第27話
「それでこの武器何だけど………はつきり言うわ修復は出来るけど直すより新しい物にするのをオススメするわ」
「そう………」
「シア………あんたがこの剣に思入れが有るのは知ってるけど………もしコレ直しても直ぐ折れるわよ」
俺は彼女の言葉を聞いて驚いた。
確かにヒビが入っているがそこまで酷くは見えなかったのだ。
何せヒビは剣の根本とは言え刃から数ミリ程度のモノだからだ………。
その疑問にシアも行き着いたのか理由を聞いた。
「このヒビが?」
「そう、そのヒビは見た目的にはたいした事が無い様に見えるけど………実際は剣の芯の方にまでヒビが達しているの………剣のヒビの修繕方法は2つ………鉄を継ぎ足しての砥と剣そのものをヒビが入ってる部分を削る方法よ。
鉄の継ぎ足しに関しては溶けた鉄を剣のヒビが有る部分に掛けてその後叩き直しと砥をやる物なの。
しかしこれは表面に掛ける為ヒビが芯までいってるとどうしても完全には直せないのよ。
それでこの剣を直そうとするとどうしてももう1つの方法の削って直す方法になるの。
………けどこの剣を直そうとしたらヒビが入ってる部分の少し上から切り落としをしないと削ってもヒビが残る事になるのよ………だから直す場合は剣の長さやバランスが変わって逆に使い辛くなって仕舞うわ。
だから同じ長さとバランスにするなら新しい物に替えた方が良いのよ………」
なる程な………つまりはどの方法で直しても武器としては使い辛くなり危ないと言う事か………。
例えば鉄の継ぎ足しによる直しだと剣の芯まで直せないから戦っている最中に折れると。
………そしてもう1つの方の直し方だと長さとか重心が変わっていて下手をするとその所為で危険な事になると………どちらにしてもこの剣は使えないと言う事か………。
シアはどうするのだろうか………。
「………どうするかはあんたの好きよ?けどね……これだけは言わせてもらうわよ。
………私はシア………あんたに死んで欲しくは無いわ。
だから新しい装備に換えなさい………」
「………………」
「クァ………(シア………)」
シアは彼女に言われた事を最後まで聞くと身動きも取らずに俯き続けた。
どうやらシアにとってこの剣は相当に思入れが有った物だった様だ。
出来れば直してあげたかったがシアの命には代えられない………。
もしシアが辛いのなら俺がその役目を果たそう………。
そう思いシアに声を掛けた。
「クァ、クァクァァア(シア、装備を新しくした方が良い)」
「……………フォル」
「クァ……クァクァァクゥァクックァァ!クッ、クァア!(もし……シアが装備を換えずに明日の作戦に参加するつもりならどんな事をしてでも俺はシアを止める!だから、新しいのに替えてくれ!)」
「…………………でも……」
「クァ………クゥアァァ。
クゥァアァクゥア………(シア………何もこの剣を捨てろって話じゃ無い。
武器としては使えなくなったけど捨てる必要は無いんだぞ………)」
「……………どう言う事?」
俺の言った事が理解出来て無い様だ。
俺が言いたいのは凄く簡単な事だ。
単純に新しい物に取り替えるのに前の物を捨てる必要は無いと言う事だ。
例えば親が初めて買ってくれた腕時計が有ったとしようそれがひょんな事故で壊れてしまい新しい物に取り替える事になった。
しかし、親が初めて買ってくれた思い出の詰まった大切な時計だ………壊れたからと言って捨てるのは嫌だ。
だったら動かないが大切に仕舞っておこう………とそう言う話だ。
俺がその事をシアに提案するとシアは何かを考え出した。
しばらくすると考えがまとまったのか顔を上げてメリルを見た。
「メリル、この剣を直して………」
そう言われた彼女は唖然としていた………。
何せ本の数秒前にこの剣はダメだと言ったばかりなのだ。
それなのにその忠告を無視する様に直して欲しいと言って来たのだから。
「……………あんた、あたしが何て言ったか覚えて………」
「直しても直ぐに折れるでしょ?分かってるわ」
「だったら!「それでも!」………」
「…………それでも直して欲しいの……だってこの剣は父さんの形見だから………」
「シア………」
そっか………あの剣はシアの父親の形見だったのか………。
そりゃあ直したいわな………。
前の人生でも親から貰った物でも大事にする人が多かったこちらでも同じなのか………いや、向こう程安全じゃないコッチではもっと大切にされてるか………。
なら形見なら尚更だろうな………。
しかし、それではメリルが納得してくれても引いてはくれないだろう………。
そう思っていると案の定メリルは苦言を呈して来た。
「………あんたの気持ちは分かったわ。
………けどねハイそうですかって言うと思ってるの!?。
直した所で戦闘で直ぐ折れる剣を分かりましたと言って持たせる訳無いでしょうが!?。
あたしはね!?そんな物で大切な親友の命を危険にさせるの何かまっぴらよ!?」
「メリル、心配してくれてありがとうね♪私だってこの剣で戦おう何て思ってないから」
「………どう言う事よ」
「…………この剣は父さんの形見だから出来れば綺麗な状態で形だけでも残したいの………コレには沢山の思い出が詰まってるから。
だから戦闘に使う武具は新しく買ってそれを使うわ。
この剣は私の我儘で残したいの………メリルお願いこの剣を直して………」
そう言ってシアは深々と頭を下げた。
シアのその気持ちを知り俺も頭を下げた。
その俺達の行動に彼女は驚きながらため息をついた。
「ハァ、まったく………しょうが無いわね。
直してあげるわよ………」
「本当!?」
「えぇ………ただし条件が有るわ………」
一体どんな条件を………そう思い少し身構えると彼女は笑いながらこう言った。
「新しい武具は全部家で買う事!それと前のより良い物を買いなさい!良いわね?」
「うん!」
そうしてシアは嬉しそうに笑ったのだった。




