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第129話


side:フォルテース


「コッチはコレで最後かな………」


 そう言って俺の目の前に大量の書類が積まれ………。


「あっ!ゆうぃコレもお願い!」


 更に大量の書類が積まれた………。

いや……コレが目的だから仕方無いとは言えもうちょっと遠慮とかしてくれないかな………。

そう思いつつその積み上げられた大量の書類を俺は黙々と【空間魔法】の【アイテムボックス】へと仕舞っていた。

一気に仕舞いたい所だが俺の習熟度が足りないのかあまり大きな物か仕舞えず一気に入れる事が出来なかったのだ。

仕方無く時間は掛かるが入れられる量に分けて仕舞っているのだ。


「あの……フォルテース…様………えっと………」


 その声に振り向くとそこには一抱えの本の様に綴じられた資料らしき物を抱えたシャルが立っていた………。

俺に怯えているのか視線を俺から外したまま荷物を抱えたままオロオロとしていた………。

はぁ………こりゃ……もうダメかもな…………。

前世でこう言う反応をする人は結構居た………。

最初は普通に接してくれていたのだが学校の修学旅行で現地のチャラい奴等にナンパされていた女子グループがいて放っておく訳にはいかないのでその女子達を助けに行ったらナンパ野郎共が殴り掛かって来たので返り討ちにしたら今のシャルの様な態度になりだんだん俺に近付こうともしなくなりそのまま話す事も無くなった………。

今のシャルはその初期段階だ………。

多分このままでは彼女は俺と話す事も無くなる所かこのままの態度で将来人の姿を取れるかもしれない俺と結婚し怯えたまま暮らす事になるだろう………。

責任感の強い彼女の事だ自分の心を殺してまで嫁いで来て最終的には病気になってしまうだろう………。

そうなる前に彼女とは離れた方が良いかもしれないな………。

そう思いつつ俺は彼女に「クアクゥァ………(その持ってる物をその辺に置いておいて………)」と言って彼女を背に作業に戻った………。


「…………っ!?」


 背後で息を呑む音が聞こえて来たが俺はそれを聞こえない振りして作業に集中した………。


side:シャルティア


「…………っ!?」


 私はフォルテース様の私へのその態度を見て思わず叫びながら泣きそうになりました………。

何とかそれだけは堪え私は資料を置いて逃げる様にその場を後にしました………。

私は泣く事すら許されません………。

それ程にフォルテース様を傷付けてしまったのですから………。

あの時私とシアさんはあの時のフォルテース様にショックを受けてしまい怯えてしまいました………。

その所為で今私達はフォルテース様にどの様な態度で接すれば良いのか分からなくなってしまいました………。

正直……フォルテース様とは仲直りを………いえ、喧嘩をしたわけではないので仲直りではなく謝罪ですね………。

とにかくそれをどうしすれば良いのか分かりません………。

いえ、分かってはいるのです………素直に怯えてしまいごめんなさいと伝えれば良いのですから………。

でも………怖くてそれが出来ずにいます………。

それはシアさんも同じでフォルテース様の事怖がる何て………って落ち込んでしまいました………。

そして、そんな私達の態度がカレン様達の逆鱗に触れてしまいました………。

遡る事3時間前………。

私達がフォルテース様に怯えてしまった後お二人に話があると言われて近くの民家の中に入りました。

そこで私達は彼女達に叱られました………。


「何ですかその態度は!あなた達は勇斗ゆうと………いえ、フォルテースに助けられておきながら彼が本気で怒ったのを見て怯えるなんて!」


 まさにその通りでした………。

あの時ゴブリンからの攻撃は私達に当たる軌道を描いていました。

幸い騎士の皆様が盾で防いで下さいましたが下手をすると私達が大怪我を負っていたかもしれなかったのです………。

そしてあの攻撃の軌道にフォルテース様も気が付いておられたのでしょう………。

アレに対してフォルテース様が本気で怒っておられましたから………。

それを分かっていながら私は………いえ、おそらくシアさんもそれはお分かりでしたでしょうから私達と言った方が良いでしょうね………。

とにかく私達は怯えてしまいました………。

それを怒られそしてこう言われました。


「フォルテースの思いも受け止められないその程度の気持ちと覚悟なら彼には今後一切近寄らないで欲しいかな!少なくとも私と麻耶まやは彼が人であった頃から彼の全てを受け入れてるし例え竜になった今でもその気持ちは変わらない!だから!あなた達が今のままの中途半端な想いと覚悟でいるのなら彼の事は忘れて二度と近付かないで!」


「「っ!?」」


 言葉も有りませんでした………。

彼女達が言ってる事は当然ですね………。

なにせ私達は彼を傷付けてしまったのですから………。

私は自分のスカートをキツく握りしめながら涙を堪えました………。

ここで泣いてしまえば楽になれるのでしょうけどそれでは罰になりません………。

それに泣いてしまえば彼を好きでいる事が出来なくなりそうで………。

シアさんを見てはいませんが彼女も私と同じで堪えているのではないでしょうか?………。

そうだと良いのですが………。

とにかく私は堪えて……堪えて……堪えました。

そして、私はカレン様とマヤ様に言うのですこんな厚かましい女ですがどうか彼を好きでいさせて欲しいと………。

そうしてようやく涙が出そうになるのが止まったので顔を上げるとそこには優しい笑顔で私達を見つめるお二方の顔がありました………。

そんなお二方の態度に困惑していると彼女達はこう言いました。


「もし、泣いてたなら本気で別れさせようと思いましたが泣きませんでしたね」


「うん、あの時の私達と同じ顔をしてるよ」


 同じ顔?………どう言う事でしょうか?。

そう思っていると彼女達から説明がありました。


「私達も昔彼を怖がった事があるんです」


「「え!?」」


「私達の時は本当に酷かった………」


「うん、今思い返しても鬱になりそうだよ………」


 昔、彼女達が彼女達と一緒に居た男の方エイジ様の喧嘩に巻き込まれた事があるそうです。

その時にその喧嘩相手に拐われてあわやと言う所まで行ってしまいギリギリの所で彼が来てくれたそうです。

そして、到着した彼は彼女達の姿を見て怒りを爆発させてしまい今日の様な感じで暴れてしまったらしいです。

その後私達と同じ様に彼に怯えてしまい暫く塞ぎ込んでしまったとの事………。

それを解決してくれたのがエイジ様だったとの事で彼もフォルテース様が落ち込んでるのを見ていられなかったからだったと………。

この話を聞いて私達は本気で自分が恥ずかしくなったのと同時に彼女達に親近感が湧きました。

そして、私達は謝るタイミングを探しているのですが………うぅ〜………いざとなると許してもらえるか怖くて……………。

レイリス様!どうか私達に勇気を下さい!。



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