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第41話


「そう言えば自己紹介がまだでしたね。

私の名前はシャルティア・イスト・アルヴァロアこの国の第1王女です。

どうぞシャルとお呼び下さい」


「こちらこそ自己紹介もせず申し訳御座いませんでした。

私はメリアと言います│狩人ハンターランクはBです夫のアルドの怪我のためしばらくの間ギルド運営の宿屋で働いておりました。

戦闘はアルドが盾を使った前衛を務め私が剣でとどめを刺すスタイルで戦っております。

夫共々よろしくお願いします」


「私はシアと言います。

狩人ハンターランクはFの駆け出しです。

武器は剣で牽制しつつ魔法を使い戦います。

それからこの子はフォルって言います。

私の大切な子です!よろしくお願いします!」


「クア!(よろしく!)」


 そう言えば確かに自己紹介してないな………俺はそう考えながら手を上げながら答えた。

するとその姿がどうやらシャル姫の琴線に触れたらしくデレッとした笑顔で「かわいい………」何て呟いていた。

確かに今の俺はかわいい感じの幼竜だが中身は高校生の男だ。

その為かわいいと言われても素直に喜べない………。

そして狭いテントの中なのでシャル姫の呟きはシアやメリアにも聞こえていた。

メリアは大して気にしてないのだがシアは俺が褒められたのが嬉しかった様でシャル姫と俺の事について語りだしている。


「そうですよね!でも!フォルはかわいいだけじゃなくて凄く優しくてカッコいいんですよ!何せ私がゴブリンに殺されそうになった時に助けてくれたんですから!」


「殺されそうになったって何があったんですか!」


「実はこの討伐は………」


 シアは俺との馴れ初めを語りだした。

自分がゴブリン討伐のクエストを受けた事。

そのクエスト中に上位種のナイトが現れた事。

戦闘で危険を感じ湖の方へ逃げた事。

その後追いつかれて殺されそうになった事。

それを突然現れた俺が助けた事。

俺の秘密を含めてシアは全てを話した。

出来れば転生とかは秘密にして欲しかったのだがギルドで隠してても為になら無いと分かったので諦めた。

そして俺の事を聞いたシャル姫は頬を染めてまるで英雄を見るような目で俺を見つめていた。

正直照れ臭い………何せ俺はそんな英雄とは比べられる様な者ではない。

力は弱く戦う術は拙くその上シアに怖がられたのがショックで泣いてしまう様な泣き虫だ………。

そんな俺は尊敬される程の者では無いのだ。

それでも俺の事を凄いと褒め頭を撫でて来た。

本気で照れくさいのだが………。

シアとメリアはそんな俺とシャル姫の姿を見てニコニコと微笑ましそうだ………。


「クア!クックアクゥアッ!(そうだ!そろそろご飯の用意しないと!)」


 俺はそう照れ臭さを隠す様に叫んで外へと出た。

テントの中ではそんな俺を見て笑い合う声が聞こえて来た。

それを誤魔化す様に俺は少し離れた場所に行き窯を作る為に石を探し始めたのだった。

しかし、本当に恥ずかしかった!どこの英雄だよと言いたい位にシアは語るしさ!。

実際シアから見たらそう見えてもおかしくは無いのだろうな………。

俺だってもし同じ状況だったらそう感じたと思う………。

だけど俺からしたらあの時はただ必死で行動しただけなのだ………。

だから英雄みたいに見られるのは正直辞めて欲しい………。

実際俺はそんな奴じゃないしさ………。

そうして黙々と行動していると後ろから音がした。

振り返るとそこにはアルドが立っていた。

どうしたのだろうと思い彼を見るとどうやら目的は俺と同じで窯を作る石を探していた様だ。


「クア!(よ!)」


「………コク」


 俺達はそんな短いやり取りをして作業に戻った。

少しするとアルドは俺の肩を叩き窯を作る予定の場所を指差した。

おそらく石の数が予定の数になったのだろう。

俺はそれを察してそちらへと向った。

アルドもそれが分かったらしく一緒に窯作りに入った。

それから程なくして窯は完成した。

するとアルドは立ち上がり森を指差した。

どうやら薪を集めに行く様だ。

俺はそれに頷いて彼を送り出した。

さて、薪が集まるまで暇なので俺は夕食の準備をし始める事にしよう。

材料はメリアから預かっている荷物に入っているのを使って良いと言われてるのでそれで作ろう。

まずはまな板を取り出した。

その上に鶏肉を取り出し包丁で一口大に切り塩と胡椒で味付けして臭み消しに少量のハーブを振りかけ揉み込んだ。

次に人参、玉ねぎ、じゃがいもを取り出し皮をむいた後人参は乱切りに玉ねぎは1センチ幅の千切りにじゃがいもは一口大の角切りにして水で軽く洗い鍋に油を引き人参を鍋に入れた。

残りはの玉ねぎとじゃがいもは人参に火が通った後で入れるのでそのままにする。

そしてここまでの作業が終わった頃タイミング良くアルドが森から薪に使えそうな枝などを持って戻って来た。

彼は俺が何をしていたのか察したらしくそのまま窯のところへ行き薪を並べ口をモゴモゴと動かし何かを口ずさんだ。

すると彼の指先に火が灯りその火をそのまま薪に近付けた。

どうやらあれは火を起こす為に魔法の呪文を唱えていたらしい。

しかし、魔法だよ!凄え!あんな風になるんだな!俺の火球とは違い使い勝手が良さそうだな!その内俺も使える様になりたいな!いや!使える様になってみせる!。

そうこうしてると火は薪に燃え移りしっかりと燃えだした。

それを確認したアルドは俺を見て来た。

俺はその視線を受け作業に戻った。

まずは先程鍋に入れた人参を火に掛けて炒める事にした。

ある程度炒めた所でじゃがいもを投入し表面が焦げないようにしながら少し透明になるまで炒める。

続いて玉ねぎを入れこれも焦げない様に気を付けながら炒めて透明になり始めた所で塩と胡椒で味付けをしてから水を野菜が浸かる位まで入れてからしばらく煮る。

少ししてからじゃがいもをに串を刺しすっと通った所で蓋をしてそのまま火から卸し横に置いた。

続いてフライパンを取り出し油を引き火の上に置いた。

少ししてフライパンが温まった頃に皮目を下にし鶏肉を入れて炒める少しすると鶏肉からいい香りが漂い始めた。

メリア達が用意したこの油はこれだけいい香りをさせるという事はこれはかなりいい油の様だ。

少しすると表面がいい感じになってきたので鶏肉をひっくり返した。

すると料理の匂いに気付いたのかテントの中からシア達が出て来た。

シアは当然俺が料理してるのを見て嬉しそうにしている。

しかし他の2人は俺のそんな姿を見て驚いてぽかんとしている。

俺はアルドを見て皆を座らせる様に促した。

するとそれを察したらしくアルドは皆の所へ行った。

俺は鶏肉の様子を見ながら鍋を確認した。

塩胡椒しかしていないスープだが満足して貰えるだろうか?。

さて、鶏肉にもしっかりと火が通ったので皿を取り出しそれを盛り付けし始めた。

皿には鶏肉の他にパンを乗せて完成だ。

そしてフライパンに残った油を鍋の中に入れ再度火に掛けて少し煮て完成だ。

それをそれぞれ器に分けてスプーンと一緒に渡した。

俺の分も用意して俺はシアの横に座った。

それを見たシアは「いただきます!」と言って食べ始めた。

他の皆もそのシアに続いて食べ始めた。

一口食べて味に満足してくれたのか皆は美味しそうに食べてくれた。

俺もそれに続いて食べた。

うん、それなりの物が出来たと思う。

俺はそんな皆を見て少しだけ満足したのだった。



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