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第31話


 シアの友達であるメリルが持って来た装備を俺は着ようと思った…………けど、この鎧には大きな欠陥があった。


「クゥ………クァ(これ………無理だ)」


「どうしたの?」


「クァクァァ(羽穴が無いと着れない)」


「あ、本当だ………」


「何か問題?」


「鎧に羽根穴がないって言ってるのよ」


「あ〜あ………確かにそうだわ………これじゃ着れないわよねゴメン」


 メリルは装備を確認してその事実に気付いた様だ。

流石の俺でも翼を仕舞える訳では無いので穴が無いと物理的に鎧の許容量を超えてしまい着けるのは無理だ。


「穴を開けようと思えば開けられるけど………どうする?」


 どうすると言われてもなぁ………開ければ確かに着られるのだろうけどそこまでして装備が欲しいかと言われるとなぁ………。

正直攻撃を受けた事が無いからなぁ………痛いのは嫌だし穴を開けてコレを装備するか?。


「何か悩んでるみたいだし他のが無いか見てくるわ」


 俺が返事に困っているとメリルはそれを察して他の装備が無いか奥へと探しに行ってくれた。

正直有り難い………他の装備がどんな感じか見てみないと加工するかの判断も着けられない。

もしかしたら加工をする必要すら無い装備があるかもしれないし。

そうして暫くどうするか考えていると何か板見たいな物を抱えてメリルが戻って来た。


「奥を探したら胸当てを紐で止めるタイプのが有ったわ!コレなら翼の邪魔にはならないと思うわよ?どうかな?」


 俺はその鎧をじっくりと見た。

形は首元からお腹までを覆う板状の物で色は塗装でもしたのかと言いたい程の黒だ。

両肩の辺りから太目の革紐が付いていてクロスする様にお腹の辺りまで伸びていてお腹の所にベルトの留め具で止める形だ。

確かにコレなら翼の邪魔にはならないが………コレ耐久性とか防御力はどんな感じなんだろ?あんまり低いようだったら重くなるだけだから着けないで回避に専念した方が良いんだけど。


「コレの素材は頑丈が取り柄の黒鉄って素材を使ってるから防御力はミスリルにも負けないわよ………その代わり重いんだけどね」


 一応、防御力はあるらしい………しかし、重いのか………。

取り敢えずどれ位の重さなのか持ち上げてみる。

確かに重い………ってか持ってるだけで辛い!。

コレでは重すぎるなにせ俺のステータスはハッキリ言って貧弱だ!何せ転生担当の奴がミスった所為で能力が低いと女神様まで仰ってる位なのだ。

当然筋力等の基礎的な部分も低くなっている。

その為俺が強くなる為に女神様が加護を付けてくれた位なのだ。


「………クゥ(………重い)」


「あ〜………やっぱり無理かぁ。

シアどうする?」


「う〜ん………フォルにも安全の為に装備は欲しいんだけどコレじゃぁ無理かなぁ………どうしよう………」


「………クァァ、クァ(………ゴメン、シア)」


「う〜うんフォルに怒ってるとかがっかりしてるとかそんな事無いから気にしないで!」


「ん〜………取り敢えず鎧は無理そうだから篭手だけでも着けとく?」


「そうしよっか?フォル?」


「………クァ(………うん)」


 俺は自分の情けなさに不甲斐ない気持ちでいっぱいになりながら提案を受け入れた。

篭手だけでも着けるだけで大分変わるはずだが出来れば何かあった時の為に装備に頼らなくても良い様にしたい………。

その為には他の魔物を倒してレベルを上げて強くならなくっちゃな………。

でも今は弱いんだから仕方ない………少しでもその不足分を補う為に篭手を着けよう。

そうして考えを巡らせている内に準備が出来たようでシアが俺の手を持ち上げて篭手を腕に宛てがった。

サイズは肘の辺りから手の甲迄で形は肘の所から手の甲までの外側を覆う形の鉄の板で出来ている。

留め具は肘の辺りと手首の辺りの2ヶ所を革紐で止めるシンプルな物だ。

コチラのモノはさっきの胸当てと違いあまり重さを感じない………コチラは素材が違うからか色が綺麗な銀色だ。


「どうかな?コレなら大丈夫だと思うんだけど………」


 俺は篭手を腕に着けられた状態で動いてみた。

腕を使った大きな動きを意識して昨日の練習の時みたいに動いた。

ストレート、フック、肘、裏拳、掌底、アッパー、思いつく限りの技を使った。

少し手首の部分が動かし辛いがコレならそこまで重く無く動きを阻害しないだろう。


「クァクァァ!(コレなら動けるよ!)」


「そ、そう!良かったよ!」


「う、うん!そうだね!」


「クァ?(どうした?)」


「何でもないよ!うん!ね?」


「うん!何でも無いから!」


 何だか2人が凄く慌てている………ころなしか顔も赤くなっている様な気がするが一体どうしたのだろうか?。

まぁ、今は気にしないでおこう………それよりもこの篭手だが本当に軽いな。

少し動かし辛いのを我慢すれば充分過ぎる位だ。

後は出来れば同じ素材で体と足の方も作ってもらえないかなぁ………。

そう言えばコレいくらするんだろ?あまり高い様だとシアに迷惑を掛ける事になるし………出来れば自分で稼いで何とかしたいなぁ。


「どう、フォル?使いやすい?」


「クァ、クックァァ!(手首が回し辛いけど、軽くて使いやすいぞ!)」


「そう♪ならメリル、コレにするよ!」


「そう………ならそれ持って行っちゃって」


「持って行ってって……いくらなの?」


「お金は気にしないで良いわよ?お父さんにもし他に必要な物が有ったらそれもタダで良いって言ってたから」


「え!?でもコレの素材って………」


「ええ、ミスリル合金で出来てるわ………でも、それがお父さんが決めた事だから気にしなくていいわよ?どうせこの後必死になって働いて貰うんだから!」


「そ……そう………」


「クァ………(うわぁ………)」


 そう言ったメリルの顔は何だか黒く見えた………。

女の人ってこう言うとこあるよね………気を付けよ。



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