お茶会の招待
いつからだろう。
過去を思い出せなくなったのは。
__小6の時、事故にあってからだ。
いつからだろう。
“淋しい”と感じるようになったのは。
「__…れ。__す…れ…__おい!菫!」
「うわぁっ!?え、何!?考え事してた!ごめん正人!」
「反応遅いよ。菫。」
「銀河ごめんって…あはは…」
私を呼んでいたのは、半田 正人と宇佐見 銀河。
正人は口は悪いが、根は悪く無いのだ。銀河は優しくて気がきく。
正反対な性格ながらも、なんだかんだ仲良しで、だいたいいつも一緒にいる。
二人は私と幼馴染…らしいが、私の記憶には無い。
ただ、近所に住んでいて、お互いの家に行ったり来たりしている。
「それで、何?」
「兄さんが、新作のお菓子できたからおいでって。」
「本当!?やったあ!!」
銀河のお兄さんは、喫茶店を開いていて、珈琲とお菓子が本当に美味しい。
「一回帰ってからお店来てねってさ。」
「分かった!!」
「あんまり食ったら太るぞ。」
「うるさい!分かってる!!」
「…あ。」
「あ?」
「いや、廊下に種国先輩と根津先輩が…あ、え、私??」
生徒会長の種国 智慧人先輩と副会長の根津 稔先輩が、何故か私に手招きしてくる。
「なんで…?とりあえず行ってくる。」
「いってら〜」
「やあ、ごめんね菫ちゃん。」
「はあ…、それで、ご用件は。」
二人は中学の時、同じ委員会だったため、お互い知ってはいる。
種国先輩は、やる時はやるが、チャラい。バレンタインは種国先輩の下駄箱が戦場と化す。正直苦手。根津先輩は基本無気力。
…生徒会大丈夫なのかな
「これ…」
「?」
根津先輩が渡してきたのは、図書室の鍵と紙が大量に挟んであるファイル。
「…重っ」
「菫ちゃん、図書委員会だったよね。」
「はい…?」
「新しく本の入荷する為に整理したいんだけど、そのファイルの中の紙に本の題名と整理番号書いてってくれない?」
「…あの大量の本全部ですか!?」
「そう…。二ヶ月後までに生徒会室にファイルと鍵返してくれれば良いから。図書室入る人最近少ないから…。有山さん、だめ?」
「別に良いですけど…」
「じゃあ、よろしくね〜!」
……めんどい仕事押し付けられました。