第56話
頭を撫でられる柔らかい感触とお日様が降り注ぐ草原の中で香ってくる爽やかな花の様な香りで目が覚めた………。
「…………クア?(…………ここは?)」
「目を覚まされたんですね!良かったです!」
何か女神様のとこから意識が戻った時と同じ事言われてるんだけど………えっと?あぁ………ロードを倒すと同時にスキルが限界に来て反動の痛みで気絶したのか………って!。
「クァ!ッ!…………(シアは!っ!………)」
意識がハッキリして状況を思い出したが自分の状態を忘れてた………。
スキルの反動でとんでも無い痛みが襲って来た。
やべぇ、まだ戦闘中だったら死ぬかもしれない………。
そう思い周りを見渡すとそこには大量のゴブリンの死体を1箇所に集める作業をしている狩人達の姿があった。
どうやら戦闘は終わっている様だ………。
色々確かめたい事はあるが取り敢えずまずは………。
「クァ?………(シアは?………)」
「ご心配はいりませんよ?先程からお隣でお眠りになってます」
そう言われて隣を見ると穏やかな寝顔で静かな寝息をたてていた………平和そうにしやがって!。
そのシアの姿を見て若干イラっと来たが同時に安心と喜びも感じた。
なにせ相手はゴブリンロードでその上シアは人質になっていて下手をするとゴブリンの奴隷か子供を作る為の道具………最悪は使い捨てで殺されていたかもしれないのだ………助けられて良かった。
「フォルテース様、取り敢えず現在の状況を説明致します。
まずはフォルテース様がゴブリンロードを倒された後からお話します………」
そうしてシャル姫から教えられたのは俺が気絶した後に起こった事だった。
俺が気絶した後ゴブリン達は自分達の指導者を失った事でもともとの混乱状態が深刻化した。
それをチャンスと見たギルマスのおっさんが他の狩人達と一緒に攻めに入り最初に攻め込んで来ていたゴブリンファイターやゴブリンのチーム指揮をしていたゴブリンリーダー等の斬り殺しまくったらしい。
他の狩人達もそれに乗り周りのゴブリンを次々に討伐………それでも数は多く時間が掛かっていたらしい。
膠着状態に近い状態で戦っていると反対側を調べに行った狩人達を呼びに行ったカルメルと呼ばれていた男が彼等を連れて合流そのまま挟撃する形で包囲殲滅したそうだ。
そして、今はその後片付けを行っている最中らしい………。
ゴブリンの数はまだ完全には把握出来て無いが少なくとも500匹近く横穴の奥へと逃げた個体も居るらしいので下手をすると1000匹近い数かもしれないとの事だ。
かなり大規模だなぁ………そんな事を考えてる内に一段落着いたのかギルマスのおっさんがこちらへと近づいて来た………。
どうしよう……説明した方が良いのかな?………しなきゃダメ?。
「おう!チビ助!目が覚めたみたいだな!」
「クァ………(一応………)」
「お前さんには色々と聞きたい事があるんだが………嬢ちゃんが寝てる今、お前さんが何言ってるか分からんがな!」
確かになぁ………どうしてシアが俺の言葉を理解出来るのかわ分からないが通訳はいつもシアがしていた………まぁ、もう1人俺の言葉が分かるのがいるんだが………。
「クアックア………(シャル姫………)」
「はい?」
「クアクゥア?(通訳頼めるか?)」
「はい!お任せ下さい!」
「………………は?」
いきなり俺とシャル姫が普通に会話をしているのを見て驚いている。
そう言えばおっさんが俺とシャル姫がこうして会話をしてるのを見るのは初めてか……。
おっさんの前だと基本シアが通訳してたし、おっさんの眼の前でって言うと【強制覚醒】で変身した姿の時だったしな………。
「えっと………姫様?そのお分かりになられるので?」
「はい、フォルテース様の言葉ですよね?分かりますが?」
「…………いつからですか?」
「今朝起きた時からですが?」
「そう言う事は早く言って下さい!」
「どうしましたか?」
「どうしましたかじゃ有りません!」
そう怒鳴ってからおっさんはシャル姫に事の重大さを語りだした。
簡単にまとめると【念話】のスキルやテイマーでも無い人間が普通に竜と会話出来るのが異常だと言うのだ。
確かに良く考えれば普通ではないよな………。
なにせ人の記憶を持った転生者だと言っても俺はこの世界では魔物に分類されるドラゴンだそもそも会話すら成立しない筈だ………。
それなのに俺と普通に会話しているのだ………それもシアを含めると2人も………この時点で普通じゃない。
偶然………とは言えないな。
何らかの意志………まさかとは思うけどこれも女神様が関係してるのか?。
ただ、まだ2人だ何かあるなら他にも何らかの出来事が有りそうだ。
そして、俺の言葉を理解出来るのだが他のドラゴンと話せるのか………それを調べるには余りにも危険だ。
それを理解してる人間は問題ないがどこにでもバカはいるものだ。
少しでも回避出来るのならするべきだ。
「と言う訳でもう少し自覚をしてこう言った事にはもう少し注意して下さい………それで?シャルティア様はチビ助の言葉が分かるのでしたら外へ出た後嬢ちゃんが目を覚まさしてなければ通訳をお願いします」
「分かりました………」
「さて、チビ助……」
「クァ?(なに?)」
「姫様を頼む……この方はどうも少し抜けてる所があるからな………」
「クァ(任せてくれ)」
「うぅ……2人共酷いです」
これに関しては仕方ないと思うぞ?。
だが………シャル姫を頼むって言われても街に戻ったら別れるんだが………。
まぁ、シャル姫の事は嫌いじゃないので何かあれば力にはなるつもりだ。
そうしてる内に作業の方が終わったらしく狩人達が集まり出した。
「ギルマス、作業の方終わったがアレどうするんだ?」
「あぁ、この場で処分するのは危険だから外へと運んで処理する。
チビ助はロードと出来るだけで良いから他のゴブリンをアイテムボックスの魔法で回収してくれ………」
俺は少し考えた。
なにせ動こうにも痛みでまともに動けないのだが………まぁ、アルドかメリアに運んで貰えば良いや………と考え頷いたのだった。




