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vol.3 恩繋ぎ

前回、大事な事を言いそびれちゃった。


「もう一つ」 ってね。


言おうとしたら、セナにとって重要な出来事が起きたのを思い出しちゃった。




じゃあ改めて。




「もう一つ」は、







やっぱり皆に考えて貰おうかな。




考えるヒントはいくつか明示してあるからね。







その女の子の名前は


"ルカ"。




ルカはセナの教師人生で、もっとも深刻で、もっとも頭を悩ませる相談を持ち掛けてきた。






「私は将来、歩けなくなってしまうかもしれない。


体を自分の意思で動かせなくなるかもしれない。


だとしたら


今してるこの勉強は


どんな意味を成すのだろう。


動けなくなった私に


何をもたらしてくれるんだろう。



前が見えない。」




セナは何も言えなかった。






家に着いてすぐにパソコンを開いた。


真っ暗なその部屋を唯一照らすその液晶に映し出された。




"ギランバレー症候群"




体の免疫機能に不具合が生じ、


次第に四肢や体全体が麻痺。


最悪、人工呼吸器を必要とする体になることもあるらしい。


回復には手術が必要不可欠で


術後のリハビリもかなりキツいらしい。




セナは食い入るようにその液晶に映し出された文字を隅から隅までメモしていた。




その翌日。




セナは自身の相談室でルカと対峙していた。


病気のこと、普段のこと、勉強のこと。


話を聞いていると、ルカの事が色々と分かってきた。




病気が発覚したのは最近なので、手術を受ければ間に合うかもしれないこと。


ルカは母一人娘一人の母子家庭で、お母さんの好意で金銭的にも無理してまでこの進学校に通っていること。


つまり、


手術を受け、リハビリのため入院するお金など無いこと。




相談を受けるなかで、ルカが繰り返し言う言葉があった。


「先が見えない。それが怖い。」




セナはその言葉に妙に聞き覚えを感じていた。




それは、


セナの学生時代に感じていた不安そのものだった。




学歴、就職、人間関係。


当時セナの眼前に広がっていた暗闇を照らしてくれたのは先生だった。




そんな当時の自分をルカに重ねた。




今度は自分が目の前のこの小さな女の子の目の前に光を灯す番だ。




セナは具体的な方法が浮かばないまま


そう心に誓った。







セナはこの後、大きな決断をすることになる。




今度は自分自身が教師として。

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