第160話
「それじゃぁ開けるわね………」
そう言ってメリアは目の前の扉へと手を伸ばした。
ドアノブを掴み捻るとそこには悍しいモノが………等無くただただ普通の通路が広がっていた。
その普通具合に少しホッとした。
さて、通路の造りだがまずは奥へと続く右に曲がる形のL字型の通路でその角に行くまでに左手に扉が1つの有る。
「ガウガルルル?(メリアこの部屋は何か分かる?)」
「う〜んと、多分倉庫になってる筈よ?向こうでは倉庫として使っていたから」
そう言いながら扉を開けると中は倉庫では無く木でできたロッカーらしき物と小さな机が1つと椅子が2脚置かれていた。
「あら、倉庫じゃ無いようね………この置かれてる物の感じだと多分、職員用の部屋のようね」
と言うことはあの木のロッカーにはココで働いていた人達の私物が入ってる可能性が有るんだな………。
軽く見た所仕切りらしき物とかが無いので着換えとかを置かずに本当に職員の私物を置くだけの場所っぽい感じがする。
まぁ、確かめて見ない事には何とも言えないが………。
「ガルガルルガウ?(取り敢えず何か無いか探してみる?)」
「そうねそうしましょうか」
そして、俺達はその部屋を調べ始めた………。
と言ってもこの部屋に有るロッカーは全部で6つしか扉の無い物だからすぐに終わってしまうだろうが………。
1つずつ扉を開けて行くが本当に職員の私物しか無く特筆すべき事が出そうに無い物ばかりだ。
例えば職員が使っていただろうと思われる鏡や化粧道具その他には鞄や小説っぽい小さな本も有った。
「ガウガルルガ………(日記みたいな物が有れば良かったんだけど………)」
それが有ればこの建物で起きた事も少しは分かったのだが………。
「まぁ、有ったとしても書いてあるとは限らないけれど………」
それはそうだろう。
そこまで都合良く事が運ぶ何てのは物語の中だけのモノだ。
それでも何かしらの手掛かりが書かれていればと少しだけ期待をしてしまうのだ………。
それに何も書かれていなくてもそれもまた情報の1つだ。
「う〜んと、コレだけみたいだね」
「そのようね」
「でも、ようやく人が居た痕跡を見付けられたね」
「まぁ…それがこの騒動が起きた後の物かは分からないけれどもね」
「それでも何もないよりはマシです」
「そうだね」
可憐、メリアの順にそう言った後その言葉に同意する様にシア、麻耶ちゃん、シャル、最後に可憐が頷いた。
そして、そんな皆の雰囲気もお構い無しと言わんばかりに英人が「んで?コレどうすんだ?」何て言って来た。
「ガウガルルガッ(どうすんだも何も片付けるに決まってるだろうが)」
「いや、そうじゃなくてよこの本だよ」
「ガウ?(本?)」
って言ったってそれ書かれてる内容から考えてただの小説だろうが………と呆れていると………。
「コレ小説っぽい感じだけどよ日記っうかメモ帳だぜ」
「「「「「「ガル!?(え!?)」」」」」」
英人の言葉を聞いて皆して思わず声を上げていた。
「ガルルガウガ?(何で分かったんだ?)」
「いや、だってコレ麻耶が書いてるポエム「いやぁぁぁぁぁ!」ぐはっ!?………」
あ〜………うん、どうやら麻耶ちゃんの黒歴史に触れてしまったみたいだ………。
にしても良い感じに入ったなぁ………。
俺は床に倒れ込んだまま悶絶している英人を見た。
英人が麻耶ちゃんの秘密をバラした瞬間に麻耶ちゃんは自分の持っていた木の杖を棍棒の様に振るい思いっ切り頭の後ろを殴った………。
普通なら殺人事件になりそうな感じだがステータスで強化されたこな世界では今の英人みたいな事になる………。
俺もメリア達の訓練で何度も味わっているので良く分かる………。
さて、この状況をどうするか………。
取り敢えず。
「ガウガルル?(可愛い趣味だと思うよ?)」
俺は麻耶ちゃんに自分の正直な思いを伝えた。
「うわぁあぁぁぁぁん!?………」
それを聞いた麻耶ちゃんは恥ずかしさに顔を真っ赤にして蹲ってしまった!。
しまった!?とどめを刺してしまったか………。
どうしようと思い皆を見渡すと皆「自分で何とかしなさい」と言う感じで俺から目を反らした。
仕方無い………昔小説で読んだ方法を試すか。
「ガウ!ガルルガウガルガルルガッガウ!(大丈夫!俺なんて多分麻耶ちゃんに負けない位イタイ言葉を考えた事があるから!)」
「……………例えば?」
え!?皆が居る中で喋るの!。
そう思いながら麻耶ちゃんを見るとまだ真っ赤な顔を隠しながら指の隙間から潤んだ瞳で縋る様に見て来た。
くっ!それは卑怯だろう………。
こんな風にされると選択肢なんて無いじゃ無いか………。
仕方無い………そう諦めて俺は話し出した………。
「ガ、ガルルゥ………(た、例えば………)」
俺は恥ずかしさに身悶えながら話たのだった………。
え?どんな内容かって?いや、それは、秘密って事で1つお願いします………。




