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第130話


「クァ………クックァ………(はぁ………やっちまった………)


 俺は思わずそう呟いていた………。

シャルに冷たい態度をとってしまった…………。

客観的に見て考えるとあの態度は考えてもあり得ない………やってはならない最悪の対応だった………。


「クァ………ク、クゥァク………(どうすれば………って、どうするも何も謝る以外に無いよなぁ………)」


 そうそれしかない………けど…………。


「クァ………クゥァ………(やばい……めっちゃ怖い………)」


 謝らせてくれるだろうか?………怖がられないだろうか?………避けられたら?………顔すら見たくないといわれたら?………近寄ることすら拒否されたら?………。

そんな考えはダメだと分かっていながらそんな風にグルグルと悪い考えが浮かんでは消えまた浮かんで来て消えて行く………。

どれ位そんなネガティブな考えに囚われていたのか………。

それを少しでも紛らわせ様としたのかいつの間にか書類等が山積みになっていた筈の俺の周りにはそれらが無くなっていた………。

無意識とは言えそれを行っていた事に驚きだ………。

そして、それに気付いた事で少しだけネガティブな事を考えなくてすみちょっとだけ冷静になれた。

取り敢えず皆はどうしてるのかと思い周りを見るとアルドと英人えいじの2人だけがこの部屋に居て後の女子達は何処に居るのか尋ねると「隣の会議室に全員で行ってる」と呆れながら答えてくれた………。

呆れられるのも仕方ないよな………。

なにせ俺の所為でこんな事になってるんだから………。

英人えいじに皆の事を聞いた俺は彼女達への俺の行動を思い出しまた落ち込みつつあった………。


「「はぁ………」」


 そんな俺を見て2人がわざと何か大きく溜め息を付きそれを聞いた俺は更に落ち込み(いっそ消えてしまいたい………)と思ってしまった………。

そんな俺の考えが2人には筒抜けらしく珍しくイライラした雰囲気を醸し出していた………。

本当に申し訳無い………。


「なぁ、勇斗ゆうと………お前全然学習してねぇんだな………」


「クァ………(英人えいじ………)」


「何時までもウジウジしやがって!いい加減にしろよ!昔からそうだ!お前何か有ると直ぐにそうやってウジウジしやがって!俺はお前のそう言う所が嫌いだ!」


 あぁ………英人えいじがキレた………。

まぁ、当然だよな………こんな俺じゃぁな…………。

俺はそんな英人えいじの事を見ながら何も考える事が出来ずにいた………。

少なくともこんなウジウジしている俺を英人えいじが嫌いになるのも仕方無いな………。

そう思っていると普段あまり話さないアルドが話始めた。


「フォルテース………どうするつもりだ?」


 どうする………何を何て言うつもりは無い………。

アルドが言いたいのはコレからシアやシャルとの関係の事だ。


「クァ…ク………クァック………クァアクァック………クァ……クックァクゥァクァック………(どうするのか…っか………分かってるんだよ………ウジウジしたってどうしょうも無いのは………でも……そう思ったって怖いものは怖いんだよ………)」


「ならどうする?このままシア達とは分かれるか?」


「クァ………(それは………)」


「…………俺はそれでも良いと思っている………いや、むしろその方が良いとさえな………」


 ははっ………遂にアルドにまで愛想を尽かされたか………。

そう思い泣きそうになっていたのだが次のアルドの言葉で俺は物凄く驚いた。


「ハッキリ言ってシア達の態度は目に余る………特に2人はコレからお前と共にって行こうとしてる身だなのにお前の強さに怯えてあの態度だ………ましてやお前は竜だそれだけでも障害には事欠かないのにこの程度の事で躓くのならばお前を不幸にするだけだ………」


 本気で驚いた………。

てっきりアルドはシア達の味方をするモノだと思っていた………。

けど違った………。

普通は竜である俺では無くて同じ種族のシア達の方を擁護するのが当然である筈だ………。

なのにアルドはシア達では無く俺を庇ってくれている………。

正直嬉しかった………。

英人えいじは俺の煮え切らない態度を直せと言ってくれている………。

アルドはそんな俺の態度は当然と擁護しその上でシア達の態度が悪いと言いしかも俺達の今後の事を心配してくれている………。

2人共俺には勿体無いくらい良いやつ等だ………。

そんな2人の気持ちに俺は応えたい…………。

このままで良いのか!良いわけ無いよな!だったら!覚悟を決めろ!俺っ!。

また昔みたいに繰り返す気か!それが嫌なら怖がるな!。

そう決断し俺はその場で立ち上がり2人を見た。


「クァック……クックゥア!(ありがとう2人共……俺行って来る!)」


「あぁ………」


「ったく!遅ぇんだよ!」


 そんな2人の激昂を受けつつ俺は隣の部屋へと向かった。

俺はシアにもシャルにも嫌われたく無いし出来るのなら最後まで一緒にいたい………。

だから!何としてでも2人とまた笑い合いたい!。

その為にも怖がってなんかいられないっ!覚悟を決めろ!俺!。

俺はそのままの勢いで隣の部屋の扉を叩き返事を待たずに中へと入って行った………………けど、これが間違いだった………。

中に入った瞬間俺の目に飛び込んできたのはシアとシャル……それから可憐かれん麻耶まやちゃんの下着姿だった………。

そんな光景に俺は思わず停止してしまいそんな俺を見た皆も状況が飲み込めずに固まってしまった………。

そんな沈黙も長くは続かず勢い良く開いた扉はその反動で勝手に締まりその静まり返った室内に「バタンッ!」と大きな音をたてた………。

その音が合図になった様で皆が動き出しその肢体を恥ずかしそうに隠しながら可憐な口から大きく息を吸いそして………。


「「「「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」」」」


 そんな大絶叫を響かせた………。

あぁ………何でこんなに運が悪いのだろうか…………。

もっとしっかりと確認しとけば………。

そんな事を思いながらいきなり襲い掛かって来た頭の痛みに俺は意識を失うのだった………。



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