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5話

「ふーん。なるほど。」


「流石に何か怪しいとは思いませんか?」


「まあ、どう考えても怪しいわね。…………で?仮に真相に気付いたとしてどうするのよ?あんたはただの村娘なのよ?」


「まあ、今でも国の中枢に多少コネクションがありますし、それ相応の人間に伝えるつもりですよ。」


「そっ、なら良いわ。………それで(くだん)の噂話に付いてだけど、少なくとも1人は確実に失踪者が居るわよ。」


「本当ですか?」


「たしか数日前に場末の酒場に行って見繕ってた時にやけに自暴自棄な男が居たから、失恋したばかりの獲物かなぁ?と思って話を聞いてみたら娘が行方不明って言ってたわ。確か役所に捜索依頼の嘆願書を出したけど、何も解決していないってさ。」


…………嘆願書………。

たしかあれも数年間の保管が義務化されていたはず。

もしそれがなければ………。


「ありがとうございますアリア様。」


「別に………あとついでにそれとなく探っといてあげるわよ。」


どういう風の吹き回しですか?

貴女が進んで私を助けようなんて?


「お願いしても良いんですか?」


「どんな結論にたどり着いたとしてもかなりヤバそうな話でしょ?あんたがさっさと片付けてくれれば安心して私も街に行けるってものよ。」


「ありがとうございます。」


………………。

無言の時間が気まずいですね。

丁度良い機会ですし、少し躊躇いますがこの際聞いてしまいましょう。


「その…………、アリア様事を私は殆ど知らないんですが、アリア様の幼少の頃の話とか聞いても良いですか?」


「はぁ?何あんた今日はどっかに頭でもぶつけたの?」


「いえ、別におかしくはなってないですよ。……………ただ、幼少時からパーティーで会っていたディル様達と違ってアリア様の事は高等学院に入ってから出会いましたから。……おまけにあの様な態度でしたし。」


「あぁ。猫被ってたからね。」


あぁ~自分で言っちゃうんですね。


「え、えぇ………。なのでアリア様の事を知ってみたいと思いまして。」


「ふーん。………まあ良いわ。酒でも持ってきなさいよ。そしたら酒の摘まみ程度には話してあげるわよ。」


椅子から立ち上がり食糧庫の方にある軽めのワインを持ってくる。


「ほら。グラス出しなさい。」


「え?」


「私が注いであげるわよ。」


「私…………アルコールの経験がないんですが。」


「はぁ?」


この国では子供の酒類の摂取は禁止してはないものの、健康に影響大もいうことで子供の飲酒は推奨されてはいません。

とはいえ街の子供処か貴族の子供でさえ多少は口にしており、中には大人顔負けの酒豪も居ると聞きます。

ですが、私は未来の国母だったわけで当然健康に害のある飲酒等許されてはいなかったわけです。

ディル様が王位継承権を失い私が国母になることは無くなってからも、何かと言って理由を付けては今まで飲酒を避けてきたわけですが………………。


「はぁ。こんなもんただのジュースみたいなものよ。」


………まあ、あのアリア様が注いでくれるとのことですし、ジュース位と言うのならば………。


「では頂きます。」


グラスに紅いワインが注がれます。


「じゃ、乾杯「乾杯」。」


うぅ……?

………………苦い?

喉が熱くなるような感覚が。


「で、実家の話だったわね。まあ、なんてことは無い只の良くある話だけど、私は10歳まで父親の存在処か男爵家の血を継いでる事すら知らなかったのよ。」


………………。


「どんな理由が有ったのかは今も知らないけど、私の母親はスラムで私を1人で育ててたのよ。………で、あるとき破綻した。病気になった母は仕事を出来なくて食うにも困って私はゴミ漁り。当然薬なんて買えるわけもなく病状は悪化していったわ。」


アリア様がスラムで暮らしていたなんて………想像すらしてませんでした。


「そしてある時に1人の男が現れたのよ。その男は私に対して「私はお前の父親だ」と言ってきて、私と母を見たことが無いような豪邸に連れていったのよ。今考えてみれば所詮男爵家の大したこと無いものだけど当時の私にとっては考えられないような世界だったわけ。」


男爵家とはいえ、一般市民と比べてみれば遥かに裕福です。

私がスラムの生活を想像出来ないように、スラムの人達も貴族の生活なんて想像することすら不可能な程でしょう。


「そして、病気の母はその父親の第2婦人として結婚したわ。そして、その一週間後死んだわ。」



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