第106話
「グルァ!グルゥッ!(くそっ!また避けられた!)」
もう、何度放ったのか分からなくなる程俺は【火球】を放っていた。
そして、また俺の放った【火球】は避けられた…………。
それでも………何度も……何度も……何度でも!放ち続ける。
近づかれれば終わる………。
何せ近接能力を含めて今の俺ではブラッドフェンリルには全て圧倒的に負けているのだから。
(遊ばれている様だな………。
いや、遊んでいるのだろうな……コイツは…………)
その証拠に俺の攻撃を避けた後そのまま俺に接近して攻撃するチャンスは幾らでもあった。
俺の攻撃を避けてる動きを見てたが………どう見ても反応も速度も俺と比べるとかなり上な筈だ。
それこそ、こうして遊べる程に………。
(このままじゃジリ貧だな………となると……使うか?【強制覚醒】を…………)
しかし、使おうと考えると何処からともなく嫌な予感が湧き上がってくる………。
おそらくコレはレイリス様からの警告なのだろうな………。
多分このまま【強制覚醒】を使うと取り返しの付かない事が起こるのだろう………。
それこそ人類に対して何らかの不幸が………下手すると滅亡の可能性すらあるのかもしれない………。
(その可能性があるのなら【強制覚醒】は使えないな………と……なると…………他の方法で何とかしないといけない訳なんだが………使うか?【融合変化】を………)
あまりにも未知数な所が多いい………と言うか使うとどうなるのかとか一切何にも分かってない………。
見た目は?………ステータスは?………レベルは?………そもそも強くなるのか弱くなるのかそれすら分からない………。
それに………サブ種族の【ウルフ】のレベルすら表示されてないから強いのかさえ………まぁ、名前からして種族的には最弱か最底辺の状態だろうけど………それすら分からない…………。
こんな状態で使って弱くなりましたじゃ笑い話にもならない。
その辺の事を聞きたかったのにあの駄女神《ミス女神》が禄な事をしないから聞く事も出来なかったし。
少なくとも質問する時間位は欲しかった………。
はぁ………愚痴ってても仕方無い………【強制覚醒】と言う選択肢が無い以上コレに掛けるしか無いのだから…………。
【男は度胸!】【こう言うのは勢いが肝心!】って言うしそれに誰だったかは忘れたが【悩む位なら行動しろ!】って聞いた事があるし人間だった頃の親父が【やらないで後悔する位ならやってから後悔しろ!】って良く言ってて。
それに従って行動して後悔した事は無かった。
実際それで幼馴染だった2人を助けた事もある!。
と言う訳で!。
「グルゥアァァ!(【融合変化】発動!)」
スキルを発動させた瞬間に俺の身体に正に変化としか言いようが無い変化が起きた。
両手足は細く靭やかなモノになり首の後から背中と尻尾に掛けて毛だと思えるモノが生える感覚を感じその後頭の上に2つの何かが生える感覚を感じた。
多分頭のは狼の耳何だろうな………。
後は………うわぁ……俺の背中……硬そうな黒に近い灰色の毛がびっしりだ………。
腕は………今までがガッシリしてた所為かほっそりしてて何っうか折れそうで頼りなさそうだな………。
筋肉は………何っうか………元の筋肉が集まって締まった感じがするかな?……………。
爪とか足の形は狼っぽくなったな………。
う〜ん………基本は竜で所々が狼って感じだな………。
後はステータスとレベルか………。
何処がどう変わったんだろうか?………まぁ、今は確認してる場合じゃないから実践で感じるしかない!。
取り敢えず俺は【融合変化】で強制解除されていた【爪】のスキルを再発動してブラッドフェンリルに向かって走り出した。
うおっ!?………思った以上に動きが良くなってる!?。
コレ!狼の動きを竜のステータスで行う事が出来てるのか!?。
動きが良くなり過ぎて調整が難しい!?。
ちょっと動いただけでこんなにも変化が出て………って!?もう目の前に!?止ま……ったら殺られるからそのまま抜けて方向転換っ!向き直したら右の【爪】で切り裂いてやる!………って!?フェンリル!驚いて咄嗟に後に跳びやがった!?コレじゃあ!抜けらんねぇじゃねぇか!?えぇい!このまま飛び掛かってやる!。
そうして止まらずに飛び掛かるとそれにも驚いたのか眼を見開いて左に跳び跳ねた。
避けられるならそのまま振り抜いて地面の土を投げ付けてやる!。
流石にコレには反応しきれずに投げ付けた土をモロに食らった!。
「ガウッ!?」
良し!顔に当たって空きが出来た!【爪】………だと逃げられる!?なら!噛み付いて組み伏せる!。
そう思い奴の首にスキルを使わずに噛み付いた。
しかし、それを感じ取ったのか顔の土をそのままに腕を振り上げて来た!?。
首っ……は腕で狙えない!?なら!そのまま腕に噛み付いてやる!。
「ギャウッ!?」
っく!?やっぱり暴れるかっ!?なら!このまま振り回して少しでもダメージを与えてやるっ!?。
そうして俺はブラッドフェンリルの腕に噛み付いたまま振り回した。
「グガッ!?(ヤバっ!?)」
振り回されているブラッドフェンリルが振り回されたまま噛み付いて来やがった!?。
俺はそれを回避する為に振り回した勢いのまま地面に向かって口を離し投げ付けた。
そうやって勢いを付けられたブラッドフェンリルは流石にその勢いでは体制を立て直せないでそのまま地面に叩き付けられた。
叩き付けられた所為で土煙が立ち昇った。
流石にこの状態は危険なので取り敢えず襲われるのを避ける為俺は後ろへと跳び退いた。
そして、その土煙が収まるのを土煙の中を警戒しながらその場で待った………。
頼むから少し位はダメージを追っていてくれると良いな………。
俺はそう思いながら土煙が晴れるのを待つのだった………。




