第63話
何だか断われそうに無い雰囲気になった会議室でそれを聞いていた他の人達は国王が発した言葉が飲み込めないのか信じられないのか分からないが呆気に取られている。
俺もそんな風に傍観者でいたいよ………そんな風に思いながら彼等を見ていたのだがそんな彼等の中の教会から来ているの1人がようやく言葉を発した。
「あ〜………国王陛下?何の冗談ですか?」
「冗談で娘の結婚を口にするとでも思っているのか?」
「思っているのか?とかでは無くそうとしか思え無いんです………」
この言葉を聞いてもう1つのグループのやたら豪華な服を来た狐目の小太りのおっさんが関西弁ぽい言葉でそれに便乗した。
「そうですよ!いきなり頼みを聞いてくれたら姫様を嫁がせるとか!何の冗談ですか?意味が分からんですよ!」
「冗談など一言も申しておらん。
コレに関しては本気も本気よ」
「……………納得できんとですよ。
と言うかとですね………そもそも相手が人ならまだしもドラゴン……それも幼竜ってなんぼ何でも納得出来ませんって………」
「ふむ………」
そう言った商人の言葉に納得したのかそう呟くと少し考えを纏めるかの様に室内を見渡してから何故そんな事を言い出したのか説明し始めた。
「まず何故シャルティアの結婚と言う事になったのかについてはちゃんとした理由がある。
それは昨夜まで行われた今回の報酬含むゴブリン討伐に関する貴族会議での事だ………」
そう言って国王が語った昨日行われたと言う貴族会議での出来事を聞いた俺達はそのあまりの内容に言葉を失った………。
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side:国王
「どうしたものか……………」
「陛下………どうしようもないとしか申し上げられません」
「しかしそうも言っておれん………今回のゴブリン討伐に関してはあまりにも予想外な出来事が多ったがフォルテースと言う名の幼竜はゴブリンキングだと予想されていた敵以上に危険なゴブリンロードを討伐しこの国の危機を救ってくれたのだ何もしない訳にはいくまいて………」
「ですが隣都が襲われている現状金も武器もそちらに対処する為に使わなければなりませんのです……報奨を与える事は出来んと言うしかありません」
「そうです!そもそも!人で無い………それも!亜人種ですら無い幼竜にその様な物必要ありません!」
「その主張は流石に酷すぎるぞ………。
確かに色々な所で亜竜や飛竜等が乱入し獲物を掻っ攫っていったと言うのは多々あるがそれでも今回の件に関してはそれを当てはめる訳にはいかんだろう………。
かの者はシアと言う者の従魔だと言うではないか………しかもかの者は元人の転生者で我等が祖先の初代国王と同じ国の出身だと言うではないか。
これで何もせずにおるのは些かではすまぬ問題が起こりうるだろうが………」
そう余が主張した時入口を誰かがノックした。
こんな時に何用だ?そう思っておると入って来たのはシャルティアではないか………一体どうしたと言うのだ。
「シャルティアよ会議中であるぞ……一体何用だ?」
「申し訳ございません何分緊急事態ですのでご容赦下さい………」
「緊急事態?一体どうしたと言うのだ?」
そう質問をしたのだがそれに答える事無くシャルティアは我等が座っている場所の中心へと歩き立ち止まった。
一体どうしたと言うのだ………そう思った瞬間シャルティアの横で突如目を覆う程の光が発生した。
流石の異常事態に護衛は余を守る様に動き他の者達も警戒する様に動いた。
そして光が収まったその場にはシャルティアとその隣に1人の女性が立っていた。
「何者だ!」
会議室内に居た衛兵達がシャルティアとその者へと短槍を突き付けた。
流石の余もその判断は間違っておらぬと思った………。
見た目所シャルティア本人だと思えるがこの様な事態だ疑われても仕方はあるまい………。
何せ姿形を本物と寸分違わぬモノへと化ける事が出来る魔法も存在しているのだからの………とは言えシャルティアの横におる者………何処かで見た覚えがあるのだが………。
「当然この様な登場になってしまい申し訳ありません………私の名前はレイリスと申します。
一応この世界の転生者を司る女神をさせて頂いております」
そう言ってレイリスと名乗った者から突如ただならぬ気配が発せられ場の雰囲気が変わった。
その雰囲気でこの方が誰なのかを強制的に理解させられた………。
我々はまだいい方だ不審者と判断し転生神様に槍を突き付けてしまった衛兵達などその場で槍を放り捨て膝を付き「申し訳ございません………許してください………申し訳ございません………」と震えながら懇願している………。
しかし、彼等を責められる者は誰もおるまい………余とてよもや女神様………それも副神である転生神様が現れるなどとは思ってもみなかったのだ………むしろあの状況を考えれば彼等の動きは良くやったと褒められるべきだ。
許して頂けると良いのだが………。
「転生神様………大変厚かましいとは承知しておりますが1つお願いがあります」
「何でしょう?」
余は席から立ち転生神様の前へと歩き出し少し離れた場所で両膝を付き伏して願いを言った。
「………大変ご無礼かとは思われますが貴女様に槍を向けてしまった事……ここに居る衛兵達に変わり貴女様へと謝罪させて頂けませんか?」
「「「「「「っ!?」」」」」」
その場にいた貴族、衛兵その全てが戦慄しておる………しかしこうでもしなければ申し訳が立たぬ。
一応説明すると神への謝罪………それは生半可なモノでは無いのだ。
昔、ある国で起こった事だがその国は神を怒らせ国が滅び兼ねない程の脅威にさらされその怒りを収める為に国王含めその血縁者が全て自害してようやくその神の怒りを収めたのだが詳細が分からぬのだ。
一体どんな事をしたんだと言いたいが当事者達全てが自害していた為何をしたのか記録には残っておらんのだ。
しかし、神の怒りを買って仕舞えばそれこそこの国は終わる………それだけは避けなければならぬ………。
そうして転生神様の返事を伏して待っておったのだが………。
「気にする必要はありません。
彼等は自分の役割をしっかりと全うする為に行動したのです。
それこそ先程貴方が考えていた通り彼等は褒められこそすれ罰せられる謂れは無いのですから………それに私がこの様な登場の仕方をしたのがそもそもの原因なのですからお気になさらずに」
そう言って我等の無礼を許して下さった………何と慈悲深い御方なのだろうか………。
そう深く思った………しかし、そんな思いもその後の一言で全て吹き飛んでしまった。
「さて、本題ですが………このままでは隣都である商業都市アムリタが滅亡します」
「「「「「な!?」」」」」
何と言う事だ………よもやそこまでの事態になっておろうとは………。
最早一刻の猶予も無い………。
余は直ぐに動く事を決意し軍部総長達にに指示を出した。
間に合ってくれれば良いが………そう祈らずにはいられなかった………。




