第107話
ようやく土煙が晴れてきた………。
そしてそこには何事も無かったかの様に悠然と立つブラッドフェンリルの姿があった………。
少し位はダメージが入ってるとは思うがやはりあの程度ではどうにも出来なかった様だ。ここまで平然とされると逆に清々しいな。
それにしても………どうするかなぁ……………。
まさかここまでダメージになって無いとは思わなかった。
ここまで来るともう残された手は少ない………。
今直ぐに思い付くのは出来る限りの手段を取って持久戦をするしか無い。
そう思っていると不快な笑い声が聞こえて来た。
「フハハハハッ!いいぞ!ブラッドフェンリル!そのままソイツを殺してしまえ!」
自分が呼び出したブラッドフェンリルの強さにどうやらいい気になっている様だ。
実際ブラッドフェンリルは強い………それは否定できない。
だが、それでもどうにかしなければならない。
少なくともブラッドフェンリルに手傷を負わせ撤退させないと………。
そう思い俺は頭の中をフル回転にして考えた。
取り敢えず今思いついたのはブラッドフェンリルの足を狙ってどうにかあの機動力を奪い持久戦に持ち込む事だ。
何せステータスで負けている俺では持久戦でも仕掛けないと話にならない。
だからまずは機動力を奪う!。
そう思い俺はフェンリルに体当たりする勢いで近付き噛み付いていた足を狙って尻尾での【薙ぎ払い】を使った。
しかし、その行動は予想されていたのか軽く後ろへとさがる動作により避けられて締まった。
どうやら間合いも読まれているみたいだ………。
だが!そんなのどうでもいい!避けられるならそれも織り込んで攻撃すればいい!。
俺は【薙ぎ払い】の勢いをそのままに左腕を下から掬う様に【爪】による斬撃を振るった。
流石にこの攻撃は奴にとって予想外だったのか対処が遅れている………。
最初で最後のチャンス!。
俺はそう思い全力でその左腕を振り上げた。
勢いそのままに振るわれた俺の爪はまるで吸い込まれる様にブラッドフェンリルの左前脚を切り裂いた。
流石に切り落とす事は出来なかったか………まぁ、ようやくダメージらしいダメージを与えられたんだから良しとしよう。
そして………コレでコイツにも俺の攻撃が効く事が証明出来た。
後は俺の攻撃をどれだけ当てられるかだな………。
多分こんな状況でもコイツは機動力が低下してても関係なく俺の攻撃に対処出来るだろう。
だから何も出来ない様にするしかない。
その為に狙うのは右前脚か左の後ろ脚だろう。
左前脚があの状態だ右前脚を狙えば立ってられなくなってほぼコイツとの戦いは勝ちになる………。
そして後ろ脚を狙ってもそれは同じだ。
ただ後ろ脚は両方共健在で残っている上に狙うとすると横からか後に回ってのどちらかになる。
が………横への回避は難しくても狼の場合前に跳ぶのは基本後ろ脚で蹴る。
つまりは後ろや横からの攻撃は前に跳ぶ事で避けられる。
と言う事で……狙うはもう1本の前脚!。
「ヒール………」
そんな地の底から響く様な低い声と共にブラッドフェンリルは光に包まれた。
「グルゥ………(あの野郎………)」
折角、機動力を奪ったのに無意味にしやがった。
これで降り出しに戻された………。
もう1度やらなきゃいけないが………今度はさっきみたいにはいかないだろうな………。
同じ事は警戒されてるだろうから出来ない………。
となると………こうなったらやるっきゃないか………。
だがその前に………。
「グルゥ!グラァ!(これ以上邪魔されるのはゴメンだ!【吐息】!)」
「っ!?ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?…………」
そんな断末魔の叫びを上げながら黒ローブの男は俺の【吐息】に焼かれて消えて行った。
ブラッドフェンリルを呼び出した術者は殺った………。
コレでブラッドフェンリルもどうにかなってくれれば………。
「グルぅルルル…………」
まっ……そんな上手く行く訳ねぇよな…………。
しかも術者が死んだ事で残っていた他の魔物達まで制御から開放されたのか変な………と言うかお互いに殺し合い始めた。
はぁ………こうなる可能性があったから手を出さなかったのに………。
かと言ってアイツをあのまま放置してたら何度やっても何時までも終わらない………と言うよりこっちが殺される。
コレはしょうが無かったと諦めるしかない………。
問題は制御から完全に解き放たれたブラッドフェンリルをどう倒すか………………。
「グルルルル………」
うわぁ…………すんげぇ睨みつけて来てるんですけど…………。
コレ明らかに俺の事を敵視してるよな………。
何せその眼は「絶対に殺してやる!」と言うかの様に鋭くなっている。
「グルゥ………(やだ…これ………完全に殺る気じゃないですか………)」
そんなに脚を傷付けられたのが気に入らなかったのですかねぇ……………って、どう考えても普通は傷付けられて喜ぶドMじゃ無いよな………。
ホントあの黒ローブ邪魔でしか無いわ………。
そんな風に心の中で愚痴を言いながら俺は次の行動をどうするか考え出した………。
ホントどうしょう………………。




