第16話
「………………ビックリしたわ。
まさか回復魔法を使えるなんて………」
「コクコク!」
「あはは、私も最初はそんな感じだったよ」
「もしかして恩人と言うのは………」
「そう、洞窟でのゴブリン討伐のクエストをやってたら死に掛けてフォルが回復してくれたの」
「死に掛けたって!!?何があったのよ!」
「えっとね、最初は洞窟内にいるゴブリン数匹の殲滅って内容の討伐クエストだったんだ。
所が始めて最初の群れを討伐してる時にゴブリンナイトが突然現れて他のゴブリンは倒したんだけどゴブリンナイトにやられちゃって………その時は何とか逃げれたんだけど直ぐに追いつかれちゃって…………もう、ダメだって思った瞬間フォルがゴブリンナイトから助けてくれたんだ………あの時のフォル………ホントカッコよかった♡」
あ〜………あの時は確かに色々とピンチっぽいとは思ってたけど本当にギリギリだったんだな………。
それにしても………あの時は俺一回拒絶されて泣いてたんだよなぁ………出来るのならやり直したい。
「えっと………この子フォルだっけ?」
「そう!だけどフォルは愛称で本当はフォルテースって名前なんだ〜♪ちなみに名付け親は私♡」
「あ〜はいはいフォルテースね………んで、フォルテース………シアを助けてくれてありがとう………それと恩人とは知らずにさっきはあんな事を………本当にごめんなさい…………」
「…………コクン」
そう言って2人は頭を下げた。
俺はそこまで気にしてない………って言うかさっきのシアの豹変の方に驚いていたからそこまで気にならなかった。
それに、何かシアとは結構深い仲みたいだし………むしろあれはどこの馬の骨かも分からない俺に対しては普通より少しだけ過激な程度だと思うんだけど………何にしても返事をしないと何時までも頭を上げそうにないから気にしてないと伝えよう。
「クァ!(別に良いよ気にしてないから!)」
「えっと………」
「気にしてないって♪」
「………シアは何を言ってるのか分かるの?」
「うん!片言程度だけどね♪」
「ク!クァ!(え!片言っ!)」
驚いた………片言しか分からなかったのにギルドでの説明を通訳して殆ど俺の言った事をそのまま伝えていた。
シア………そう言うのは最初に言って欲しかった………そうすればもっと簡単な説明をしたのに…………。
そう思いながらシアを見ていたら同じ事を思ったのか2人もシアを見て呆れていた。
「はぁ………まったく、あなたは昔から感覚で動く娘でしたがもう少し考える事をしなさい………。
所でこの子………フォルテースの言葉が分かるのはもしかしてアレのお陰なの?」
「う〜ん………多分そうだと思う」
「……………そう」
「……………………」
アレってのが何だかは分からないが少なくともシアに関わっている事だけは分かる。
もしそれがシアにとっていい事で無いのなら俺は全力でどうにかしたいと思う。
取り敢えず今は………。
俺はその場で立ち上がりシアへと近付いてその手に触れた。
「クァ……(シア……)」
「フォル………大丈夫だよ。
今はちょっと話せないけど近い内に話すから」
「クァ(分かった)」
「シアは本当にフォルテースと仲が良いわね」
「うん!だって私フォルの事大好きだもん!」
そう言ってシアは俺を抱き上げた。
大好きって言ってくれたが多分動物のペットに向ける様な意味合い何だろうなぁ………。
まぁ嫌では無いのでそのままで良いか。
「所で話を戻すけどギルドにゴブリンナイトの事は伝えたの?」
「うん、ギルドには報告済み」
「そう、ギルドは何て?」
「明後日に討伐隊を組んで洞窟に入るって言ってたわ。
ちなみに私はその襲われた場所への道案内をして欲しいって言われたの」
「道案内の後はあなたはどうなるの?」
「そのまま討伐隊に入ってゴブリン討伐に参加する予定」
「そう………あなた?」
「………コク」
何やら目と目で会話したと思ったら男の方は立ち上がり奥に入って行った。
「メリア?………もしかして参加するつもり?」
「ええ、私達はそのつもりよ」
「でも、怪我で辞めてたんじゃ………」
「別に引退した訳じゃないのよ………っと言うよりもアルドの療養ついでにギルド経営のここで雇って貰ってただけなのよ。
それにアルドの怪我もいい加減治ってるからそろそろ戻ろうかって話てた所なの。
今回討伐部隊が作られるならタイミング的には丁度良いから」
「そう、メリアがそれで良いなら良いの」
「えぇ、それで?この後はどうするの?」
そう言いながら彼女は立ち上がりカウンターの中に入って壁に掛けてあるカギを持った。
「取り敢えず荷物を置いたらフォルと2人であそこの食堂に行ってこようかなって」
「あぁ、あそこね!ならゆっくりしてらっしゃい」
彼女はその持ったカギをシアに差し出して来た。
それをシアは受け取りつつ答えた。
「その積り!それじゃフォル行こうか!」
「クァ!(あぁ!)」
俺はシアに抱き上げられたまま2階へと上がったのだった。




