第39話
門前での騒ぎは直に収まった。
結局おっさんは姫様を説得出来ず渋々同行を許可する事になりそのまま姫様と一緒に門を出た。
すると他のその場にいた外へと出る為に集まっていた人達も徐々に動き出しその後に続いた。
俺達もそれに続き外へと出て洞窟を目指した。
そうして外へと出ると人の列はそのまま同じ方向へと向って歩いていた。
どうやらあそこに集まっていたのは俺達と同じゴブリン討伐に参加する人達だった様だ。
そんな人達を見てみると皆これぞ冒険者!みたいな装備を着けていた。
狩人と言うから弓とか斧とかを想像していたが皆色々な武器を持っている。
シアと同じショートソードから始まりロングソードや大剣、片手で持てる位の斧や槍、持ち手が長くなったタイプの両手斧や槌、槍にハルバード等まるで武器の博覧会の様だ。
しかしそんな彼等を見て俺は思った………あんな武器で大丈夫なのか?………と。
何せこれから向かうのは洞窟なのだ一応場所によってはそれなりの広さが有ると言ってもそこ以外は普通の洞窟なのだ。
狭い中であんな長物の武器は振り回せないと思うのだが何か対策が有るのだろうか?。
そんな風に観察をしていたらいつの間にか洞窟の前に着いていた。
そこには既に幾つかのテントが張られていてその中にはかなりの大きさのテントがあった。
その大きなテントの側にはギルマスのおっさんの姿が有り誰かと話していた。
もしかすると前もってテントを用意させていたのかもしれない。
おそらくは大暴走が起こった時の対策も兼ねて設置しているのかも知れない。
そうやってこの場の観察をしていたらいつの間にかシア達は少し洞窟から離れた場所へと向かう相談をしていた。
どうやらそこでテントを張るらしい。
俺はシア達について行ってそれを手伝う事にした。
テントは簡単に作れる様になっていた。
多分だがこれも初代国王が関わっているのではと思われる。
何せ向こうにある様に下にビニールみたいなシートを敷きその上にフレームを四角く組み立てて同じ素材で作られていると思われる物を掛け四つ角に有る紐を出来るだけ引っ張り地面に杭で固定すると言う向こうのテントと同じ簡単に作れる物だった。
ちなみにテントを作る際俺はフレームを組む時空から支えたりフレームに本体を掛ける際片側から反対へ上から引っ張って運ぶのを手伝った。
そうして俺達が世話になるメリア達のテントが完成した。
その後中に入って俺達は持って来た荷物を俺のアイテムボックスから取り出した。
そうこうしていると外から声が聞こえて来た。
その声はどうらや俺達に声を掛けている様だ。
取り敢えず外に出ようとしたらメリアが立ち上がり外へと出た。
「すまない……ちょっと良いだろうか?」
「一体何?コレから今日の野営にむけて色々やらなきゃならないんだけど?」
俺はその声が気になった………と言うかこの声もしかして………。
そう思っていると2人も同じ事を思ったのか立ち上がりテントの外へと出た。
俺もその後を追い外へ出ると予想通りの人物がそこに居た。
そこに居たのはギルマスのおっさんと姫様だった。
一体何の用事で俺達の所へ来たのだろうか?そう疑問に思っていると直に答えが出た。
「メリア………君達にどうしても頼みたい事が有るんだ………」
「頼みたい事?まさかとは思うけどそこに居る姫様に関係が有るんじゃ無いわよね?」
「…………………あぁ、君達の想像通り頼みとはその姫様の事なのだ………本来は俺達ギルドで姫様の事を何とかするべきなのだが今回こちらの用意が不十分でそれが出来ないのだ………それで君達にその事を頼みに来たのだ」
「不十分って……テントはあるし充分準備出来てると思うのだけれど?」
「あぁ………場所は充分有るのだが問題はそこでは無いのだ」
「?………なら何か問題なのよ?」
「……………簡潔に言おう人員だ」
「人員?」
「あぁ………今回の討伐作戦を組む際に我々ギルドは相手がゴブリンと言う事で女性職員を連れてきてないのだその為我々の方で姫様だけが女性な為問題になる事が発覚してしまったのだ………」
「問題って何よ?そこまで問題だとは思わないのだけど?」
「いや、大問題なのだよ………少なくとも王家にとっては………」
「……………まさかとは思うけどそれって姫様の将来的な物でって事じゃ無いわよね?」
「………まさにそれなんだよ」
姫様の将来的な物?俺はそう思い少し考えてみた。
多分だが姫様はかなり若い………見た目からしてまだ中学を卒業した位の歳じゃないかと思うのだがそんな女の子と言っても良い少女が男だらけのテントで一夜を開ける…………うん、事案じゃなかろうか?。
実際にはそんな事にはならないだろうけど姫様の周りはそう思わないのかも知れない。
そう言った事を回避する為にはどうすれば良いのか………答えは簡単だろう。
単純に女性が多いまたは女性のみのパーティーに姫様を頼めばいいのだ。
しかし、それだったら俺達より良い所があると思うのだが………。
その考えに思い至ったと同時に他の皆も同じ考えに達したのかある方向を見た。
おっさんはその視線の行き先に検討はついているらしくこう言った。
「あそこのパーティーは確かに女性だけだが問題が有ってな………アイツ等は所謂男好きな連中でなその…な?………」
なる程つまりあそこの人達は夜な夜な男を連れ込んでどんちゃん騒ぎを行うと………。
うん、それは問題だな…………。
そんなると他には女性が多く存在するパーティーは2つだけだ。
俺達と後は男1人に女4人のハーレムパーティーだけだ。
多分だがあっちのハーレムパーティーはそのまんまハーレムなのだろうな………そうなると俺達しか無理な訳か………。
コッチも見ようによってはハーレムに見えなくも無いのだが………。
こりゃ断れそうには無いな………。
皆も同じ考えに思い至った様で苦笑いをしていた。
その空気を察してかアルドが自分を指してからギルドのテントを指差した。
どうやら自分がギルドのテントに行くと言ってるらしい………。
「…………本気?」
「コク………」
「………………はぁ………分かったわあなたがそう言うのなら」
「…………それで……頼めるだろうか?」
「ええ、仕方ないわね………その代わりうちのアルドをそっちのテントでお願い出来ないかしら」
「あぁ、それで良いのならこちらはお願いしたい」
「分かったわ………」
ようやく話が纏まり空気が変わったからかそれまで黙っていた姫様が俺達に「よろしくお願いします」と一言だけ言葉を掛けて来た。
俺達はそれを苦笑いしながら「こちらこそ………」と答えるのだった。




