表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/171

第46話


「ゴブリンだ……」


 そう呟いたおっさんの行動は早かった。

息を殺し背中に背負った大剣を抜き構えたと同時に手で指示を出した。

その指示を受けたパーティーが2組この場を離れた。

ゴブリンから隠れる様にしながら反対側へと向かった。

どうやらゴブリンを確実に討伐する為に挟み込む様だ。

それから暫くは物音一つ立てずにその場で待った。


「そろそろ行くぞ……」


 そう言っておっさんは立ち上がり駆け出した。

それを追う形でメリア達も走り出した。

合図位だせよ!それと!俺とか遠距離攻撃出来るんだから最初に攻撃させとけよ!そう思いながら俺も後を追った。

普通こう言った集団戦の基本は遠距離攻撃による奇襲を行いその後に混乱している相手を各個撃破するのが定石のはずなのだ!。

それをわざわざ先制攻撃のチャンスを潰してまで走る必要は無いのだ。

そこまで考えて俺はふと思った。

まさかとは思うが魔法使いが希少でそう言った連携が出来てないとか無いよな………。

もし、そうだとしたら?コレこの後の巣への攻撃もこんな感じになるのか?。

そんな事を考えながら俺がゴブリンのいた場所に辿り着くと既に戦いは終わっていた。


「流石ですね殆どお一人で片付けてしまわれるとは……」


「ゴブリン共が固まっていたから倒し易かっただけだそれより逃走したのはいないな?」


「ええ、我等の方には来ませんでした」


「よし、怪我人は出てないな!」


 その声を聞いて狩人ハンター達が頷いた。


「なら予定道理このまま奥へと向かう!」


 そう言ってそのままおっさんは先頭を歩き出した。

先程と同じ隊列で俺達も後に続いた。

それにしてもおっさんは強かった。

先程おっさんが走り出していたがそのままゴブリンの下まで行き突然現れたおっさんに驚き動きが止まったゴブリンを縦に一閃!そのまま動きを止める事無く2匹目を右下からの切り上げで切り次いでとばかりに3匹目を袈裟懸けに切り下ろした。

こんな風に戦えたのはこの場所のお陰だろう。

この場所は湖の周辺と言う事もあって道幅が広く天井も高いその為大剣であっても動きには不都合が無くこれだけ好きに剣を振れたのだ。

ちなみにゴブリンは5匹居たのだが残りの2匹はメリアとアルドの2人が倒していた。

戦術的にはどうかと思うが確かにこれなら遠距離攻撃による先制攻撃は必要無かったな。

まぁ、俺だったら安全性を取って遠距離先制してから行動するけどな。

そうやって先程の先頭を分析しながら進んでいると眼の前に人が4人位横に並んでも通れる位の横穴が現れた。


「ドルニタ、お前の所のパーティーでここの見張りを頼む」


「了解……」


 ドルニタと呼ばれた口元を隠した男が答えそこに残った………。

そのまま俺達は進む事になりそのまま暫く進んだのだが俺はさっきの横穴が気になっていた………。


「どうしたのフォル?」


「クァ……クァア……(今の場所……嫌な感じがした……)」


「どうしたの?」


「先程の横穴ですがフォルテース様が何かを感じた様です……」


「………………」


 アルドがこちらを見てからおっさんの所へと向かった。

アルドが近づいて来た事に気付いたおっさんは立ち止まり何やら話し掛けていた。

少しするとおっさんはアルドと一緒に俺の所へ来て聞いて来た。


「さっきの場所に何かを感じたらしいな……」


「そうみたいです」


「ふむ…………」


 そのまま腕を組みおっさんは何かを考えて始めた。

暫く待つと考え終わったのかおっさんは一人の│狩人ハンターを呼んだ。


「カルメル、今すぐ向こうのチームに向ってこっちに来るように伝えてくれ」


「何か有ったんですか?」


「有ったと言うか有りそうと言うか………とにかく頼む」


「………分かりました」


 納得はしていない様だがそれでもギルドマスターからの指示と言う事で渋々と言った感じで反対側のチームの下へと彼は向った。

まぁ、あの説明の仕方じゃ納得出来ないわな………。

だからと言って俺の奇妙な感覚を信じてそう言った何て言えないしな。


「俺達はさっきの横穴に戻るぞ!」


 それだけ言っておっさんは歩き出した。

俺達もそれに続いたが他の│狩人ハンター達は何も分からずにさっきの横穴まで戻る事に納得していない様で不満そうにしていた。

ふとシアを見ると何だか不安そうな顔をしていた。


「クァ?クゥァ?(シア?どうした?)」


「……うん、何だかちょっとだけ怖くて」


「クァ……クァ!クゥクァ!(シア……大丈夫!俺が居る!)」


「フォル……」


「私もおります」


「シャル姫様」


「シア、私達もいるわよ。

それにギルマスは昔はAランクの│狩人ハンターとして活躍していた人なのよ?大抵の事はどうにかなるんだから不安になる必要何か無いわよ!」


「コクコク……」


「メリア……アルドさん………うん!ありがとう!」


 こうしてシアの不安は晴れシアに笑顔が戻った。

そんな感じで仲睦まじく戻っていると前方の方が騒がしくなって来た。


「何?」


 思わず誰かがそう呟いたのだが何が起きているのかは直ぐに分かった。


「戦闘準備っ!見張りがゴブリンに襲われている!助けるぞ!」


 そう言っておっさんは剣を抜き走り出した。

俺達も直ぐに行動に移しその後を追いかけるのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ