第90話
side:レイリス
『我…………祭…………転生……神…………我が………を………き届……………ませ………どう………我……………声…………導き…………下さい………………』
「あら?……………」
いつもの様にこの世界で亡くなった魂の情報を解析し次の転生先を選んでいたら誰かからの呼び声が聞こえて来たわ………。
一体誰が………。
「あらあら?これは………」
「どうかなされたのですか?レイリス様?」
ちょっと予想外の出来事に驚いて声を出してしまったらそう言って自分の仕事の手を止め私にメイビスが声を掛けてきたわ。
「えぇ………どうやらシャルティアが呼び掛けているみたいなのよ」
「シャルティア………あの娘ってまだ巫女になったばっかりですよね?」
「えぇそうよ」
「それなのにもう声を届けられる様になったのですか!?」
そう言ってメイビスは下界の様子を探り始めたわね………。
「わぁ!?本当に繋がってる!?」
そう彼女が驚くのも無理が無いわよね………。
なにせ私達の居る神界と彼等の居る下界の間には分厚い壁の様な空間の隔たりが存在しているのだから………。
この壁が分厚過ぎて【交神】のスキルレベルが低いと全然声が届かないのよね………不便でしょうがないわ………。
それにしても………いくら私の加護を持ってるとは言え早くてもシャルティアが私達に声を届けられる様になるには最低でも半年は掛かる筈なのに………凄いわね。
さて………一体何の……………あぁ……フォルテースは気付いたみたいね………。
そして、メイビスも疑問に思ったのか彼等が何故連絡をして来たのか調べたようね。
驚愕に彩られていた顔がみるみる内に真剣なモノに変わりだしたわ。
そして、そのままメイビスは私に尋ねて来たわ。
「レイリス様………どうなさるお積もりで?」
どうなさるお積もりって………どうなさるもこうなさるも話さない訳には行かないわよ………。
何せそれ1つで世界の全てが危機にさらされるのだから………。
「話さない訳には行かないわよ………彼等に恨まれたくないもの………」
「そうですよね………」
とにかく彼女の声に答えてあげなければ………何時までも放置する訳には行かないもの。
これから彼等にする話しを頭の中で整理しつつ私は鬱になりそうな思いで準備を始めた………。
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Side:シャルティア
私が祈り始めてからどれ位経ったのでしょうか?………。
5分?10分?もしかしたらもっとかも知れません………。
本来はこう言った事は事前に教会等の神様方に関わる場所でしっかりと準備をしてそう言った環境を整えてから数日を掛けて行うものなのですが今回はそんな事言ってられません………。
どうやらフォルテース様は今回の事で大事な何かにお気付きになられた様でそれをどうしても確かめたいとの事なのです。
そして、それを確かめるには神の内のどなたか1注にお伺いしなければならない様です。
そして、それを出来るのは神に仕える巫女であるシア様か同じ巫女である私しか居りません………。
しかし、シア様の巫女としての力は完全には覚醒しておらず神との交神が出来ません………。
つまりそれが出来るのは現状私のみと言う事なのです………。
なれば!絶対に成功させてみせます!。
その思いを込め私はもう3度目になる【交神】のスキルを発動しました。
『我等が祭り奉る転生の神よ………我が祈りをお聞き届け下さいませ………どうか我等にその声とお導きをお与え下さいませ………』
魔力回復薬がここには常備されているとはいえそれは誰かの治癒の為に使われる物………。
自分で用意したのならいざ知らずそうじゃない物を使う訳にはまいりません………。
つまりは自前のMPでやるしかありません………そしてこれが最後です………。
レイリス様………どうかお答え下さい!…………。
その思いが通じたのかこの場の空気が荘厳で清らかなモノに変わりました。
この感覚を味わうのは2回目です………。
1回目はあのフォルテース様への報賞をどうするか等の話し合いの最中に有ったレイリス様からの神託の時………。
そして、今回………以前も感じたのですが何と言うか………こうしてレイリス様と繋がった時に感じるこの感覚……………まるでお母様に抱き締められている様な安心感が有りますね………。
さて、皆さんもレイリス様と繋がったのを感じてる筈です………さっそくお話を………………そう思った瞬間私の中にとてつもなく大きな………それでいて優しい力が入って来ました。
一体何が………そう思い体を動かそうとした瞬間頭の中に声が聞こえて来ました。
『シャルティア?………聞こえますか?シャルティア?』
(え!?そのお声は!?レイリス様!?)
『そうです………そして先に言っておきます今回フォルテースが私に聞きたい事ですがとても大事な事になります。
本当は降臨して直接話したかったのですがこないだ降りたばかりの為今回それは出来ません………。
ですのでシャルティアの身体を借りる事になりました。
これは巫女や聖女に与えられるスキルで名を【神降ろし】といいます。
これは私の巫女であるシャルティアにしか使えないモノで今回の様に【交神】を使った後私とのパスが繋がっている時にのみ使えるスキルです。
憑依いていられる時間はスキルレベルに依存して最初は1分程しか持ちません』
え?【神降ろし】?レイリス様が憑依?一体どう言う!?………。
『戸惑うのは分かりますが今は時間がありません………。
早速ですが身体を借りますね?』
そう言われた?瞬間私は不思議な体験をしました………。
気付くと私は自分の斜め後ろに立ちそこから皆さんを見ていました。
何と言えば良いのでしょうか?………普通こう言った事が起きれば慌てたり怖くなったりするものなのでしょうが全然そんなのを感じません………これもレイリス様が関係してるからでしょうか?。
そんな私の口が動きフォルテース様に話し掛けました。
「お久しぶりですねフォルテース………それと皆さん始めまして私はレイリス今はシャルティアの身体を借りて話しております」
「「「「「……………え?」」」」」
うん………そう言う反応になりますよね。
おそらく私も他の誰かがレイリス様を憑依させて話し掛けられたら同じ反応をすると思いますもの………。
「さて、今回この様な形を取ったのはフォルテース、貴方の質問に答える為です」
あの………レイリス様?………いきなりの事で皆さん固まっていらっしゃるのですが?放置なのですか?。
「時間が無いので担当直入に話します。
フォルテース………貴方の考えている通りです」
「………ッ!?」
どう言う事でしょうか?フォルテース様の考えている通りと仰っておりますが何が何やら………。
「詳しく話したいのですが時間が有りませんので詳しくはフォルテースに話して貰って下さい。
取り敢えずフォルテース………まず最初に言っておきます解決策は有りません………。
唯一の救いは速やかに彼等を殺して上げる事だけです………。
他に方法が有れば良かったのですがコレしか方法は有りません………。
正直………貴方には酷な事をして貰う事になります………ですが、どうか彼等を救う為に貴方の力を貸しては貰えませんか?………。
どうしても出来ないと言うのなら無理にとは言いません………。
ですが……私はフォルテース………貴方にお願いしたいのです………。
どうかお願いします………」
そう言ってレイリス様は(私の身体の)頭を下げました………。
そんなレイリス様をフォルテース様は決意の篭った目で見詰め「クア……………(分かりました……………)」と一言だけ伝えました。
何がなにやらさっぱりですが………コレだけははっきりと分かります。
コレからフォルテース様はとてつもない悲しみを背負われるのだと………。
出来るのであれば……どうか……どうか少しでもフォルテース様の苦しみを少なくしたい………。
そんなレイリス様とフォルテース様を見て私はそう願わずにいられませんでした………。




