第146話
戦いから暫く………俺達は何とも言えない後味の悪い終わりを迎えその場に座り込んでいた………。
だが、夕方になり空が赤くなり始めたので取り敢えず何処か安全な建物の中へと入ろうと言う事で動く事になった………。
と、言っても周りの建物で原型を留めて居るのは東の避難所に指定されていたグラトラスと白衣の女が出て来た冒険者ギルド位で後は殆どグラトラスのお陰で壁に盛大な穴が開いてしまっている。
中には何度もグラトラスが突っ込んだ所為で今にも崩れそうになっているのまで有る程だ。
流石に外で野宿は出来ない。
何せココに来るまで襲われなかったと言ってもこの都市の中の魔物が完全に駆除されたとは限らないのだ。
となれば何時襲われるのかも分からない外での野宿とはいかないので建物に入るのは必須だ。
だが先程も言った様に周りの建物はいつ倒壊してもおかしく無い位にボロボロだ。
どうするか………。
そんな風に悩んでいると皆が俺の周りに集まり出した。
「ねぇ、周りの建物凄いボロボロ何だけど比較的大丈夫そうなのに入る?」
シアがメリア達にそう訪ねた。
それに対してメリアは渋い顔をして周りを見渡した後シアを見つめ。
「いつ崩れるかも分からない様な建物に入るつもり?」
「え?まさか〜♪入る訳無いよ♪」
「なら良いわ………それとあの建物に入らない理由がもう一つ有るわ………分かる?」
「えっとぉ…………夜中に魔物があの穴から入ってくるかもしれないからかな?」
「それもよ。
正直に言うと例え襲われても私達ならあのグラトラスとか言う怪物でもなければ死ぬ事無くそれどころか傷すら負わないかもしれないわね。
でも、私達は大丈夫でも建物は別よ」
確かにアレだけボロボロの建物だ俺達と魔物の戦闘に耐えられるとは思えない。
状況次第では建物に籠城せざる負えないだろう。
そんな籠城戦では護りきれるとは思えない。
下手をすれば建物ごと何て事になるかもしれない。
それを嫌い例え外で戦っても問題が出て来る………。
まぁ、俺が本来の姿で戦えばその辺は関係ないのだが………。
現状、【種族変化】のデメリットの所為でそれも出来ないもんなぁ………。
「あっ!そっか!戦ってる最中に崩れて来たら危ないのか!」
「危ないどころか下手したら死ぬわよ………はぁ……まったくこの娘は……………」
凄い事に気付いた!みたいな顔でメリアに笑顔を向けるシアにメリアが盛大に溜息を付きながらもっと酷い事になると忠告を促していた。
それに対してシアは「死ぬのは嫌だなぁ………」となんとも気の抜ける返事を返した。
そんなやり取りを聞いていた皆も流石に苦笑いを浮かべていた。
「………………ぷっ♪」
「「「「「あはははっ♪」」」」」
最初に笑ったのは誰かは分からないがそんな当たり前のやり取りが俺達の心を癒やしてくれた。
皆が笑ってるのを見てシアは何に対して皆が笑ってるのか不思議そうに首を傾げていた。
それを見て皆は更に笑った。
「もう!何が可笑しいの!」
「フフッ♪ゴ、ゴメ………ぷっふ♪」
「いや、だってよ……ぷっ♪」
「むぅ〜〜〜!…………」
「「「「「あはははっ♪」」」」」
シアとメリアのやり取りに笑いシアのふくれっ面に更に笑い。
そうして皆してひとしきり笑いあった。
暫くの間そうして笑いそして………。
「さて、中を調べますか………」
そう、メリアが呟いた。
その視線の先にはグラトラスと白衣の女が居た冒険者ギルドが有った………。
やっぱ……そこしか無いよな………。
そう思っていると騎士のなかで一人だけ生き残った彼が訪ねた。
「ここを調べるのですか?」
「今から他の所を探すのは難しいですからね」
「少し戻って他の建物を調べた方が良いのでは?」
「それをしてると確実に日が沈みます。
それに建物の中に魔物が居た場合それを排除しなければならないのですよ?。
暗くなってからでは危険です。
それならばまだ明るい間にこの中を調べた方が早いです」
メリアの話を聞き頭の中で色々と考えているのだろう顎に人差し指を当てる形で手を添え下を向いている。
そして納得したのか顔を上げて。
「その通りですね考え足らずで申し訳ありませんでした」
「いえ、アナタの考えも間違ってはおりませんので謝って頂くものではありません」
と、何とも何処かの会社員がしてそうな話し方でやり取りしている。
何と言うか………大人だな………。
そんな風に思いながら俺達は冒険者ギルドを眺め見てから歩き出し………。
この中にはきっと見たくないモノが有るかもしれない………。
その少しの恐怖を感じながら俺達は冒険者ギルドの中へと入って行った。




