まだ平凡な日常
現界2215年、つまり異界歴306年———
世界戦争が爆発した
資源の不足、人口の激減、環境が完全に破壊された現状を気付き、人々が生きるために武器を手にした。
小国のづまらない喧嘩から始まったこの戦争は早いスピードで全世界まで広かった……
「……と、言いたいどころなんだか……」
「このページ、前回言っただっけ?」
熱血に語そうとしている言葉を途中で止め、私は何が違和感を感じたように教科書を睨む。
「先生———これ、とっくに終わるやつだよね?」
「あはは———やはりが、何処かで見た覚えがあると思ったら」
不満そうな生徒たちの視線に浴びて私は誤魔化すように笑って言う:
「まぁ……なんだ、復習だと思って、もう一度だ」
「えぇ———」
できるだけ軽そうな口調で宣言すると私は他の生徒の文句を無視した。
「……で、さっきの話に続くと……まぁ、戦争の結果は勝敗不明になったが、この世界はあの戦争の後ある変化があった」
「そこで問題だ、エリ·シルトビアさん……」
話の切り替えも込めて、私はずっと変な動きをしているあの子の名前を呼ぶ。
正直何してんのこの子……
「え……うっうち?」
驚いていたようで、彼女は揺れながらゆっくりと立ち上がり、両手の食指を身の前でゴチャゴチャと回り、目が不自然にうろうろしている。
なにか具合が悪いの?
「どうしたの、この前話したばかりというのなら、まだ忘れていませんよね」
「あ……はい……あの、忘れてない……かも」
呆然としている表情で答えた彼女は必死に平然さを保っていることは明らかだ、そのせいなのか、何だかますます彼女の状態が心配になった。
「え……っと、シルトビアさん……大丈夫?」
「は……はい!大丈夫……です、へ、変化は名前、ま、魔法と……食屍鬼の出現……です」
震えている声で答えを出た後、私に反応する時間もくれないように、彼女は急いて次の話題へ進む。
「これで……いいでしょうか……」
「あ……うん、大丈夫、正解ですよ」
「そ、そっか、で……先、先生……」
「あ、はい、何なんでございましょう」
この変な雰囲気の影響により、私はつい変わった口調を使ってしまう。
「す、少し……お、おし……」
おし?
「おしっこを……」
あ……
なるほど……そういうことが。
彼女の真っ赤の顔を見て、私はようやくその理由をわかっていた。
彼女はずっと我慢しているのだろうか。
尿意のせいで体全身が緊張している彼女は、自分の注意を逸らすように、ときどき震えている手で自分の黒くて綺麗な前髪をいじる。
白くてぷにゅぷにゅとしている肌、可愛くて綺麗な顔、そして少し抜けているとは言え、冷静で沈着な性格、まさしく美人優等生と言える存在。
だからこそ、そういう存在の口からおしっこで言葉を聞いてしまうとは流石に予想がつかなっかた。
今時の高校生って、普通におしっこなんて言うのかな?
「あの……先生……うちの顔をずっとみるのは先生の趣味だからうちは何も言えないけど……で、でも……も、もう少しで漏れそうですから……先にト、トイレに行かせてくれるというのなら嬉しいです……」
「あ!そ、そうだね……すみません、行ってていいよ」
「は、はい……」
すぐに飛び出すかと思うけど、彼女はわたしの考えを反し、ゆっくりっていうかこしを屈めてまま、づらそうに歩いている。
大丈夫かな……
彼女の心配もあるが、それよりこの子どうして早く言わないだ?
まあ、理由はどうであれ、今の私は彼女が無事にトイレに到着できるよう、祈るしかないか。
「さて、授業再開するぞ———」
少し気まずそうな空気を変えるために、私は授業モードに戻る、先程シルトビアさんに注意を引きつられていた他の生徒もだんだん私の方へと視線を投げ直す。
「先程シルトビアさんの言う通り、あの戦争が講和という名目で終わった後、起こしていた変化———それは名前、魔法と……食屍鬼の3つだ」
「まあ、名前は簡単だ、人々の交流の深まりに連れ、子供に他国の名前と混ぜる名前をつける親も増えていたということだ」
「そして魔法は……あ」
私の演説を邪魔するように、いつの間にか、授業終わりのチャームが鳴り始めた。
まあ授業内容がまだ残しているとは言え、これ以上続くと私の教師としての評価を影響が出るのは確実のそうだから、やむを得ず、諦めることにする。
「では、今回の授業はここまで、帰ったらジャンと復讐してろよ———」
そう言いているながら私は片付けを進む、もう何もないと確認した後、もう騒がしくなっていた教室から身を消した。
そう言えば、シルトビアさんはトイレに着いたかな?
何処かで迷子にならないといいんだか。
彼女の関心を抱いて、私は同じ階層の職員室へと脚を動かす。
道の窓から舞い上がる風は私の顔を撫で続ける、人の乱れた気持ちを収める、生徒たちが無邪気に笑う、その平和で脆そうな日常を満喫する。
そう……その掛け替えのない、平和で普通の———日常を。
私の名前はカール·トフランク、23歳、ほんの数週間前は無職で、今は見ての通り一様教師をやっている。
顔が普通、性格も平凡、特殊の才能や腕もなく、スーツを着て人混みに混じると分別ができなくなる、自分から見るとそういうつまらないものだった。
時々親切で人がいいと言われることもあるが、でもそれも他人に嫌われたくないという普通の考えでしかなかった。
唯一常人と異なる事といえば、それはこのどうしても逃げられない、雪みたいに白くて忌々しい銀白色の髪くらいだろう。
10歳の頃、私は故郷から飛び出し、親と慣れた環境を依存することが諦め、このハーメルの隣の町で生きることが決めた。
もちろん、一任10歳のガキはそうな大きい舞台に生きられる訳がない。当時、私と一緒に同行して、まだガキでしかない私の面倒を見てくれる人が私の姉だった。
姉さんはその楽観的の性格と優しい人接する方で、この競争が異常に激しい都市の中、私達が生活できる場所を作り出した。
綺麗で実力がある素晴らしい女性として、姉さんはどんどんこの舞台で名を馳せる。
その後、私はある教育学校に入り、姉さんからもらった平穏の日々を堪能して、幸せな毎日を送った。
姉さんに一事をしたくて、姉さんの力になりたくて、私は頑張ってギリギリの成績で卒業し、やっと高級教師資格証を手に入れ、なんとか一人で生きられそうになった。
そんな時だ———
やっと姉さんのために何ができると思った……やっと私も姉さんの隣に立って一緒に頑張れると思った。
でも現実は私の心に大きな絶望を詰めこんで、私が幸せそうに描いた夢を簡単に砕いた。
夢に敷き詰めて、散らばった未来の破片から、その夢は幻想でしかなっかた事を私は告げられた。
———1ヶ月前、姉さんが亡くなった。
私が持ち帰った資格証を見て、姉さんは過労で重病な身体と何もないような笑顔で、一度も幸せを味わえない未練を抱えながら、この世から姿を消した。
そして、私は一人でここに来た。
生存のために、私は教師の道を選んだ。
後悔、泣き、滅入った後は……
新しい世界が待っていた。
そばには誰もいない、たった一人独自に生きるために努力する。
私が選んだ選択は、そういうことだ。
その世界は誰かがいなくなることで止まりはしない、誰一人の為に泣き悔やんだりもしない。
だから、姉さんの死を覚えられるのは、私だけだ。
リール·トフランクという存在はこの世から完全に消えないためにも……
私が強く生きることしか選べないだ。
「よ、カル!」
「うん……?」
急に背後から元気な挨拶を伝わってきて、私は思わず足を止める。
「おう、ルトフ……と、プイーランさん」
振り返ると、そこには2人の姿かいた。
「お疲れ様、カル先生」
「お疲れ様、珍しいね、二人で一緒に行動するなんて」
私は二人をからかうように、笑えながらこの二人を見下ろす。
「はあ……そうだよね、私自分でもこの馬鹿と一緒に行動するとは思えなかった……」
「なんだよそれ、そんなに嫌か、プイーラン」
「当たり前だ、あんたみたいな馬鹿と一緒だと、できる仕事もできなくなるからな……」
そう文句を呟いて、ため息ながら苦笑している人が———プイーラン·シンデル先生です。
学園トップの美人教師の上、魔法担当だから実力も文句はない。教え方は少々厳しい方かもしれませんけど、でもそれもある魅力として、生徒、主に男子生徒の中に人気を保っている。
私がこの学園に来たばかりのころ、先輩として色々なことを教えて、私をいっぱいフォロしてくれたのがこの美しい女性だった。
「おいおい……つめていこと言うじゃねいよ、そんなこと言って、実は喜んでんじゃないの?」
「……残念ながら、私はツンデレでもあなたが好きと言う訳でもないから安心しろ」
「いやあはは、別にそういうつもりで言ったんじゃないけどなあ———ほら俺たち、昔からの付き合いじゃない!」
そう言いながら、ルトフは豪快な笑い声で説明する。
ルトフ·フランク、体育担当としてふさわしい笑い声と肉体の持ち主で、豪快、と言うか能天気の性格を表している。同性の私から見るととっても良いヤツとわ言え、時々荒々しい行動を取ったせいか、異性の間にあんまり人気が持っていない噂があるそうだ。
私の数少ない友人として、出勤の初日から話をかけられた以来、今はすっかりタメ口で話し合える関係になった。
「できればその事実を夢に沈めばいいのにね……」
「なんだ、夢でも俺のことを考えているのが?」
「……殴っていい?」
あはは……
やけに怖そうな目つきでルトフを睨んているプイーラン先生を見て、私は思わず後に一歩避ける。
いや……迫力半端ないな……
まあ、そこまで行ったら誰でも多少気づいたんと思うけど、さっきルトフの言う通りに、この二人はそう……昔からの付き合い……
所謂幼馴染ってことさ。
「まあまあ、それはともかくとして……カル、これから暇?」
隣の強いオーラを完全に無視して、ルトフはさり気なく話題を私の方へ移る。
「えっ私?そうですね……えっと、結構暇かなぁ、今日の授業ももう終わってるし」
「そうかそうか!時間あるか!良かったなプイーラン」
「っえ?」
「良くないよ……お前はストレート過ぎなんだ……」
いつの間にかプイーラン先生のオーラがいなくなり、疲れそうな顔でルトフの話を補充している。どうやらこのような状況をもう慣れていたようだ。
流石十年以上の時間を共に過ごしていた二人というべきか、お互い性格を熟知している。
……少し羨ましいかもしれないな。
もし姉さんがまだ生きているなら、私達はどんな感じの会話を演じるだろう?
「すみませんね……カル先生、このバカが説明下手で」
「いえいえ、それもルトフの個性ですから」
まあ……この様子じゃ、おそらく何かさせるつもりだろう。
「実は……コイツ、校長先生に頼まれて、隣の町で少し買い物しなければならないはずなんですけど……このバカ、“任せとけ”と言った挙句、“っあ!しまった、午後授業があるのは忘れてた!”と叫びながら私の所に助けを求めて来たってわけ、しかし困ったことに、私もこれから仕事があるので……」
なるほど、だから二人はこうやって歩いているってことか。
「っというわけで……カル、お前に頼んでいい?」
まるで他人事のように、ルトフは笑って元気な声で私に頼む。
「そっかぁ……そういうことでしたら、喜んで」
「だろう!ハハ、流石カル!俺の思った通り、頼りになるよ!」
「まあ、何せルトフとプイーラン先生に色々お世話になったからなぁ、せめてこれくらいの恩返ししないと」
「本当、ありがとうねカル先生、これで私もこのバカの付き合いに続けなくて済む、感謝する」
まあ……そういった割には、きちんと相手をしているんですね、流石幼馴染です。
「いええ、これくらいどうってことないさ、それより、何を買えばいいの?」
「それは心配ありませんよ、ほら、ここにリストがあるから」
プイーランさんはそう言ってながら、一枚白いプリントを私の手に渡した。
「なるほど……」
上には、買う必要があるものを細かく書かれている、それは……どうやら少し時間がかかりそうだな。
「凄い量だな……」
「たしかニヶ月後の騎士選抜試験のために色々準備しなきゃならないらしい、何せその選抜試験に会場を提供するのは我が校の定番ですから」
まあ、それもそうね、ハーメル第一の貴族学校として、そういう活動の手伝いも大事だもんね。
「なるほど、分かった」
超金持ちの子供しか入れないこの学校を、今でも私と相性がないと思わず思う。
確かにそうだ、私はこの学園に入れるのは、私がたまたま筆記試験で良い点数を取って、そしてまだたまたま面接でいい印象を残しただけで、資金から見ると、私とこの学園は全然接点がないとも言える。
だからこそ、例え多少無理でも、先輩たちが扱ったこの仕事を拒否するわけにわいかないからな。
それに、別に嫌とか訳でもないし、ちょうど時間もあるから……
まあ、言ってみようか。
「では、早速、行ってくるね」
「うん、頼んだぞ、カル」
「気おつけてくださいね———」
後に向き、私は校門の方へ歩き始めた。
後から届いて来たルトフとプイーラン先生の重ね声が少しづつ小さくなっていて、私は自然に空へ目を向ける。
良い天気だ。
こうな天気なら、少し良いことが起こるかもしれないな。
姉さん……見てる?
私は今……生きてるよ。
改めて当たり前なことに気づいて、私は窓中の自分の顔を見つめ合う。
そしてなんとなく……
つい……
笑ってしまった。