第77話
side:クラリス・キャンベル
「ガウッ!」
「鬱陶しい!」
「ギャンッ!?………」
「5匹目………」
「ご無事ですか!?キャンベル副団長!」
「報告せよ!」
「はっ!西の森より魔狼の群れと思われる集団が野営地全域に襲撃を掛けて来ております!総数不明!現在確認されてる種類は各種カラーウルフとハイカラー種!上位種存在不確定!負傷者多数!負傷者は現在東の平原側へと集めています!」
「姫様は!」
「現在所在不明!シャルティア姫様が最後に確認されたテント周辺を中心に捜索中です!」
「最優先で探せ!おそらくあのトカゲと一緒に居るはずだ!第一優先でお守りするのだ!」
「了解しました!」
「……………」
私は報告に来た部下が去った後思わず小さな声で「くそっ!」っと悪態をついた………。
この3日間何事も無くここまで来たのだがその所為か警戒が緩んでいた様だ………その結果襲撃を許してしまった………。
これで姫様に何かあったら………。
そう考えた瞬間私の身体は震え出した………。
「アァァァァァァッ!?」
姫様が狼共に襲われもし何かあったらと考えただけで私は思わず叫んでしまった。
「あのトカゲ………姫様に何かあったら殺してやる!」
そう決意して私は考えながらも周りをずっと気にしていた。
とにかくこの混乱を何とかしなければ………。
そこまで考え私は前へと踏み出し今、正に部下達と戦っている狼に斬り掛かった。
「ギャンッ!………」
「大丈夫か!」
「「「キャンベル副団長!はい!」」」
「なら他の者達の救援にまわれ!狼共は群れるから強いのであって1体だけならそこまで強くない!2人以上で連携して確実に倒して行け!倒したら散開して他の者にこの指示を伝え他の者を救援しろ!」
「「「了解しました!」」」
私はそう指示し次々と他の部下達を助けていった………。
そうして行動し始めてからどれだけの狼を殺しただろうか?10?20?数も分からなくなる程倒して行くとようやく混乱が収まって来た。
だがそれはまやかしだった………。
私の目の前に血のように赤い毛を持つ大きな………いや、巨大な狼が現れた………。
「ブラッドフェンリル………」
上位種………いや、堕ちた神獣………。
まさかこんなモノが出てくるとは………。
ブラッドフェンリル………100年程前からこの国で時折現れて村や街を襲って甚大な被害を出す魔物だ………。
元々は世界を護る神獣だったと言われているが研究者達の間ではウルフ達の最上位種なのではと言われているが………そんな事は今はどうでも良い………今はこの化け物からどう生き残るかだ………。
全員で飛び掛かる?………ダメだ!食われるか爪で裂かれるだけだ!………対話をする?………100年も暴れ回ってる奴に対話など出来るとは思えん!それこそ出来るのならとっくにやっている筈だ!………ならバラバラになって逃げる?………ダメだ!どう考えても逃げ切れるとは思えない!どうする!どうすれば!。
どうして良いか分からずに私を含めた騎士団の者達はその場でただただ同じ事を考え続けるしか出来ずにいるしか無かった………。
そして、そんな私達に焦れたのかブラッドフェンリルが遂に動き出し私達に飛び掛かって来た………。
しかし突然………。
「グゥオォォォォォッ!」
そんな叫びと一緒にブラッドフェンリルに横から黒い塊が物凄い速度でぶつかった。
今度は何だ!そう思いながらその塊を見るとそこには鋭い爪と牙を持ち全身が黒い鱗に覆われ金色に光り輝いている様に見える瞳を持つ竜がいた………。
「グルルルル………」
「グゥゥゥゥ………」
お互いに睨み合い唸り声を上げている。
「一体何が………」
この訳の分からない光景を見て思わずそう呟いていた………本当に何なのコレ………。
「ご無事の様ですね副団長」
「姫様!?ご無事だったのですね!」
「えぇ……それで?騎士団の状況は?」
「魔狼の群れの殆どを討伐しましたが負傷者が多数出てます………それで……そのぉ……アレは?」
そう言ってみた先には先程からブラッドフェンリルと黒鱗の竜が魔狼の群れの中心で睨み合いをし続けている。
まさに一触即発の雰囲気………。
何かの切っ掛けがあれば即座に激しい戦いが起こるのは明白だ。
そう思った瞬間2体は同時に動き出した。
「「グルァァァァッ」」
その叫び同時に2体はぶつかり合った。
『ドンッ!』そんな音と共に何かが破裂したかの様な衝撃を感じた………。
ぶつかった衝撃をそのままにブラッドフェンリルが噛みつこうとしそれをさせないとか黒竜が左腕で顎下から殴りつけた。
それを察しブラッドフェンリルは顔を反らしつつ右脚を振り上げその鋭い爪を振り下ろした。
斬りつけられてたまるかとその腕を黒竜は左手で払い反撃と右腕でブラッドフェンリルを殴りつけた。
それを避ける為にブラッドフェンリルは身体を低くしその姿勢のまま後ろ脚で地面を蹴りつけ体当たりを繰り出した。
その体当たりを避ける為黒竜は後ろへ飛んだ。
ついでとばかりに黒竜は後ろへ飛びながらブラッドフェンリルの顎を狙い右脚を真上へと蹴り上げた。
それに反応したブラッドフェンリルは脚の上に乗る形で前脚を置き天へと向かう勢いを利用し後ろへ飛び退いた。
その為2体はお互いに距離を開け最初の睨み合いをしていた位置へと戻りまたお互いに睨み合いをしだした。
私達はただ見続ける事しか出来ずにいた………。
それは魔狼の群れも同じで余りの激しさに身動きが出来ずにいる様だ………。
この激しい戦いを見て私達は理解した………私達の運命はこの2体の決着に掛かっていると………。




