよりうちの方がいい。」


「あんだと!?うちはてめぇの所より鮮度に気を使ってんだよ!」


「あぁん!?」


「あぁー。また始めちまった。まあ、フェテシアちゃん。うちで買っていくのが一番安心さね」


「ふふ。分かりました。」


何時もここはこうですね。

貴族であればこうも簡単に正面からケンカをすることはないのでこの光景には最初驚きましたが、今となってはこの方々なりのコミュニケーションと言うことが理解できましたが。


「あら?そう言えば前に一緒に居た色男には姉弟でも居たのかい?」


「はい?」


「さっきどこかで見たような可愛い女の子と一緒に買い物に来ていたけど?」


前に一緒に居た色男………。

私がこの街で一緒に行動したことある人間はディル様とキュルェ様以外には居ませんわ。

キュルェ様は基本的に家で剣を振ってるだけです。

となればディル様位しか心当たりがありませんが…………。

そして気になるのは……女と一緒に?


「その色男はどちらに?」


「え~と?………確か南方向に向かって歩いて行ったけど?」


「ちょっとすいません。気になることが出来ましたので失礼します。」


嫌な予感がします。

最初は冷静を装いゆっくり歩いてましたが、焦る気持ちを押さえる事が出来ず走り出してしまいました。

走ったのなんて何年ぶりでしょう?

そして、遂に見覚えがある後ろ姿を発見しました。


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