第32話
「……………本当に大丈夫?」
メリルにそうシアが尋ねた。
その理由は至って簡単だ………それはメリルが俺の装備をタダでくれると言ったからだ。
タダで装備をくれると言ってくれたのは有り難いし嬉しいのだがシアの装備と合わせると相当な額を俺達に使っていると思うのだ。
正直………………この鍛冶屋コレで大丈夫なのか?と心配してしまう位。
「大丈夫よ、そもそも私の意見も聞かずにシアの装備をタダで上げたのはあのお父さん何だから!コレ位やってもらわなきゃお仕置きにならないわ!」
………と、少し怒りながら彼女は言った。
なんでもシアの装備だけで金貨100枚では足りない額の素材を使っており………その上加工する為にも特殊な方法やなんかも使用しているらしい。
つまりシアの装備は金貨1000枚以上の価値があり。
それを売って出来たお金で設備を整えたり酒代で出来た借金を返したりと色々とやる事になっていたのだと言う事らしい。
それを親方は娘のメリルに相談もなくタダでシアに装備を与えると決めた為に密かに怒っていたのだ。
そしてメリルが言っているお仕置きとは俺の装備に関する事だ。
あれだけの事を勝手に決めたのだお仕置きが無いとまた同じ事を繰り返すとメリルは感じだったら罰を与えて思い知らさねばならないと考えた。
結果、俺とシアの装備代を親方の小遣いから払わせると言う罰に決めたそうだ。
身内は怒らせてはいけないとおもいしらされた………………。
「………………責めて半分位は払うよ?」
「いらないってば!」
「………でも」
「いかげんしつこいよ!シア!これはお父さんへの罰だって言ってるじゃん!」
「メリル……………分かったよ………でも、友達何だから何か有ったら絶対に頼ってよ?」
「分かったわよ………」
「絶対よ!」
「はいはい……何か有ったら知らせるわよ!」
シアのしつこさに少し怒りながら彼女は言った。
確かに額が額だからシアのしつこさも理解できるが俺もちょっとしつこ過ぎると思うぞ?。
それはさて置き俺の装備だが取りあえずは篭手だけを貰って行く事になった。
結局防具は革装備は翼の出せる場所を開け無いと装備出来ずその上現状俺のサイズに合うのが無かった為断念。
鉄装備は重くて持つ事も叶わず装備なんてしたら動く事なんか出来なくなる。
よって現状装備しても問題無い篭手のみを貰う事になったのだ。
残りの部分は作製するか装備出来る様になったらと言う事になったのだ。
装備に関してはこんな所だ。
さて、この後は帰りにギルドに寄って明日の確認をして何事も無ければ飯屋によって明日に備えて寝る事になる筈だ。
そう言えばさっきから静かだな?そう思ってシアを見ると………。
「……………………はぁ……」
「いきなりどうしたのよ?」
「えっと………またあの入り口の剣の山の中を通らなきゃ行けないって思ったら…………ね?」
「それについてはゴメンとしか言えないわね…………」
「そう言えば聞こうと思っていたんだけど………アレどうしたの?」
入り口の山に関しては俺も何が有ってあんな事になってるのか気になっていた………。
この質問にたいしてのメリルの答えは単純だった。
「アレねぇ………昨日街の大型炉が壊れちゃって急遽小型炉を持ってる家とかに溶かして欲しいって運び込まれたのよ………参っちゃうわよね?」
「どうして溶鉱炉壊れたんだろ?」
「単純よ役人の命令で稼働限界超えて使ってぶっ壊したのよ!何か昨日隣の都市から避難民が大量に来てたらしいのよ………そんで今まで少しずつ処理して新しい鉄にしてたのを急遽一気にやる事になったらしいの………何でも数日中に大量の武器が必要になるかららしいわよ?」
つまりアレか?昨日の飯屋で聞いた話の続きなのだろう。
大量の魔物に襲われる隣の都市………。
その都市から避難して来た人達………。
流通が麻痺した事による食糧難………。
唐突に告げられた大量の武器製造………。
…………ってか?これってかなりマズくねぇか?。
っても………今の俺には何も出来ないんだけども………。
取りあえず今は明日のゴブリン退治に集中だな!。
「それじゃあ暫くは忙しくなりそうだね………」
「忙しくはなるけど先にシアの方を終わらせて運ぶから」
「でも、間に合う?」
「大丈夫だと…おもう…よ?」
本当に信じても大丈夫何だよな………取りあえず………そこは断言して欲しかった!。
「何にしても任せなさい!」
「うん♪………それじゃあよろしくね♪」
「クァ!(頼んだ!)」
「それじゃあフォル行こ♡」
「クァ!(おう!)」
その一言を言って俺達は店を後にした。
店を出た瞬間シアは固まるかと思ったが直前のやり取りのお陰か両隣の山を気にする事無く通り過ぎた。
その流れでそのまま門まで戻りギルドへと向かい中に入って昨日の受付嬢……アンナに話し掛けた。
「こんにちは、アンナさん♪」
「はい、こんにちはシアさん。
それで明日の確認ですね?」
「はい!」
「分かりました少々お待ち下さい」
アンナは受付の奥に向かい他の職員に声を掛け受付から出て奥の扉へと向かった。
少しの間待つと奥からギルドマスターを連れて現れた。
「おう!確認事項は昨日の部屋で話す付いて来い」
昨日と同じ部屋に入った俺達は早速確認をし始めた。
「取り敢えず今の所連絡事項は特に無い!アンナは?何か有るか?」
「そうですね………私の方からは2つ有ります。
現在、先行偵察に出していたパーティが先程戻って来ました。
報告によりますと現状、道中のゴブリンの形跡は認められなかそうです。
道中に関してはいつも道理の様です。
洞窟班の方はまだ戻ってません。
もう少しすれば帰って来ると思いますので戻り次第彼等の情報をもとに洞窟の地図を作成します」
「頼んだぞ………と言う事で今の所予定に変更は無い」
……………どうやら道中は大丈夫らしい。
それにしても………85人も集まったんだなぁ………このギルドに何人の冒険者が所属してるのかは分からないが結構な数だ。
取り敢えず聞きたい事は聞けたな!。
「何か質問は有るか?」
「ありません」
「なら予定道り明日の昼に洞窟前に集合だ………遅れるなよ?」
「大丈夫です!それじゃあ明日!」
そう言って俺達はギルドを出て昨日の飯屋に向かうのだった。




