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第86話


「シアさん!こっちに包帯を!」


「こっちにもお願い!」


「はいっ!」


「こっちら包帯を巻き終わりました!」


「ではシャルティア様!次はこちらをお願いします!」


「分かりました!」


 これぞまさに医療従事者達の戦争………って言うんだろうな………。

そして、ここに来た俺達はそれぞれに役割を与えられた。

シアには包帯を配る補助を。

シャルには姫として医療従事者の訓練を受けた事が有るらしくその際習った軽・中症者への治癒を中心にやる役割を。

アルドとメリアは運び込まれた患者をベッドへ運ぶ体力勝負の役割を。

俺はレベルは低いが回復魔法を使えるのでそれを使い軽症者の治癒をやっている。

ひっきりなしに軽症者が運び込まれるので忙しくMPの回復すら出来ない………。

その所為でさっきから何度もMPを回復出来る薬MPポーションを何度も飲んでいる程だ………。

お陰で全属性魔法とさっき手に入れたMP系スキル3つのレベルが上がってるので嬉しいのだが………飲み過ぎで腹がタプタプだ………。

それにしてもブラッドフェンリル以外は何と言うか順調だな………。

【強制覚醒】を使うまでに狼を何匹も倒してるからレベルも上がってるしこのまま問題無く進んで欲しいな………後出来ればレベル上げもしたいから戦闘もしたいな………………そう思うなら最初から戦えよって思ったろ?…………それが出来れば苦労しないって………。

シャルを含めてここでは配置の決定権があるのは俺達じゃなくて第1部隊団長なんだから。

そうじゃなきゃとっくに戦場に出てるって………。

ちなみに副団長は戦場に出てる………羨ましいな。


「赤入ります!」


 赤!?それって重症者だよな!?まじか!。

傷病者にはランクがある青は軽症者で打撲切り傷等ちょっとした傷に対して示される略語。

黄の呼ばれ方をしたのは中傷者の事を良い骨折や火傷等の何らかの障害を施す傷等を示す。

そして赤……これは重症者を指す言葉だ………。

その傷病は部位欠損が中心の戦闘に限らず日常生活にも影響を及ぼす程の傷を指す…………そして。


「現在!左半身にレベル2の火傷!左手欠損!両足骨折!そして心肺停止状態です!?」


 そう瀕死や絶望的状態を指す…………。

そして運び込まれて来たのは………。


「「「「「クア!?(((((副団長!?)))))」」」」」


 何が有ったんだ!?何で彼女がこんな事に!?。

こんな重症を負うって!それよりも直ぐに治癒を!。


「ハビノ!心肺蘇生!?回復魔法を使える者は全力で回復を!?」


「「「「「はい!」」」」」


「マリー!何が有ったのです!?」


「か、彼女は……キャンベル副団長は私を庇って爆裂石に当たって……それでっ………私はっ………」


 シャルがマリーと呼んだ女性騎士はその場で膝から崩れその場で泣き崩れた。

そんな彼女にシャルは優しく触れた。


「大丈夫です……大丈夫ですよ………」


 そう優しく声を掛けながらその頭を抱き締めながらその頭を撫でつつ慰め続けた。

マリーはそんなシャルの胸の中で泣き続けた………。

俺はそんな彼女達に………。


「クァ……クックゥア………(大丈夫……彼女は絶対に助けるから………)」


 そうあ言って副団長の下へ飛び上がった。

そのまま彼女の上で滞空しステータスを操作した。

現在の俺は狼でのレベルアップで23までレベルが上がっている。

それに伴いスキルポイントも大幅に手に入れた。

それを俺はMP増強につぎ込み残ったモノを全属性魔法に入れた。

これにより全属性魔法はレベル4にMP増強はレベル3まで上がった。

全属性魔法はレベルにより使える魔法の種類が増える。

その為レベル4の現在使えるのは中級魔法までだ。

俺はその内の大回復ハイ・ヒールを使った。


「クアックア(大回復ハイ・ヒール)」


 この世界の回復魔法は損傷した肉体をその効果の許す範囲で修復するスキルだ。

しかし、それはこの世界の人達・・が使う場合だ。

俺は元々はあちらの世界の人間だ。

その為魔法に頼らない医療をこの世界の人より詳しく知っている………それこそこの世界では異端になるのではと思う程に………。

何せあちらの世界には人体模型等の標本には事欠かない程なのだから………。

更には俺は医療関係のドラマが好きで色々と見ていた。

有名なのは都市部が大地震で孤立そんな中で自分達の全てで救急医療を行う奮闘ドラマや医者がひょんな事から江戸時代にタイムスリップしてその時代の医者として薬を作ったりするドラマまで何でも見ていた。

だから人の身体が治る仕組みも良く知っている………。

さて、そんな俺が回復魔法を使ったら?………答えはコレだ。


「うそ………」


「何とっ!?」


「おぉ………損傷部位が…………」


「奇跡だ………」


「だが心臓は………」


 俺の回復魔法が副団長の身体を包み作用し始めた。

まず失われた腕からだ………。

その炭化して固くなった二の腕………そこに光が集まりまるで瘡蓋が剥がれる様に炭化した部分が崩れそのまま光が腕の形を作り出した。

その光の中では少しずつ腕が再生されて行っている………。

二の腕の残っている根本から少しずつ骨が再生されて行き………それが指の先端まで行くとまた根本に光が集まり今度は筋肉が再生されて行った………。

それが終ると今度は皮膚が再生された………何と言うか………グロいな!?。

けどコレで他の場所も治せる事が確定した。

だから俺は意識してその光を全身に行き渡らせた。

すると彼女の身体は強い光に包まれ目を開けてられない程に発行した………。

しばらくするとその光は収まりその収まった場所には元の綺麗な彼女の身体が横たわっていた。


「「「「おぉ………」」」」


 皆はそれを見て感動しているがまだ終わりじゃない!。

俺は彼女のムネに手を当てレベル1の雷魔法を発動した。

その刺激に彼女の身体は跳ねた………が。


「クアック!………(戻って来い!………)」


「フォル………」 


「クァッ!クアック!………(お願いだ!戻って来い!………)」


 まだ動かない!頼む!戻って来いっ!。

俺はその願いを込め何度も雷魔法を発動した………そして。


「かはっ!?…………」


「まさか!?」


「息を吹き替えした!?」


「まさに………まさに!奇跡だ!」


「おぉ………神様…………」


 そうして彼女が規則正しい寝息を立て始めた所で俺は彼女の横に降り立ち安堵からそのまま座り込んでしまった………。

良かった………何とかなった………。

俺はそんな安堵と共に喜び会っている人達を眺め続けた。



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