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第12話


 俺は彼女と見つめ合いながら考えた。

どうやったらこんなに信頼してくれてるシアの思いに答えられるのだろうと………。

そう考えながら先程から真っ直ぐ俺を見詰めて来る彼女を見ていた。

その表情は凄く優しく瞳はキラキラと輝きそれでいて強い信念の様なモノが宿っていた。

彼女は本当に俺の事を大切に思ってくれている………それが良く分かった。

だから本気で答えたいのだが何分俺は魔物だ。

それもかなり危険な種類の………。

正直に言うとここでの話し合いによっては俺は彼女と一緒には居られないだろう………。

最悪は俺が危険な魔物だからと強くなる前に討伐をしようとしてくる筈だ。

そうなれば彼女は俺を庇って危険な目に会って仕舞う………それは避けなければならない。

そしてそれを判断するのは俺では無く彼等なのだ。

しかし、どうすれば俺が人に危害を加えない存在だと伝えられるのだろうか………。

その為ならば何でもしようと思うのだが………何も思いつかないのだ。

さて、どうするか………そんな事を考えながら彼女と見つめ合っていたらギルマスと呼ばれていた男が声を掛けて来た。


「っん!っんん!………あぁ見詰め合うのは結構だがそう言うのは宿でやってくれないか?」


 俺達は恥ずかしさの余りに同時に顔を反らして前を向いた。

それを見ていた彼等はニヤニヤ顔でコチラを見ていた。

どうやら俺達のやり取りを見てニヤニヤしている様だ。

まぁ会議の場でこんな雰囲気出してた俺達が悪いのかも知れないけど…………。

何だよ!!?その顔ムカつくから止めろ!。

その顔見てるとぶん殴りたくなるのでとっとと説明して終わらせよう。

それから俺は生きてた時の事やその後の事………そして、俺が居た世界の事を話した。

1つ説明する毎に彼等の表情は変わり真剣なモノに戻っていった。


「………………はぁ……ゴブリンの報告を聞きに来ただけだったんだがなぁ」


「……………これは予想以上ですね」


「………何と言うか……とんでもねぇなお前さん」


 それについては俺じゃなく転生神に言って欲しい。

俺が記憶を残したままこの世界に転生して仕舞ったのは恐らくステータスの変更設定をミスった担当者の所為だと思う。

俺が原因であるならばあの説明メールにその辺の事とかも書いていたと思うがその辺りの事は書かれていなかった。

あのメールには『部下が処理を誤り貴方様のステータスを振る事が出来ずそのまま転生させて仕舞いました』と書かれていた。

恐らくこのステータスの中には俺達の知らない隠しパラメーターが存在していてその中には前世の記憶等の情報も有るのだろうと思われる。

そして、その情報を変更せずに転生神の部下が俺を転生させた事で記憶が残ったのだろう。

お陰でこっちは大変な目に遭ってしまっている。

さて、俺の事は話したんだからいい加減信用してゴブリンの事を話そうよ。

このままだと話が進まなくて宿とか無くなって野宿する羽目になりそうなんだから。


「クァァ(そろそろゴブリンの話をしたいって伝えて)」


「そうだね。いい加減話を進めて貰わないとこのままだと朝になりそうだし………」


 その言葉が聞こえたのかずっと思案にふけっていた3人が現実に戻って来た。

まったく!なんの為にこの場所に居ると思ってるんだよ!。

あのままだったら帰ろうかと思っていたんだからな…………。


「………済まない、余りにも衝撃的だったものでな」


「クァァ……ク、クァ(衝撃的なのは分かってるから………それよりも、報告の続きを)」


「それは分かったから続きを………と」


「そうだな………先ずはお前さんの事だが転生者かどうかはまだハッキリとはしてないが信じてみようとは思っている。

さて、ゴブリンの事だったな………っと言っても他に報告する事は有るのか?」


「有ります………実はある方法でゴブリンナイトの死体を持って帰ってるんです」


「………?持って帰ってる?部位じゃなく?まるまる一匹をか?そんな大荷物を抱えてなかった筈だが?」


 そう言いながらおっさんは受付嬢に視線で持っていたか?と問いかけた。


「………いえ、確かにその様な物は持って居ませんでした」


「んじゃぁ一体何処に有るんだ?」


「それがこの部屋を使いたかった理由です」


「そう言ゃあ余りに人に聞かれたくないって言ってたなぁ?」


「はい、単刀直入に言います。ゴブリンナイトの死体を持って帰ってくれたのはフォルです」


「コイツがか?まさか担いで来たのか?」


「それは有りませんね門でもその様な荷物を持っていないのは確認していますので」


「それについてはゴブリンナイトの死体を出してからお話したいのですが………取り敢えず見て貰えれば直ぐに分かると思います」


「…………ふむ、分かったギルド裏の解体場で出して貰う運搬方法は見れば分かると言っているのだし見せて貰おう」


 そう言っておっさんは立ち上がった。

それに続きギルドの受付嬢と門番も立ち上がった。


「んじゃ移動するぞ」


 そう言っておっさんは歩き出して部屋を出て行った。

それに続く様に他の2人も歩き出した。


「私達も行きましょう」


 そう言いながらシアは俺を抱え上げおっさん達の後を追いかける形で歩き出した。

部屋から出て廊下を右に行きその先に有った扉をくぐった。

するとその先は下が石作りで作られた部屋だった。

何の部屋なのだろう?と部屋の中を見回すと壁にナタの様な物や肉切り包丁らしき物等が掛けられていた。

それを見て直ぐに直感した。

ここは先程おっさんが言っていた魔物を解体する場所なのだろう。

そうして中を見回しているとおっさん達が台の周りに集まってこちらを見ていた。


「おう、ここに出して貰っえっか?」


「分かりました。

フォルお願い」


「クァ!(分かった!)」


 俺は直様空間魔法のアイテムボックスを開き中からゴブリンナイトの死体を台の上に取り出した。


「「「な!!?これって!!?」」」


「ギ、ギルマス!こ、これって!もしかして!」


「おいおい!冗談だろ!これ!転送魔法………いや!まさか!空間魔法か!?」


「……………こんなの、予想外にも程が………っ!!?だからあの部屋を!!?」


 やっぱり騒ぎになったかぁ………。

こうなるのは分かってたけどここまでとは………良く小説とかで伝説級の扱いをされてたり異質過ぎて誰も使えなかったりってあるけど………まぁ、しょうがない!自分で決めて覚えたんだからな!……………これからは色々覚悟してから覚えよう。



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