第73話
今日から行われるであろう地獄の特訓を想像し恐怖しながら狩人組合へと来た。
何でも今日コレからの俺達の行動について報告する必要があるらしい。
どうしてと思ったが良く考えれば当然だった。
狩人は居場所を報告して置く義務がある。
それはこの間のゴブリン討伐の時の様に緊急時に招集し対応する為だ。
「よお、久しぶりだな」
「あら?戻ってたのね」
「昨日の夜にな………そんで?今日は大所帯で………って姫様が居るって事は隣都の件だな」
「えぇ、コレから騎士団に合流して行く事になるわ」
「他に行く奴はいるか?」
「私達だけよ」
「そうか………」
そう言って腕を組んで唸りだした………何か有ったのだろうか?。
しばらくそうして唸ってから考えが纏まったのか顔を上げ話し始めた。
「実はなお前達に頼もうと思ってた事が有ったんだがな……」
「何が有ったの?」
「どうやらあの洞窟ダンジョン化してるみたいでなその調査を頼みたかったんだが………」
ダンジョン!?マジか!?予想だと誰かに召喚されたって言ってた筈だが……。
「ダンジョン………確証は?」
「今ん所下へ行く階段が有る位だなおそらくまだ出来て1ヶ月行くか行かないかの奴だと思う」
「出来たてって判断した理由は?」
「理由は2つ。
1つ目は下へ行く程魔物の強さが上がってる事だな」
下へ行く程強くなる………小説やなんかで良くあるパターンだな………所謂、積層型って言われるタイプのダンジョンだな………って事は………。
「2つ目は5階層で階層主と思われる扉を発見した中に居たのはゴブリンナイトをリーダーとした集団だ。
集団の数は10でゴブリンナイトが1、ゴブリンマジシャンが2、残りは通常のゴブリンだな。
6階層からは現在調査中だ」
うん、完全にダンジョンだな………となると気になる事がいくつかあるな……。
「クァッククゥア?(質問良いか?)」
「誰だ!?」
「クァック………クックぁクゥクァ………(誰だって俺………そう言えばこうして話すの初めてか………)」
「まさか………お前か?」
「クァ……クッククァック?(そうだよ……んで?質問良いか?)」
「あぁ……何だ?」
「クァッククゥア(ダンジョンの特徴を聞きたい)」
「特徴か………なんでそんなのを聞きたいのか気になるがそれは後で聞かせてくれるか………んで、まずダンジョンってのは………」
そうして話してくれたのは俺の知ってるモノと変わらなかった。
ダンジョンとは魔物が棲息し様々な資源を手に入れられる場所。
その形は様々でここの様な洞窟タイプや何処かの古い遺跡の様な場所。
森や草原等のタイプ等様々な形がある。
基本的にダンジョンの定義としてはとんなに魔物を退治しても翌日には同じ数がその場所に補充されたかの様にいる事。
薬草等の資源が魔物と同じ様に採取した場所に復活してる事。
魔物の死体を放置して置くと時間経過で身体の端から光になって消えてく事。
その消える時間は様々で短いと倒した瞬間になくなりその魔物によって様々な資源が手に入れられる事。
その資源の種類は薬草等の物から武器や食料まで多岐に渡る。
その資源はダンジョンのタイプにより変わる。
例えばフィールドタイプのダンジョンで獣型の魔物が多く出るタイプでは倒した際に魔物が残す物は食料系統の物が多く出る。
森タイプで虫や植物系の魔物が出る場所では薬の材料が多いい。
遺跡タイプは武器や防具等の道具が多く洞窟タイプは出て来る魔物によって変わるらしい。
そして肝心の洞窟で手に入る物はと言うと………。
「まだ分からん!」
リカルドがそう言った瞬間思わず俺はズッコケてしまった。
リカルド曰く。
今まではダンジョンと思って無かった為ゴブリン等を退治した後洞窟の外へと運び出し処理していたらしい。
更にはどうやらあの洞窟は出来たての所為で魔物が消えるまで時間が掛かるらしくまだ把握出来ていないそうだ。
現在はその辺の確認を含めて色々調査してる所らしい。
「クァ、クッククゥアクァア(なら、分かるのはまだ先なんだな)」
「ドロップ品に関しては1箇所以外はそんな感じだな………」
「1箇所?1箇所だけ分かってるの?」
「あぁ、5階のボス部屋だけはな………ちなみにそこで手に入るのは回復系の下級HPポーションだな。
俺の見立てでは1〜5階層までは回復薬の素材が主な物になると思っている」
リカルドが言うには積層型のダンジョンは多くの場合そのボス部屋で出た物の前までの場所はその系統の素材が中心に手に入る場合が多いいとの事だ。
なる程な……ダンジョン面白そうだな………。
しかしそうなると。
「いつ頃ダンジョン化したのでしょうか?」
「そこはまだ分かっておりません。
おそらくはゴブリンロードの時点で既にダンジョンだったのだろうとは思いますが………」
「分かりましたダンジョンの事は分かり次第王家にも報告をお願いします」
「はい、お任せ下さい」
シャルがそう言って締めたが俺にはまだ聞きたい事があった。
「クァクゥア?(最後に1つ聞いて良いか?)」
「何だ?」
「クァッククゥアクァ………クゥア(この間狩人同士で切り合ったって聞いたけど………もしかして)」
「あぁ………6階層の魔物にやられた………」
「クァ………(そうか………)」
コレから隣都へと行くのにまた新しい問題が出てきた………。
レイリス様ここ滅茶苦茶ヤバイ世界じゃないですか………。
俺は思わず心の中でそう愚痴ったのだった………。