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第83話


「クァ……クッククアァ…………(何か……ゴブリンの時とにてるなぁ…………)」


「「「「え?」」」」


「あの……フォルテース様?どの辺が似ているのですか?」


 俺の言葉に皆は疑問を感じそれを察したシャルが代表として聞いてきた。

その疑問に答える為俺は一つ一つ思い出す様に話し始めた。


「クァクゥアクックァ?(ゴブリンの時洞窟内で突然襲われたの覚えてる?)」


「ええ、見張っていた分かれ道からでしたよね?」


「クァクッ………クァクァック………クゥアクッククァ?(それじゃあギルドでの報告会………って言って良いのかなぁ………まぁいいや取り敢えずあの時のサブマスターの話覚えてる?)」


 あの時は色々と面倒な事が有ったがあの言葉だけは何故か印象に残っていた。

それは俺だけでは無くシアもそう感じていた様だ。


「えっと………確かゴブリンを誰かが召喚したかもって………」


「クゥアクゥア(そえそれ)」


「けどアレってダンジョンが溢れたんじゃないの?」


 まぁ………普通はそう考えるよな………でも…………。


「クァクゥア(俺も最初はそう思ってた)」


「最初はってどういう事?」


「クァクックァクゥアクックゥア(まずあの時俺達はゴブリン討伐の依頼であの場所へと行ったよね)」


「ええそうね」


「クァクゥアクックァクゥアクァック(けど洞窟の探索の時あの瞬間までゴブリンとの遭遇は小規模のモノしか無かった)」


「確かに5匹程の小さな集団と2、3回程しか遭遇してませんね」


「けどアレってただの斥候とかじゃないの?」


 シャルがあの時の遭遇数を思い出しそれを補足するかの様に問いかけて来た。

人間が相手ならそれで合ってるんだけど………。


「クァクゥアクッククァック?(人間ならそれで納得するんだけどね相手はゴブリンだよ?)」


「ゴブリンでは納得出来ないと?」


「クゥクックァクゥア?(あのロードは知性を感じたけど他のゴブリンってそこまで頭いいの?)」


 俺のその問いに皆は考え出した。

俺が知ってる………と言うか向こうの知識にあるゴブリンは卑怯でバカ人と見たら襲い男は殺し女は犯すがモットーの魔物だ。

そして、罠は仕掛けるが簡単に見破れる………待ち伏せは出来るが声を上げながら襲い掛かる。

そんな程度の相手だ。

そして、皆もそれに行き着いたらしい。


「確かにゴブリンはそこまで利口な頭はしていないわね………それじゃあアレはいったい………」


「クァック………クッククァクァック………クァア………(考えられるのは2つ………1つは単純に群れからはぐれた存在だったか………あるいわ………)」


 俺がそこまで言った時………俺と同じ考えに至ったのか副団長が言った。


「何者かの指示で動いていたかですか………」


「ちょっと待って下さい!もしそうだとしていったい誰が指示を出したと言うのですか!?」


「それは分かりません………ですがその可能性は高いかと」


「何故そう思ったのですか?」


 メリアが副団長に質問をした………と言うかメリアなら気が付きそうなんだけどなぁ………。


「私もフォルテース様が仰られなければ気にも止めて無かったでしょうから………結論から言います………数です」


「数ですか?」


 メリアはまだ理解出来てないのか首を傾げた。

シアやシャルも同様に分かっていないのか「う〜〜ん………」唸っている。

その姿になんとなく俺は和みながら副団長の推測を聞いた。


「ええ、皆さん大暴走スタンピードが起こる数はご存知ですか?」


「えっと………どれ位だろう………」


「確か……ギルドの基準だと100だったかしら?」


「ええ、それで合ってます………ただしそれは野生のであればです」


「野生の?アレは野生ではないのですか?」


 厳密に言えばアレも野生と言えば野生何だろうけどダンジョンにいる魔物ってのは俺からすると野生ってよりもダンジョンに飼われてる魔物って感じなんだよなぁ………。


「私も少しだけですが報告書を読みました。

討伐戦の後ゴブリンが出て来た場所を進んだらダンジョンが有ったとか………」


「ええ、と言っても私はこの前の騎士団詰め所に行った時初めて知りましたがあそこにダンジョンが有るらしいですねそれが何か関係が有るのですか?」


「有ります………最新の研究で分かった事なのですがダンジョンはこの世界に存在する場所ではなく入り口によって繋がった異空間らしいのです。

研究者達が何故ダンジョンは異空間何かと考えたのはこの世界とダンジョンを繋ぐ入り口と階段………そして存在してる場所からは考えられない方向に伸びる階層だそうです」


「入り口?……えっと………良く分かんないけどどうしてそれが異空間だって考えになったのです?」


「まず入り口と階段については簡単です。

ダンジョンの入り口並びに階段には何らかの障壁の様なものが存在していてそこからはダンジョン内の魔物が出て来れないらしいです」


「あぁ………確かにそうね………私も経験があるけど階層から別の階層に魔物が侵入したって聞いた事はないわね」


「ダンジョンには各階層の決められた種類が存在しそれ以外の魔物は出て来ないと書かれていました。

これはダンジョンを生業にしている方々からの報告でもはっきりしている事実です。

そしてそう言う方々からの報告には当然魔物に敵わず逃げた時の報告も有ります。

そして、その逃げた報告では階段へと逃げ込んだ瞬間その階段の入り口でその魔物が何かにぶつかりそれ以上進んで来なかったと言うのが多数報告されていたと言う話です。

そして、それを実証する為に様々な実験が行われその中にはダンジョンの入り口でのモノも有るとの事で………そして入り口を含めて各階層を繋ぐ階層は障壁によって遮られた異空間では無いかと結論付けられたらしいです」


 なる程と皆が納得した所でならばもう一つの理由【存在してる場所からは考えられない方向に伸びる階層】についてはと言うと………以下の通りである。

この国の王都から北に行った所にある街……その近くには深い森が存在していてその森の中にぽつんと下へと下りる様に洞窟が存在しているらしい。

最初はそれがダンジョンだとは誰も思わなかったらしい。

しかし、ある時その洞窟から魔物が溢れて来て街を襲ったのだそうだ。

その時は何とか撃退しその街は助かったのだが同じ事が有っては堪らないと調べた所街を襲った魔物達はその洞窟から現れたと判明したのだ。

ならばその洞窟を放って置けないと領主は狩人ハンターを雇い洞窟を調べたのだそうだ。

その洞窟は中に入ると広く入り組んだ構造をしていて中には魔物が居て1番奥には階段が存在していた。

そしてその階段はへとあがる階段なのだそうだ。

誰もがその階段を外へと続く階段だと思ったらしい。

しかし、その階段を登った先に有ったのは広く更に入り組んだ通路だった。

その時はそれまでの疲労等も有り戻る事になり翌日その地図を頼りにその階段の有る場所へと向ったそうだ………。

同時にその洞窟周辺も調査を行っていたのだが後日その調査報告で聞いた場所には洞窟内に存在する階段が有りそうな山等の起伏のある場所は無かったそうだ。

何か変だと思った領主は国へと報告………その後国からの調査団と共に調べた所その洞窟がダンジョンだと判明したと言うはなしだ。

つまり何が言いたいかと言うとこの話の肝は存在している筈の場所にその存在が無かったと言う事………。

つまりは各階層が別の場所を繋ぐ階段によって繋がっていてその階層はそれぞれ個別に存在する異空間だと考えたと言う事だ。

ただ、これは実証された訳では無くあくまで考えられる可能性として異空間なのではと考えられていると言う話だ。

そしてそれを聞いた皆は良く分からないが何となく理解したと言った顔だ。


「つまりダンジョンの入り口等はこちらの世界を隔てる障壁が存在しそれによりこの世界とダンジョンは隔絶されていると言う事です………そしてここからが本題なのですがダンジョンの大暴走スタンピードが起こる仕組みは誰も手を出していないダンジョン内に魔物が溢れそれが異空間の許容範囲を超える所為で異空間を隔てる障壁が耐えられなくなるからと言われているのです………そしてその数ですが………」


 そうして副団長は一旦言葉を止めて皆の意識が集まるとその大暴走スタンピードで出て来る数を言った。

それを聞いた皆はあまりの衝撃に言葉を失ったのだった。



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