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第26話


「………ク、クァァ?(………これ、本当に大丈夫か?)」


 流石に心配になって呟いてしまった………。

何せ入り口以外見えない程うず高く折れた剣や抉れたり潰れたりしている鎧等が積まれているのだ。

何故こんなに?そう思ったがこの光景に圧倒されてしまった。

するとシアがこの状態を見て呟いた。


「……………コレどうしたんだろう?」


「クァァ!?(いつもこうじゃないのかよ!?)」


「うん………こんなの見た事無いよ………」


 コレが常じゃなかったのか………そんな失礼な事を考えてしまう程酷い状態だ。

それこそ前世で問題になっていたゴミ屋敷なのではと思う程に………。


「………取り敢えず中に入ろっか?」


「………クァ(………おう)」


 残骸が崩れて来ると困るので俺達は慎重に入り口へと近付いた。

そして近付いて分かったのだがどうやら一応安全を考えて崩れる事を防止する為に金網の様な物で覆って有った。

更に路面にフックの付いた杭を差し込みそこに金網を引っ掛けて網が外れるのを防止していた。

コレなら多少触れても崩れる事は無いと思える。

シアはその山を見て不安になったのか入り口の方を見て固まってしまっていた。

俺は崩れない事が理解出来たのでシアの前に出て入り口へと飛んだ。

流石に俺の行動に驚いてシアは息を呑んだみたいだ。

入り口の前まで来た俺は振り返りシアを見た。


「フォ、フォル……」


「ク、クァァ(大丈夫、崩れないよ)」


「………本当に?」


「クァ、クァァ(ああ、もし崩れても俺が守るよ)」


「フォル………うん、お願いね………」


 恐る恐るではあるがシアは俺を信頼して歩き出した。

そんなに長い距離では無いがこわごわとした歩き方の所為で何故か遠く感じる。

俺は少しでも不安が解消されれば良いと思いシアの所まで戻り手を取って扉へとシアを引っ張りながら移動した。

シア1人の時とは違い俺が引っ張ってるからか直ぐに扉へと着いた。

そのまま俺は扉へと手を着いて扉を開けて中に入った。

俺が引っ張ったままなのでシアは俺に続いて扉を潜った。

そしてシアはそのまま直ぐに扉を閉めた。


「……………はぁ、怖かったぁ」


 どうやら気が抜けた様だ。

確かにあれだけの刃物や鎧の残骸が積まれてる横を通るのは怖いのかも知れない。

俺は崩れないと分かったがシアにはその判別が出来なかったのだ。

知識の無い状態で崩れるかも知れない危険物の横を通るのだ………確かに怖いな。

そうしてシアが落ち着いた頃奥から誰かが出て来た。


「何か声がすると思ったらシアじゃない!どうしたのよ?」


「あ!メリル!おはよ!」


 どうやら彼女がメリルと言う人物らしい………。

俺は彼女の顔を見てどことなく見覚えがある様な気がした。

一体何処で見たのだろうか?………。

そんな疑問を抱いているとメリルは俺の存在に気付いた。


「ん、おは……よ………………って!ちょっ!?何でベビードラゴンがここにいるのよ!?」


「大丈夫だよ!メリル♪この子は私の従魔でフォルテースって言うんだ♪ちなみに名付け親は私です!」


「あなたの従魔何だからシアが名付けるのは当然でしょうが!ってか!従魔!?シアの!?」


 ツッコんで驚いて忙しい娘だ………。

しかし、俺も同じ意見だ。

俺の紹介をしてくれたのは嬉しいが名付け親かどうかは言う必要は無かったと思うぞ?。

普通そう言うのは相手から質問されたら答える事だと思う………。

そして、名付け親だと自分から言うのは親馬鹿の特徴だぞ?。

そんな風にシアに対してツッコんでいるとメリルと目が会った………。

その瞬間俺達はお互いに苦笑いをした。

そして俺はこう思った………彼女とは気が合いそうだ………と。

彼女も同じ様に思った様で「………お互い大変よね」と話し掛けて来た。

俺も同意なので「………クァ(………まったくだ)」と答えた。


「……………何だか2人が分かり合ってる気がする」


「そりゃそうよ………ね?」


「クァ(そうだな)」


「むぅ………何か私より仲良く無い?」


 俺とメリルは「あはは」と2人して笑った。

シアがむくれ俺達がひとしきり笑った後メリルは気を取り直すかの如く咳払いをしてから聞いて来た。


「………んで?何?遊びに来た訳?」


「うぅん、お仕事頼みに来たの!」


「仕事?武器のメンテナンスならこの間したばっかりよね?」


「そうなんだけど………ちょっと失敗しちゃって……………」


「失敗って………何?岩にでもぶつけた?」


「岩じゃないわ………ちょっとクエスト中に予想外の魔物と出会っちゃって戦闘になったの」


「ちょっと!?予想外の魔物って!家の装備をメンテしないといけない魔物と戦闘したって言うの!」


「うん………それで取り敢えずコレを見て欲しいの………」


 そう言ってシアはカウンターに今日メンテナンスに出す為に袋に入れて有った装備を置いた。


「どれどれ………っ!?何よ!コレ!?」


 そう言って取り出したシアの装備は酷くボロボロだった。

鎧は革で出来てる所為か色んな所が裂けシアの血を吸った所為か所々黒く変色していた。

剣に関しては真ん中辺りに大きくヒビが入っていてほんの少しの衝撃で折れてしまいそうだ。

こんなにボロボロだったのか………。

今考えると本当にギリギリだったのだろう………。 

この装備で良く生き残れたなぁ………。

そう思わずにはいられない。


「シア………一体何と戦って来たって言うのよ………」


「………えっと、ゴブリン退治のクエストをやりに洞窟へ行ったのよ………そうしたら群れが上位化していたみたいでゴブリンナイトに出くわしちゃってそいつと戦ったの………」


「ゴブリンナイトですって!?良く無事だったわね………」


「無事じゃ無いよ………普通のゴブリンと戦ってたら横からいきなり出て来て………何とか戦ってたけど避け切れないし………どんどん追い詰められて剣で受けるしか無くなって………そうしたらヒビ入れられちゃうし………もうダメだと思ったわ………」


「………でも何とか逃げ切れたのね」


「……………逃げ切れ無かったわ」


「………じゃぁどうやって………………もしかして?」


「そう!フォルが助けてくれたんだ♡」


「そう………あなた、シアを助けてくれたのね………ありがとう」


「クァ〜(いや〜)」


 お礼を言われて俺は照れ臭かった………。

シアを助けたのは助けたかったからで別に誉められたかったからでは無いのた。

そんな風に照れてる俺を2人は見ながら装備の事を相談し始めるのだった。



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