第7話
さて、連続投稿最終日です。
今日も続きをお昼に投稿致しますので宜しくお願いします。
俺はシアを止める為に慌てて声を出した。
するとシアはその声に反応してくれた。
「フォル?どうかしたの?」
彼女は優しく問いかけて来た。
俺はゴブリンを指差しその後自分の胸を叩いた。
これで伝わると良いんだけど……………。
「………自分に任せろって事?」
「クァッ!(そう!)」
「う〜ん………解体しないで持って行ける?」
「クァッ!(大丈夫だ!)」
「…………ならお願いしようかな?」
「クァッ!(任せてくれ!)」
俺はそう言ってゴブリンへと近付いて…………。
「クァァ!(アイテムボックス!)」
俺は宣言をして空間魔法を発動させた。
すると目の前に黒い渦の様なモノが現れた。
どうやらこれがアイテムボックスの出入り口の様だ。
俺はゴブリンを持ち上げてそのままその渦に近付け頭の方から入れた。
もう少し抵抗か何かの手応えを感じるかと思ったのだが案外何も感じないみたいだ。
ゴブリンを入れ終わったのだが何だか妙に静かだなと思い振り返ってシアを見たのだが俺が空間魔法を使ったのが衝撃的過ぎたのか驚いた顔のまま固まっている。
当然か………回復魔法を使える事だけでも驚いていたのにその上空間魔法まで使ってるんだこれで驚かなかったらそっちの方がどうかしている。
まぁこのままって訳にもいかないからどうにか戻って来て貰わないと………取り敢えず声を掛けてみるか。
「クァ?クァァ?(シア?大丈夫か?)」
「……………は!!?今!フォルが空間魔法を使ってる夢を見てた!」
「クァック!(使ってるぞ!)」
俺は再度彼女の前にアイテムボックスの入り口を開けて見せた。
「…………………フォルはユニーク個体か何かなの?」
「クァァ?(良く分からんが違うと思うぞ?)」
「…………取り敢えず今はおいておきましょう。
それよりフォルが空間魔法を使えるのなら途中で倒したゴブリンも回収しながら帰るわね。
それじゃぁ、お願いねフォル!」
「クァッ!(任せてくれ!)」
こうして俺はシアと一緒にこの洞窟を外へと向かいつつシアが倒していたゴブリンを回収しながら洞窟を出ていった。
それから少し歩いた所で洞窟の暗闇を切り裂く様に光が見えて来た。
「フォル、もう直ぐ洞窟の出口だよ!」
「クァッ♪(外だ♪)」
「ふふっ♪フォルも外へ出れるのが嬉しいんだ♪」
「クァァ♪(当然だ♪)」
「ふふっ♪街に付いたら少しだけ寄り道しなきゃいけないけどそれが終わったら美味しいもの食べにいこうね!」
「クァッ♪(楽しみだ♪)」
そんな感じで俺は街での生活に期待を膨らませつつ今後の事を考えながらシアと街へとむかった。
するとシアは歩きながら何やら考えている様で小さめの声で呟いていた。
「えっと………先ずはギルドに行ってゴブリン討伐の報告とフォルの従魔登録をしてゴブリンを換金………それから、装備を手入れに出してからメリルの所かなぁ………装備どれ位掛るんだろ………」
何やら大変そうだ………出来れば力になって上げたいが生憎と魔物である俺には出来る事が少ない………………………良し!少し恥ずかしいけどシアを元気付ける為に我慢しよう!。
俺はそう決意してシアの前に飛翔を使って浮かび上がった。
するとシアはそんな俺を見て声を掛けて来た。
「フォル?どうしたの?」
「クァッ………」
俺は言葉にすらならない声を出してシアの胸へと飛び込んだ。
「きゃっ!!?フォル?ふふっ♪もしかして甘えたくなっちゃった?」
「クァァァ…………」
「ふふっ♪良いよ♪街まで抱っこして上げる♪それと、ありがとうね♪」
「クァァ♪」
こうして俺はシアに甘えつつ彼女を元気付ける事に成功した。
色々大変そうだけど頑張れ!俺も出来る限り協力するから!。
そんな風に俺はシアとイチャイチャ?しながら移動していたのだが突然シアは道を外れ森の中へと入って行った。
どうしたのかと思い彼女に声を掛けると彼女は笑って「ちょっとだけ寄り道♪」と楽しそうに言った。
一体この先に何があるのだろう?そんな風に考えていると突然視界が開けた。
そこにはとても素晴らしい景色が広がっていた。
そこは少し高い場所にある崖で周りの景色が良く見える場所だ。
上を見ると空は蒼く何処までも広がり太陽はそれを祝福するかの様に輝いていた。
その太陽の光を追う様に下を見ればそこは大きな湖になっており中央まで大きな橋が架かっていた。
その橋の終わりには大きな街があり更にその姿を水面に写し光り輝く真っ白なお城が建っている。
凄い………それしか言えない程の自然と調和した光景が見えた。
「どう?綺麗でしょ♪」
「クァァ…………」
シアはそんな光景を宝物の様に自慢した。
「初めてこの街を訪れた時色々有ってこの森で迷っちゃった事があってね。
その時偶然ここに来た事が有って………この景色を見付けたんだ。
……………私ね、ここからの景色が一番好きなんだ………だってここからの景色は何時も変わらず綺麗だから。…………ここには仕事で失敗した時とか嫌な事
があって落ち込んでる時に来るんだけどこの景色を見ると嫌な事とかそう言うのを忘れられるんだその後また頑張ろうって思えて次こそはって立ち上がれるんだ………………」
シアは急に黙り込み俺を強く抱き締め始めた。
少しすると彼女の方が震え出し彼女は泣き始めた。
「………今日ね私ね無茶して死に゛掛けぢゃっだ……グスッ……フォルがね助げてくれながっだら……グスッ……ぎっとあのままあのゴブリンに攫われ……で……酷い目に……会っで……たと思ゔ………だがら………ブォル……ありがどうね………」
俺はシアに抱き締められながら彼女が泣き止むまで優しく彼女の手に触れ続けた。
暫くして落ち着いて来たのか鳴き止み身体の震えも止まっていた。
俺はそれでもシアの手に触れ続けていた。
女性であるシアが命の危険のある危ない仕事をしているのだきっと深い事情が有るのだと思う。
こんな弱虫で非力な俺だけどその1割でも良いから彼女と一緒に背負えたら良いなと思う。
その為に色々と頑張ろう………改めてそう決意していたのだがいつの間にか撫でていた手を握られていた…………気安過ぎただろうか?そう思っていたのだが。
「えへへ♪何だかこうしてると私達恋人同士みたいね♪」
恋人か…………もし、俺が人だったらそうなってたかもしれないな………。
「ねぇフォル……早く大きくなってね?昔ね私、旅をしてた人から聞いた事があるんだけど、ドラゴンの上位種の中には人間になれる個体が居るんだって……もし、フォルが人になれたらその時は………ね?」
その時は………って、シアさん何をする気ですか?…………。