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14話

「で、取り敢えず仕事は急ぐ物も無いし、こちらを先行してやりましょう。私達の仕事と関係無いとは言えないですし。」


「で、どうすべきかですが………。」


「取り敢えず代行官様宛の手紙全部勝手に開いちゃいます?」


「それは………ありかもです?」


あぁ!

皆様勝手に話を進みすぎです!


「ちょっとお待ち下さい。重要な公文書等には開封の有無を確認できる魔法が掛かってますのでバレてしまいます!迂闊にバレれば私達をまとめて処分されてしまうかも知れないです。」


「えっ!そんなのあるの!?」


「はい。勝手に見られてしまったら機密などが漏れる可能性がありますからそれに対する抑止力になっています。もし、国に内緒で帝国と手を結んでいるならその情報が漏れることは一番のリスクです。勿論中身は暗号化されてるでしょうが、見られた時に直ぐ分かるようにそれなりの魔法を掛けていることが推測できます。」


「そっか………。じゃ無理かなぁ~。」


「それなら手紙自体捨てちゃえば良いんじゃない?それなら問題ないでしょ?」


手紙を捨てる。

公文書を勝手に破棄するなんて………考えもしませんでした。


「…………なるほど…でもそれはありかもしれませんね。」


この世界において物流はかなり弱い分野である。

街から街への輸送で喪失してしまうことも時々あるし、魔物なんかに襲われて商隊事パクりというのもざらにある。

ましてや、沢山の都市を跨ぐことになると手紙なんかの小さな物は半分近くが無くなる。

なので重要な手紙なんかは複数だして初めに届いたもの以外は廃棄してしまうこともあるのだ。


犯罪の証拠になるから管理はそれなりに厳重にして複数出すようなヘマはしないでしょうが、それでも手紙が無くならないわけではない筈。

怪しそうな物を1,2枚拝借しても怪しまれる事は無い筈でしょう。


「早速取ってきたよー!まだ(うえ)に上げてない手紙。」


持ってきてくれた手紙は5枚。


「あら?結構多いわね?」


「そうなんですか?」


私はこの街の執務官になって1ヶ月仕方ってないですし、そこまで詳しいことは分かりません。


「ええ、大体普通なら一枚程度だと思います。そもそも政務に関する物なら基本的に政務館宛に手紙を出すし、私用で送ってくる手紙は住まいの方に届くしょうし、代行官宛に手紙を出すとすれば国や貴族位のものでしょう?」


「じゃあこんなにたくさんあるのは異常ってことですね。……………手紙の差出先は……王都からの物が二つ、………あとは市中からが一つに…国外からが一つ………最後は…ミフェル領?」


我が家の領?

我が家からの手紙とは考えにくいですが、代行官宛に一般人が手紙を送るとも思えません。ここは地理的に国の真反対ですから政治的に関わりが少ないですし…………

そもそも、代行官は男爵家出身でそこまで重要な家ではないのでわざわざお父様が本人宛に手紙を贈るとは思えないのですが…………。

差出人を知りたいところですが、手紙の表面には送り主の情報以外は差出した領名しか書かないですからね………。


「ミフェル領ってフェテシアさんの?」


「ですね。何ででしょう?」


「フェテシアさんがいるから心配してご両親が領の代行官様に手紙を送ったんじゃ?」


「それはないですね。私がここにいるのを知っているのは一緒に生活している人達と、両親、あとは国王夫妻と王子殿下とその婚約者あとは公爵家クラスの貴族が数人程度です。ただの男爵にその事を伝えるとは思えません。」


「えっ?そんな重要な秘密だったんですか!」


万が一私の居場所を正確に知られて追っ掛けてこられれば、うっかりディル様の存在に気付いてしまう可能性がありますし、迂闊な広めるのは良くないです。

まあ、反応が面白そうですし適当に大きめに言っておきましょう。


「まあ、最悪の場合は内乱になるかもですね。なので秘密にしておいてください。」


ピシャッ!!


おお~。

一気に空気が凍りつきましたね。

まあ、私の存在を元にディル様の存在に勘づくかれたらあり得る未来ではありますし、嘘ではないですよ。


「な、なんでそんなこと話しちゃったんですか!」


「わ、私帰ったら今日の事を両親に話そうとしてたんですよ!」


「そんなにビックリされなくても………。」


予想外に反応が強すぎてビックリしてしまいました。


「まあ、最悪の場合に過ぎませんし、幾つかの予防策もあるのでみだりに人に話さなければ気にしなくて大丈夫ですよ。」


「あぁ~………冗談じゃなかったのね………。」


執務官長が項垂れながら呟います。


「じゃあこの手紙開けちゃいますか?」


見たくて堪らないといわんばかりに手紙を破る。



予定通り、天商祭は共に盛り上げよう。


志を同じくする者



「これだけですか?」


「天商祭って………なんでしょう?」


天商祭とは……なんとも懐かしい言葉。

ですが、周りの皆様は知らないみたいですし、説明することにしましょう。


「天商祭とは我が領で毎年行っている祭で、一年の安全と商いの発展を願う祭りです。まあ、名目はそんなところですが実際のところ商人を集め、商業を盛り上げる為の祭りです。今年の開催日は明日ですね。」


「へー。そんな祭りがあるんですね。」


「というか、領主の娘が名目とか言って良いわけなのかな?」


「良いんですよ。所詮は名前だけの祭りで結局市民の皆様も商人の皆様も楽しみたいだけですし、私達もそれを楽しみにしてますからね。…………それより気になるのは、()()()()()()()()という言葉。この街でも似たような祭りがあるのですか?」


そう。気になるのは()()という言葉。

まるでこの手紙を受けとる筈だった代行官も祭りに参加すると言わんばかりの内容。


「そんなもの……………あったかしら?」


「無いわよ。この街なんて所詮田舎何だから、この都市特有の祭りなんて無いし、帝国とも仲が悪いんだから国境も通りづらいし商人だって殆ど来ないわよ?そんな祭りはないわ。」


ふむ。

となるとこの手紙の意味とは?

そんな中一つの質問が飛んでくる。


「あっ、そう言えばフェテシアさんはこの筆跡に心当たりはあるんですか?」


「この手紙の筆跡ですか…………少なくとも我が家の人間や使用人、役人辺りではないですね。字が少々……稚拙というか乱雑過ぎます。」


筆跡を見てみると、字は知っているでしょうが綺麗に書くことに慣れていない人間の字です。貴族である私の家族やその代筆もする使用人、記録を残す意味でも読みやすい字を書く役人の字と比べると少し字が汚いです。


「となると………結局何も分かんないってことかぁ。」


「です……ね。」


皆様も答えが見えずに落ち込んでます。


「何でこんな意味深に書くの!もぉ~。分かりやすく書いてくれればいいのに!」


「…………!それじゃん!」


一人の娘がはぶてる様に言った言葉に対して一人が反応する。


「何か分かったんですか?」


「んーん。まあなんというか、一つ気付いた事はありますよ。………この手紙の内容はわざわざ大切な主語等を省いて分かりにくく書いてますよね?ってことはやっぱり何かしら内容はバレてはいけない重要な手紙ということだと思うんですよ。」


なるほど。

まあ、その可能性は高いかもしれません。

当人達しか分からないのうに手紙を書く必要があるほどの内容だったということですね。


「だからこそ、手紙の内容を考察しても私達には分からない様になっている筈、………なら手紙の内容じゃなくて何のための手紙なのかから逆説的に推測するのがいいんじゃないですか?」


「なるほどですね。手紙を出した理由。………仮に代行官が帝国と繋がっていることと関係あるとすれば………なんらかの作戦?…………ですが、我が領とここでは距離が遠すぎます………。」


「この手紙で唯一の情報は()()()って言葉ですよね?ってことは…………日付?………何らかの行動を起こすタイミングを報せているということですか?」


「ということは明日………。」


代行官は明日何らかの行動をこの手紙の差出人と共に起こすということ?

どう考えても穏便な物には思えません。


「なんにせよ………もう少し情報が欲しいですね。これだけではどの様に動くのが適切か判断がつきません。」


「………あの~フェテシアさん。私に一つ考えがあるんですけど。」

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