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第11話


 あの後直ぐに男は一言「部屋を用意してある………続きはそっちでしよう」と言って歩き出した。

俺とシアは赤面したまま彼の男の後に続き歩いた。

その後ろを騎士と職員が付いて来ていたのは後で気付いた事だったが………。

部屋に入ってからは俺達が………正確に言うとシアが落ち着くのを彼等は椅子に座って待った。

少しして俺達は落ち着きようやく話し始めた。


「……………詰まりはゴブリン討伐の途中でいきなり現れたゴブリンナイトに襲われて死に掛けた所をこのドラゴンに助けられたと?」


「はい」


「…………………何っうか信じ辛ぇ話だなぁ」


 確かにな………俺も自分の事じゃなければ信じられるとは思えない。

シアも言ってたが俺の持ってるスキルは他のとは少し違うからなぁ。

疑うのも無理は無い…………。


「…………ギルマス、ユニーク個体の可能性は?」


「俺もそれは考えたが………幾らユニークったってテイムもされてない魔物がいきなり会った事も無い人間を回復魔法で治した何て聞いた事も無いんだ………」


「………でも、それはこの子の性格なのでは?」


「その可能性は捨てきれないが基本、魔物は人を襲う。

襲わない奴でも警戒は絶対にする。

しかし、話によると最初から警戒してる感じは無かったって話じゃねぇか?。

もっと強い個体なら分かるがコイツはベビードラゴンだ。

いつ産まれたにしろそこまで強い個体じゃねぇ…………ハッキリ言っちまえば警戒しないのは不自然過ぎるんだ……………なぁ、お前さん一体何者だ?」


 おっさんは凄みの有る目で俺を睨むように見て来た。

確かにそうだ………。

あの時俺はシアを見付けた事であの孤独な状況が終ると思って興奮していた。

普通は警戒するのは当然だろう………。

俺の事情を知らない人からしたら不自然に感じるのは当たり前だ。

…………どうするべきか。

俺は少し悩んだ………俺の事を伝えるべきかを…………。

そんな俺をシアは黙って見ていた。

俺はそれに気付き彼女を見返した。


「フォル…………………うん!決めた!フォル!話したくなければ話さなくて良いからね!」


「クァ!!?(え!!?)」


「っ!!?」


「何!!?」


「……………おいおい………嬢ちゃん自分が何言ってるか分かってんのか?」


「はい、分かってます」


「………その意味がどう言う結果になるのかもか?」


「はい………いざとなれば私はこの子を連れてここから逃げます…………」


「クッ!クァ!!?(ちょ!シア!!?)」


 俺は混乱した。

俺が自分の事を話すかどうかを迷っていたらシアが話したくなければ話さなくて良いと言い出しそれを聞いた男が急に態度を変えシアを睨み出しシアはいざという時は俺を連れて逃げると言い出した。

いきなり過ぎて訳が分からない!どうしてそうなった!!?俺か!!?俺が悪いのか!!?違うよな?だって幾ら魔物だからって普通動物に秘密とか無いから!。

そりゃあ………俺には前世の記憶が有るけどさ!それだって別に秘密にしてる訳じゃないだろ!なのに何でこんな事になってるの!!?。


「…………大丈夫だよ。

私はフォルがいればそれだけで良いんだから………」


「クァ………(シア………)」


 俺はシアのその気持ちに嬉しさとともに悲しみを覚えた。

そんな風に自分の全てを捨てる覚悟をさせてしまった………。

正直どうしてだと言いたい………俺とシアは出会ってまだ半日位だ。

それなのに彼女は洞窟の中では俺に優しくしてくれて、今は俺の事を庇い最悪ここを出ていくと言っている。

確かに彼女の事を助けたがそれだってここまでする事なのかと思ってしまう。

普通はこの男の様に俺を疑い問い質すものだ。

それなのにどうして………そう思わざる得ない。

どうするべきか………そう思っていたが決めた。

彼等に俺の事を話そう…………。

正直不安だ………俺は魔物ドラゴンだ………彼等の反応を見ると俺はかなりの危険な存在なのだろう。

その事を考えるとこれから話す事は彼等にとってとんでもないショックを与えるだろう………。

本気でどうなるか分からない…………だけど。

シアが不幸になるのは嫌だ!。


「クァァ………(シア………)」


「………フォル?どうしたの?」


「クァ………(話すよ………)」


「フォル!!?私の事は気にしなくて良いんだよ!」


「クァ、クァァ………(出来る訳ない、シアが不幸になるのを黙ってるなんて………)」


「…………フォル」


「クァァ?(通訳頼めるか?)」


「………分かったよ」


 さて………どっから話すべきだ?。

取り敢えず俺が何者かを伝えるには転生者だって事は言わないと話にならないだろうから話すとして………。

他には女神の加護も話して出来れば加護持ちはここではどう言う扱いになるのか聞いておきたい。

後話すことは………………アレ?あんまり無いな?。

……………と、取り敢えずこの2つは話しておこう!うん!。

そう考えをまとめて俺はシアに話し始めた。


「クァ………クァァ、クァァ(シア………まずは、俺の出自から話すよ)」


「………フォルの産まれから話してくれるみたいです」


「そうか………それで?」


「クァ、クァァクァ………クァ、クァァクゥァ(まず、俺は元々は人間でした………げど、俺は事故で死んで気が付くとこの姿になっていました)」


「…………元は人間で気付いたらドラゴンになっていたと言ってます」


「何!!?」


「嘘!!?」


「本当ですか!!?」


 シアが俺が元人間だと通訳したのだが3人はかなり驚いていた………が。

何故かシアは驚く事も無く静かだった。

一体どうして………そう思いながらシアを見ているとその視線を感じたのかシアは俺を見て笑顔でその理由を話してくれた。


「予想はしてたよ?………でもね?私にとっては貴方が転生者で有るのは別に関係ないの………貴方が私を助けてくれて私が大切に思っている………それだけは変わらない事実だから♡」


 ………とシアは言った。

凄いと思った。

俺はそんなシアの思いに答えたいそう強く思いながら彼女と見つめ合ったのだった。





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