第91話
「クア……………(分かりました……………)」
俺はレイリス様によってもたらされた事実に打ちのめされ落ち込みながらそう答えるので精一杯だった………。
何せ………俺が考えていた通りだと肯定されてしまったのだから………。
その内容は【今戦っている魔物が元人間だった人達】と言う内容だからだ………。
そして、その人達を元の人間に戻す事は出来ないと言われた………。
つまりは彼等の救いとは死しか無いと言う事なのだ………。
そして、それに気付いているのは今の所俺だけだ………。
皆に言うべきなのかな………………でも、皆にこの事を話してコレからの戦いで魔物と戦えるのか?………。
多分無理だろうな………。
副団長やマリーさんの様な軍人はそう言った覚悟もしてるかもしれないがシアやシャルは違う………。
もしかしたらシアは職業柄そう言った依頼が来るかもしれないが今はそんな覚悟すらせずここに居る………。
シャルは姫としての覚悟があるかもしれないが無理に咎を負う事は無いと思う………。
そしてメリアやアルドもそれは同じだ………。
と……なれば俺だけがその事実を胸に秘めてやるしか無い………。
罪を負うのは俺だけで良い………。
そんな俺の覚悟に気付いてるのかシャルがじ〜っと俺を見ている………いや、今はまだレイリス様か………まぁ、どっちでも良いか。
とにかく何か言いたい事が有るのか未だに目をそらさない………。
「………クア?(………何か?)」
「いえ………それも選択ですね………。
ですが私は皆さんに話す事をオススメします………」
そう言ってレイリス様は皆を眺めた後「そろそろ時間です………」そう言ってから再度俺の目を見詰めて来た。
そして………。
「最後にフォルテース……貴方に1つだけアドバイスを………。
貴方がどの様な選択をしようと構いませんが後悔だけはしない様にして下さい。
もし、選択に迷うなら仲間を頼りなさい。
貴方は決して1人では無いのですから………。
そして皆さんにも伝えましょう。
コレからフォルテースから聞く事には覚悟が問われます心に留めておいて下さい。
それではまたいつの日かお会いする事があるかも知れませんその時までどうか悔いの残らないよう生きて下さい………」
その言葉を最後にシャルに憑依していたレイリス様が出て行った様でシャルはその場で膝を着いた。
それに驚いた俺達は慌ててシャルに近寄りシャルを心配した。
そんな俺達にシャルは笑顔を浮かべて「大丈夫です」と答えた。
その笑顔に俺達は安心した。
……………レイリス様が言っていたがどうするか………。
話せば皆は悩むだろう………もしかしたら受け止めきれずに戦え無くなってしまうだろうが………どうするか………。
そうして悩んでいるとふと見られている様な感じがして顔を上げると皆が俺をじっと見ていた。
おそらく俺が話すのを待っているんだろうな……………ホントどうしょう………。
「やっぱり話せませんか?………」
シャルは俺の事を心配そうな顔をして話し掛けて来た。
何度も心配ばかり掛けているな………。
「私にも話せない?」
シアもシャルと同じ顔をしている………。
シアにも何時も迷惑を掛けているなぁ………。
俺の弱い所を何時も救って貰ってるしな………。
………………巻き込みたくはない…………話すには重すぎる事実だ………けど知らせなくてもシア達が戦えば………いや、多分あの狼達もおそらくここの人達と同じ様に何処かに住んでいた人達だった筈だ………つまりは手遅れか………。
「クァ……クックァ………クゥア………(分かった……話すよ………実は………)」
そこからの皆の反応は様々だった………。
驚愕……悲しみ……嘆き……無表情……今にも叫び出しそうな程の怒り………そして俺を見てレイリス様に言われた頼みに思い当たり心配そうな顔をしだした。
実際これから俺がやる事は魔物に変えられた人達の大量虐殺だ………。
「レイリス様の仰っていた覚悟とはこの事だったのですね」
シャルの呟きに皆の表情が引き締まった。
その中でもキャンベル副団長とマリーさんのその表情は一味違う感じがする。
おそらくだが仲間がその魔物化の元凶かそれとも主導者なのかははっきりしないが関係してるのは間違いない。
そんな彼等を止められるのは自分達だけだと思ってるのだろうな………。
そんな彼等を放置してメリアとアルドはお互いに見合ってから俺を見て真剣な顔でこう聞いて来た。
「フォルテース………貴方殺れるの?」
殺れるの?……か………正直俺も耐えられそうには無いがそれでもやるしか無い………。
彼等はもう人では無く魔物なのだから………。
それにもし、俺が同じ様に魔物………まぁ、魔物………それも竜何だけどそれでも理性は持ってると思う………。
まぁ、そんな俺がもし理性を無くすか持ってても自分の意思で動けないで人を襲ってしまうなら殺して欲しいと思う………。
だから彼等の気持ちも少しは分かるつもりだ。
だから彼等を救うその為に俺は手を血に染める………。
きっと終わったら後悔するかも知れないけど………。
それにレイリス様が俺にお願いして来たって事は多分俺にしか出来ない事なんだろうから………だから………。
「クァ……クッククゥア………(やるよ……それが彼等の為だから………)」
「そう………だ、そうよ………」
そう言ってシア達をメリアは眺めた。
その視線を受けてシアは表情が曇り陰りシャルは目を閉じ何かを考え始めた。
キャンベル副団長とマリーさんはお互いに見合ってから頷き合って騎士の礼だと思われる行動を取った。
神官さんは跪いて十字を切り祈りを捧げ始めた。
多分話の内容が衝撃的過ぎたんだろうなぁ………。
「…………フォル」
「クァ………(やめないよ………)」
「…………フォルぅ」
「クァ………(大丈夫………)」
ホントは大丈夫じゃないけど………。
それを聞いたシアは黙って俯いてしまった。
そのやり取りを聞き終わった後シャルは目を開き何かを決意した目で俺を見た。
「フォルテース様他の方々には?」
「クァクゥアクックア………(話すべき何だけど時間が無い………)」
「騎士団長には私が伝えます」
「頼みましたよマリー」
「お任せ下さい!」
そのままマリーさんは救護所を出て行こうとしたので止めて他の事も説明する必要とそれを疑われたらシャルの名前を出す様に指示した。
その間シアは俯いたままだ。
納得………出来ないよな……………。
シアの事は後でなんとかしよう。
とにかく俺はやるしか無いと決意を固めた。




