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第75話


 俺は今地獄の中に居る……………。

どんな地獄かって?…………それは、コレだ!。


「クァ!(爪!)」


「違う!敵の攻撃を避けるのに武器を持ってない方に行くのでは無く持っている側へと避けろ!突き!払い!薙ぎ!打ち下ろし!どんな攻撃でも起点となるのは肩だ!範囲などはその肩から繋がる腕とその腕で持つ武器の分しかないのだ!それだって相手の内側に潜り込んでしまえば十全な効果は発揮されない!怖がる暇が有るのなら一歩でも内側へ動け!この“ピー”が!」


「クァクゥア!(Sir,yes,Sir!)」


「タイミングが遅い!もっと早く!貴様はその辺で草を食べてる芋虫か!その程度なら芋虫の方がマシだぞ!切られて糞尿タレ流したいのか!この蛆虫野郎!」


「クァクゥア!(Sir,no,Sir!)」


「返事などしてる暇が有るのなら動け!それとも切られたいのか!このドM野郎が!」


「………(………)」


「返事はどうした!返事は!」


「クァクゥア!(Sir,yes,Sir!)」


 ……………と、まぁ……ハート○ン中です。

王都の騎士団訓練場で騎士の方々と合流した後自己紹介等は手短にしてそのまま出発行程としては5日後に到着の予定でその間出来るだけ消耗を避けつつ移動となっている。

現在はその3日目に当たる。

まず、1日目2日目と何も問題無く進み現在3日目の野営地そこでハート○ン訓練を受けている………。

野営地は左手側に森のある草原だ。

その森側で俺はアルドから訓練を受けている。

訓練内容は王都にいた時の基礎訓練から初めて俺の特殊回復魔法を使い水分補給をして戦闘訓練……目が覚めると翌朝………回復して移動………と、コレを1日目からやっている………。

ちなみにシャルから聞いたのだがこの訓練を見た騎士達は「変態だ……変態が居る………」と呟いていたとか………変態じゃねぇよ!こちとら!死なない為に必死なんだよ!。

そんな気持ちで訓練を続けた………流石にそろそろヤバイな………そう思った時………。


「敵襲ーーっ!」


 俺達の近くでその叫び声が聞こえた次の瞬間周りがざわめき出した。

それに呼応するかの様に眼の前の森の中から黒い影が飛び出してきた。

それにアルドは直ぐに反応し腰に挿していた剣を抜きその影に斬り付けた。

しかしその影はアルドの剣に反応して左側に大きく飛び退き避けた。

そしてその場でコチラを警戒するかの様に動きを止めた。

動きが止まった事によりようやくその姿を確認できた。

その姿は1m半程の大きな全身灰色の体毛に覆われた狼だった。

手足には鋭い爪が月明かりを反射して怪しく光今にも飛び掛からんとその爪を地面に食い込ませている。

更にその狼の口からは鋭い歯が見えた。

まるで何かで研いだかのような鋭い牙はどんな物でも噛み切りそうだ。

そして、その大きな身体を低くして鋭い歯をむき出しにしながら低く唸り声を出している。

その狼に追随するかの様に森から更に2匹の狼が現れた。

大きさは最初のに比べると少し小さい。

しかし、その爪や牙は同じ様に鋭く危険な感じだ。

そんな騒ぎに気付いたシア達が訓練している側に張ってあった野営用のテントから武器を持って飛び出して来た。


「フォル!大丈………」


「右だ!」


「「「っ!?」」」


 アルドのその声に反応してシア達はそのまま転がるように前に跳んだ。

直後、直前までシア達がいた場所に2つの影が飛び込んだ。

そこにはまるで闇を纏っているかの様な黒い狼がいた。

その狼を視界に捉えながらシア達は俺達の元へと来た。


「シャドウウルフ2匹………」


「こっちはグレイウルフのオスが1匹とメス2匹だ」


「上位種?」


「いや、下位種だけだ」


「上位種……いると思う?」


「これだけの数だ……いないとは言えんな………」


 そう言って2人は周りを見渡す………その視線を追う様に狼達を警戒しながら周りを見渡すとそこかしこから同じ様な狼達と戦っている騎士団の人が見える。

ただその人達が戦っている狼達には俺達を取り囲んでいるのと違いがある。

それは赤や青、緑や黄色と言った様々な色の体毛をしている事だ。


「レッドウルフやグリーンウルフ………」


「ブルーにイエロー………シルバーウルフまで居るわね………どうする?」


「やるしかないだろ………シャドウの方任せる」


「………早めに終わらせるわ………シア!1匹任せるわよ!」


「うん!」


「フォルテース!お前は俺を手伝え!」


「クァ!(Sir,no,Sir!)」


 訓練の所為か思わず軍隊式の返事をしながらアルドの横に並んだ。

シアとシャルを心配しながら俺は眼の前のグレイウルフを睨んだ。

今夜は長い夜になりそうだ………。



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