第94話
「そんな馬鹿な事があるかっ!?」
俺達が騎士団長達のテントについた途端中からそんな怒鳴り声と共に「ドンッ!」と言う音が聞こえて来た。
おそらくマリーさんがシュタイナー達の件を報告しそれを信じられない騎士団長が机を叩いているのだろう。
そんな、到底信じられない様な報告に対して怒鳴るのは当然だろうな………。
なにせ内容が内容だ………信じられなくても仕方無い。
それでも真実である以上納得してもらわなければならない。
そう考えながらシャルを先頭にテントへ入ると予想通り机を挟んで反対に立つマリーさんを机を叩きながら立ち上がっている騎士団長の姿が見えた。
「アイツ等が裏切り者だとっ!?信じられる訳無いだろっ!シュタイナーは俺が騎士団に入った頃からずっと一緒にやって来た男なんだぞっ!そんな奴が裏切り者っ!?信じられる訳無いだろうがっ!」
「お気持ちは十分承知です。
しかし、コレは事実でありこの報告をされたのは第3部隊の副団長のキャンベル副団長です。
キャンベル副団長は嘘を言っておりませんし私も戦場で共に戦い騎士団の敷く陣形の中に魔物が突然現れ襲われているのも事実です。
それでもお疑いなのでしたらどうぞシャルティア姫様に申して下さい。
騎士団長への報告もシャルティア様からの指示で行われておりますので………」
「むぅ…………」
シャルからの指示でと言われては何も言えなくなったみたいで悔しそうに唸り声を上げている。
騎士団入団時からの付き合いのある人が裏切り者だと言われて信じたくないと言う彼の気持ちは理解出来したいが事はそれを許してはくれないので今は無視させてもらう。
「ちょっと良いでしょうか?」
彼等の会話が途切れたタイミングでシャルが彼等に声を掛けた。
あまりにもショックだったのか俺達が入って来た事にも気付いていなかった様で驚きと怒りの入り混じった表情で騎士団長はこちらへと振り返った。
それとは対象的にマリーさんは俺達が入って来た事に気付いていたらしく驚きは一切なく嬉しそうな顔をしてゆっくりとした動きでこちらを見た。
こうまで対象的になるのかと内心驚きながらそんな2人を観察した。
マリーさんは先程までの状況の所為何処か安堵した雰囲気を醸し出している。
対して騎士団長は先程までとは違い俺達だとはっきりと認識したらしく先程までの怒り等の部分が消え失せ体ごとこちらへと振り向きシャルへと騎士の礼を行っている。
こう言う彼の行動は流石騎士団長だと感じる。
「アイゼン騎士団長………信じられないのは理解出来ますがまずは落ち着いて下さい」
「姫様………とんだお見苦しい所を…………………」
「いえ、如何程も見苦しくなどありませんよ………むしろ普段あんなに怒鳴らない貴方にもそう言った所が有ったのかと嬉しく思いますよ」
「お恥ずかしい限りです………」
大のおっさんがシャルからそう言った所が有ると喜ばれて照れている………………誰得だよっ!。
思わずそうツッコミそうになったがなんとか我慢した………。
そうこうしてる内に騎士団長が落ち着いたのかシャルに事情を聞き出した。
「シャルティア様………マリーの言ってる事は………」
「全て事実です……正直私も信じたくは無かったのですが………」
「そう……ですか……………」
どうにか聞かされた事を納得しようとして目を閉じ天を仰ぐ様に顔を上へ向け瞑想しだした………。
完全に確認が取れるまでは納得何て出来ないだろうなぁ………。
俺だって同じ事になれば信じる事が出来ずに落ち込む………いや、むしろ再起不能になれるじしんが有る!……………自慢にもならんが………。
まぁ、何にしてもあまり時間をあげられないが少しだけ騎士団長が納得するまで待つ事にしたのだが1分位で騎士団長は目を開けた………。
「まだ完全に納得は出来てませんがシュタイナーとデズモンドが裏切り者の疑いが有る以上無視は出来ません………。
ですので騎士団全ての団員に彼等の捕縛を命じ抵抗…又は確信が得られた場合状況により彼等を討伐します………」
「辛いでしょうがお願いします」
「分かりました………。
それで………もう1つの方ですが………」
もう1つとはおそらくアソコで暴れている魔物達に関する事だろう………。
只でさえシュタイナーとデズモンドの所為で面倒なのにあの魔物達が元は人間で彼等を救うには討伐以外無い。
そして、それを行うのはレイリス様から直接指示された俺なのだ………。
不安しか無いだろうなぁ………。
多分こう考えてるんじゃないかな「私達も魔物と………」とか………。
「私達も共に戦いたいと思います!」
ほらね?そう言って来ると思ったよ。
出来れば俺だってこんな事とかしたく無いよ………けどさやらないと面倒な事になりそうなんだもん………。
しかも……あんな言い方されたら拒否何て出来ないしさ………卑怯だよね女って………。
けどさ………。
「クァクゥア(申し訳ないがそれは出来ない)」
「出来ない?一体どう言う事なのだ?………」
「クァクックァック………(この指示出してるのはレイリス様だ………)」
「たから?」
「クァクックァクゥアクックァック………(レイリス様の指示はこうだ【どうしても無理だと言わない限り俺にやって欲しい】と………)」
「あぁ……だから我々も共に…………」
「クァクゥア?………クックァッククッククゥア………クァック………(もう一度言うよ?………【魔物と化した人達を殺すのは俺にやって貰いたい】と言ってたんだ………つまりは………)」
「……………………っ!?まさか!?全てを1人で!?」
そうとしか取れない………。
多分俺が彼等を殺す事に意味が有るんだと思う………。
もし俺がやらずに他の人が彼等を殺したら魂が変質してるからレイリス様にも救えないとかさ?………。
ホント………拒否権無いよな………………。
この考えに辿り着かなければ何も考えずに彼等に助けを求められたのにな………。
俺はため息を付きながら皆にその事を話すのだった………。




