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第19話


「結構色々あるんだね!」


 俺もそう思った。

どうやら食材自体はまだそれなりに蓄えがあった様だ。

これなら何とかなるかもしれない………。

しかし、俺が考えているのはここで手に入る食材のみで作る事なのだ。

さてと………。


「クァ(シア)」


「………何?」


「クァ、クァァクァ?(聞きたいんだが、この街が産地の食材はどれだ?)」


「………えっと、この街産の食材?…………えっと、その………」


「どうかされましたか?」


 シアが俺の質問に答えられずに困惑していたらコックのおっちゃんが心配して聞いて来た。

ナイスおっちゃん!俺はそう思った。


「えっと………フォルが知りたいみたいです」


「ふむ………それでしたらコチラのポテルとコチラのピプリ、それからコチラのオニンがこの街産です。

それからコチラとコチラもそうですね」


 そう言って彼が指し示したのはどう見てもじゃが芋、人参、玉ねぎだった。

これカレーかシチューの食材集めてる感じだな。

もしかしてこれも初代様が関係してるのかな?。

まあ何にしても応用しやすい食材で助かった。

それから調味料や他の飲み物、果実等を聞いた。

うん、これならアレが作れるな!。

俺はそう思ってシアに通訳を頼んだ。


「クァ、クァクゥア(シア、料理のレシピを言うからおっちゃんに伝えてくれ)」


「……………フォル!?おっちゃんって!そんな呼び方したらダメ!」


「構いませんよ、それより彼は何と?」


「あっ……えっと、レシピを伝えて……と」


 シアがそう言うとおっちゃんは嬉しそうにしながら俺の言った物を用意した。

俺も一緒にそれを手伝いながら頭の中でレシピの確認した。

そして準備が出来た所でシアに通訳して貰いながらおっちゃんに食材を切って貰った。

今回この街で手に入る食材で作るのは3品だ。

1つ目はマッシュポテトだ。

材料はじゃが芋とバター、塩と胡椒、そして牛乳だ。

本当はまろやかさを出す為に生クリームを使いたかったがあいにく生産数が少なく………と言うか作られていないらしい。

バターを作る過程で作れるのだが冷蔵庫の無いこの世界では保存が難しく作られていないらしい。

それはさて置き、料理の続きだ。

先ずはじゃが芋に十字の切れ目を入れそのまま沸騰したお湯で柔らかくなるまで茹でて皮を剥く。

皮が剥き終わったらそのじゃが芋を潰しそこに塩と胡椒を入れ牛乳を少しずつ加えながら混ぜる。

全体がねっちょりとして来たら完成だ。

後はお好みで味を調節するだけだ。

今回は後で別の料理にも使う積りなので多めに作っておく。

2品目はポテトフライだ。

用意するのはじゃが芋と油これだけだ。

片栗粉を付けるとカリッとした食感になるのだが残念ながら片栗粉が無いので素揚げだ。

先ずじゃが芋の皮を包丁で剥き一口大の大きさに切り水で軽く洗い表面のぬめりを取る。

これをやらないと上げてる時に芋同士がくっ付いてしまい火通りが悪く食感や見た目が悪くなって仕舞う。

次に水で洗ったじゃが芋をキレイな布で軽く抑え水気を取る。

こうして水気を取らないと油に入れたときに油が跳ねて大変な事になる。

それこそ火事になる原因なのでこれを怠ってはならない。

最後に油を火に掛け温度を上げはしか竹串を油に入れ泡が出て来るのを確認して水気を取ったじゃが芋を入れ後は揚がるのを待つだけだ。

この時油から上げる目安としては芋が入れた時より軽くなり浮き始め油の中を泳ぐのを目安にすると簡単だ。

さて、最後に3品目はシチューを作る。

材料はじゃが芋、人参、玉ねぎ、バター、小麦粉、牛乳、塩、胡椒、水、そして最後に一番最初に作ったマッシュポテトだ。

先ずはじゃが芋、人参、玉ねぎの皮を剥きじゃが芋は少し大き目に切り人参は乱切りにし玉ねぎは頭と根の部分を落し半分に切ってからスライスにする。

次に鍋を用意してホワイトソースを作る。

鍋を火に掛けスライスした玉ねぎを3分の1程度入れ炒める。

焦げない様に注意しながら炒め火が通ったら小麦粉を入れて牛乳を少しずつ入れながら焦げない様にかき混ぜる。

全体にとろみが付いて来たら一旦鍋を火から卸し出来上がったソースを器に移し鍋を空ける。

次に鍋に油を引きじゃが芋と人参を炒める全体に火が通り始めたら残っている玉ねぎを入れ火を通す。

全体に火が通ったら水を具が浸る位まで入れる。

少しすると灰汁が出て来るので一旦火から卸し灰汁を取り除く。

取り除き終わったらホワイトソースと牛乳そしてマッシュポテトを少し入れ再度火に掛ける。

暫く煮込みとろみが付いているかを確認し足りなければマッシュポテトを追加しまた煮込む。

とろみが付いて来たらバターを入れ塩、胡椒で味を整えて完成だ。

これに肉を入れたり他の野菜等を入れれば完璧だったのだがあいにく肉類はここでは入手し辛いらしく無かったので今回は入れずに作った。

これぞじゃが芋たっぷりシチューだ。

ちなみにマッシュポテトを入れたのはトロミを作る為だ。


「おぉ〜!これは……もしや……初代国王様が愛してやまなかったと言われていた幻の料理シ・チューなのか!?これを唯一作れる料理人が亡くなった事で失われた料理!。

まさに伝えて聞いていた通りの見た目………た、食べてみても?」


「クァ(どうぞ)」


「どうぞ、だそうです」


「それでは………あぁ、これが初代国王様が食べていた料理ですか………野菜の甘味と牛乳の深味、それらがトロミの中で一体になり何とも優しい味になっている………シンプルな材料しか使って無いのにこれ程のモノが作れるなんて………」


「クァ、クァァ………(実はそれ、まだ未完成なんです………)」


「………彼は何と?」


「………この料理はまだ未完成だと」


「何ですって!?これで未完成!ここまでの料理が未完成………………」


 未完成だと言ったら凄い驚かれた………だって仕方無いじゃん肉とか調味料とか色々足りないんだもん。

俺はいつか完成品を彼に食べさせたいと思った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 初代なら何かして王に上り詰めたって事だしいつ作ったか知らんが建物は残ってて料理が残ってないのもおかしな話だよね
2021/02/13 20:45 退会済み
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