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第153話


「「「「「「…………(…………)」」」」」」


 無言で見る………コレでもかと俺を含めて全員が無言で英人えいじの事を見ている。

圧迫面接みたいなこの状況でも少し緊張しているだけで済んでいる英人えいじはある意味では勇者なのだろう………。

そんな英人えいじも俺達………正確に言うと俺を無言で見ている………。

うん、ギルドがこの状態になった理由を知らない俺以外の全員の目はには説明しろ!ってその目が語ってるからね。

ジトッ……っとしたその睨みつける様な目に英人えいじを含めたバリケード作成に残っていた3人はその目に怯えてビクビクと時折震えている………。

まぁ、震えてるのは正座させられているからかもしれないが………。


「…………………」


「……………ガ?(……………で?)」


「でって?…………」


「ガウ?ガルゥッ!(いや、分かってんだろ?どうしてこうなった!)」


「どうしてもなにもなぁ………」


 そう言いながら英人えいじがどうしてこうなったのかの説明をし始めた。


「まぁ、簡単に言うと倉庫に鉄とか折れた剣とかの廃材が大量に有ってんでそれを加工する事の出来るスキルを持ってて外の状況が分からない以上頑丈な方が良いだろうって事でその廃材や何かを使って要塞化したって所だな………」


「「「「「「「軽い!」」」」」」」


 俺以外が声を揃えて言ってしまう位に軽い!。

うん、ノリも軽ければ理由も軽い何と言うか全部が軽いな!。

材料が有って加工が出来るからって要塞化するって!。

普通はそこの持ち主とか材料の持ち主だとかそう言った人達がやる様な事をなんの関係も無い俺達が勝手にやっていい事じゃ無い………。

少なくとも俺達に相談してからやるべきだった事だ。

ちなみに相談されたら要塞化は許可を出したと思う。

実際に今は外は安全だがコレがこのまま明日も安全かと問われれば分からなかったし街の何処かに今後の為にベース基地は必要だとは思っていたが………勝手にやるなよ………。


「いや……俺も勝手にやるのはまずいって思って止めようとしたんだぜ………げどおっちゃん2人がノリノリでやり始めちまって…………」


 止められなかったと………んで?。


「ガルゥ………(お前もノリノリでやったと………)」


「おう!」


「「「「「「「「おう!じゃない!止めなさいよ!」」」」」」」」


「うっ…す、すまん………」


 そう謝って首を竦めてからバツが悪そうな顔をして英人えいじは俯いてしまった。

そのままし〜んと静まり誰も喋らなくなってしまった………。

なんとも言えない空気が漂いどうするべきか考えあぐねていると「はぁ………」とメリアが溜め息を吐くと呆れた顔を3人に向けて何だか黒い笑顔を向けたと思ったらこう言った。


「明日の朝まで3人で夜通しの見張りをやりなさい」


「「「え!?マジで!」」」


「えぇ、マジよ」


 ふだんあんまり話さないアルドですら驚いて言葉を発した。

おそらくこの要塞化の為に鉄をここまで運び疲れて説教が終われば寝れると思っていたのかもしれない………。

けどメリアはそんな事関係ない………むしろコッチだってマリーさんを救助する為に重い瓦礫を退かしたりしたのだと言いたげに3人に向けてずっと笑顔を向け続けている。


「「「うぅ………わ、分かりました………」」」


 そんなメリアの圧力に3人は渋々従うのだった。


「んじゃぁ、そうと決まれば見張りについての話し合いといこうぜ」


「そうですね……」


「あぁ………」


 そう言ったかと思ったら3人は俺の方へとぷるぷると震えながらも這って来て座り直した。


「ガゥ?(え?)」


「そんじゃまず何処を誰が見張るかだけど………」


「ガルゥッ!(ちょっと待て!)」


「なんだよ………」


「グルガゥッガッガウッ!(見張りの話をするのは分かったけど何で俺の所に来てるんだよ!)」


「何でってそりゃあお前………」


 そう言って俺を3人は見つめて………。


「「「お前も(貴方も)頭数に入っているからだ(です)が?」」」


「ガルゥッ!(何でだよ!)」


 俺は思わず叫んでいた。

何で俺が見張りの頭数に入ってるんだよ!。

コレってお前らのしでかした事への罰だろうが!。

それなのに!。


「だってよ………なぁ?」


「ウム………」


「えぇ………」


 そう言って3人はお互いの顔を見合わせてから俺に向き直りそして………。


「お前(貴方)だけ見張り無しはズリぃ(ズルい)(ズルいです)から………」


「ガルゥゥゥゥゥゥッ!?(ふざけんなぁぁぁぁぁぁっ!?)」


 思わずふだん敬語で話す相手に敬語すら忘れて叫んでいた。

だってそうだろ!。

俺今回の件には一切関わり何て無いのにどうしてコイツ等の罰に巻き込まれにゃならんのよ!。


「ガルッ!ガウッガルルガウッ!(フザけるなよ!何でお前等の罰に俺が巻き込まれにゃならんのだ!)」


「「「ただの嫉妬だが(ですが)何か?」」」


「ガルァッ!(クソったれ共がっ!)」


 そうして叫んでいるといつの間にかシア達が俺の後ろに来ていた。

ヤベぇ全然気配を感じ無かったんだが………。

そんな風にシア達に対して戦慄していると突然シアが俺を抱き上げたそしてメリアが彼等を睨み………。


「貴方達何を言ってるのよ!フォルテースはコレからあたし達と一緒に寝るのよ!」


「うんうん!」


「そうですよ!」


「そうね!」


「そうそう!」


「当然ですね!」


「ですです!」


「意義無しです!」


「「「ちょっ!?何でだよ!?……」」」


「当然でしょうが!今日の見張りは勝手にここを要塞みたいにした貴方達への罰なのよ!何でマリーさんが生きてる事を発見して救助したフォルテースが見張りをしなきゃいけないのよ!」


「「「「「「「そうだ!そうだ!」」」」」」」


「と言う訳で!アンタ達!シッカリと見張りをやりなさいよ!」


「「「「「「「おやすみ(なさい)〜♪」」」」」」」


 そう言ったシア達に俺は抱き上げられたままシア達の勢いにポカ〜ンとした英人えいじ達をその場に残し俺はその場を後にした………。

見張りを回避出来たのは良いのだが………え?俺、今日女性に囲まれて眠るの?。

身体は魔物だけど中身は俺、高校生の男子なんだけど?………。

そんな風に疑問になりながら俺は皆と一緒に3階の安全が確認出来ている部屋へと入って行った………。

俺、今日寝れるんだろうか?………。



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